「広告に多額のコストをかける余裕はない。でも商品・サービスの見込み客を増やしたい。いったいどうすれば……」
経営者なら必ずぶつかるこの矛盾をクリアする施策が、コンテンツマーケティングです。
とはいえ具体的にどのような手順でコンテンツマーケティングを進めればいいのか、即答できる経営者は多くありません。
そこでこの記事では、コンテンツマーケティングを実践する際に必ず押さえておきたい基本知識を網羅的に説明しました。
コンテンツマーケティングのメリット・デメリット、実践時の3つのポイント、そして具体的な手順など、いずれもコンテンツマーケティング戦略に欠かせない重要な知識ばかりです。
そんなことはすでにご存知の方も、復習をかねてじっくり読んでみてはいかがでしょうか。
コンテンツマーケティングとは?
商品・サービスの魅力を伝えるコンテンツ(記事や画像、動画など)をメディア上で継続して発信することで、将来の見込み客となるユーザーを誘導するマーケティング手法のことを、コンテンツマーケティングと言います。
コンテンツマーケティングは、直接コンバージョン(成約)を達成するためというよりは、商品・サービスの認知拡大や企業ブランディングのために活用する手法です。
広告とコンテンツマーケティングの違い
コンテンツマーケティングは、従来の広告とはどのように異なるのでしょうか。
広告は短期集中型の施策です。多くのコストを投じて広告を展開し、狙った見込み客に対して商品・サービスの情報を届ける。これが広告の目的です。
それに対してコンテンツマーケティングは、長期継続型の施策です。ターゲットは見込み客だけとは限りません。まだ見込み客となっていないユーザーをターゲットに、コンテンツの力によって商品・サービスの認知を広め、関心を集めたいときに使う手法でもあります。
コンテンツマーケティングが生まれた背景
テレビCMや折り込みチラシ、看板広告といった従来型の広告は、企業が消費者に伝えたいことを一方的に説明します。そのため消費者が知りたい情報と企業が広告で伝えたいことの間に、大きな齟齬が生じてしまうことも……。
それに対してコンテンツマーケティングは、消費者が知りたいことをコンテンツの基軸にすえます。そのため消費者に届きさえすれば、消費者の「知りたい」というニーズにぴったり合致します。その結果、消費者が見込み客に育つ可能性も高まるのです。
現代社会ではあらゆる生活空間に広告が存在するため、消費者の広告疲れが顕著になっています。コンテンツマーケティングはそういった広告疲れのすきまから生まれた、時代にフィットしたマーケティング戦略だと言えるでしょう。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングの最大のメリットは、コストの少なさです。ブログを立ち上げて記事を公開するだけなら、ワードプレスのようなCMSを活用することで、費用や技術的な負担をかなり低く抑えられます。
またペルソナやKPIの設定といったコンテンツマーケティングの実践に欠かせない手順も、専門家の手を借りずにインハウスで対応可能です。
もう一つのメリットは、息の長い集客が可能だということ。
たとえば自社ブログにコンテンツを蓄積していく場合、公開済みの記事をブラッシュアップすることで、365日24時間、新規ユーザーのアクセスを集められます。
しかも一度ブログで公開すれば、半永久的に企業のビジョンや商品・サービスの認知拡大に貢献してくれるため、高額な宣伝広告費をかけずに企業ブランディングが可能となるのです。
コンテンツマーケティングのデメリット
効果的なコンテンツマーケテイングをおこなうためには、常にコンテンツを発信しつづける必要があります。ブログ記事のように、一つひとつのコンテンツの作成に要するコストが少なくても、間断なくコンテンツを供給できるための体制が欠かせません。
だからといってコンテンツをすべて外注してしまうと、広告と同様に高いコストがかかるため、ある程度インハウスでまかなう必要があります。
もう一つのデメリットは、広告とは異なり、成果を実感できるまでに時間がかかるということです。
広告であれば、直接ユーザーを商品・サービスの紹介・購入ページに誘導できます。しかしコンテンツマーケティングでは、そこまで直接的なコンバージョンは見込めません。
この視点を忘れてしまうと、「せっかくオウンドメディアを立ち上げて大量の記事を公開したのに、コンバージョンが増えない!」と見当違いの不満を抱くことになります。
コンテンツマーケティングの3つのポイント「なにを、誰に、どうやって」
コンテンツマーケティングのポイントには、「なにを」「誰に」「どうやって」の3つがあります。いずれも外してはいけない重要な知識です。
「なにを」=コンテンツ
コンテンツマーケティングでは、いきなり自社の商品・サービスを売り込んではいけません。それではコンバージョン目的のランディングページと差別化できなくなります。
コンテンツマーケティングでは、商品・サービスについて見込み客の購買意欲をかきたてたり、購買支援に役立つようなコンテンツを提供しましょう。
たとえば商品・サービスの開発までのストーリーや開発スタッフへのインタビューなどを通じて、商品やサービスにこめた想い、優れた特徴などを紹介し、見込み客の行動を刺激します。
「誰に」=ターゲット、ペルソナ
コンテンツを作る際は、届けたい相手を具体的にイメージしましょう。万人受けを狙ってしまうと、コンテンツがぼやけてしまうからです。
届けたい相手はターゲットやペルソナを設定する過程で絞り込みます。この点は後述する「コンテンツマーケティングの具体的手順〜ペルソナ設定」を合わせて参照してください。
「どうやって」=どんなメディアで、どんな順番で
コンテンツを展開するメディア選びや、コンテンツを公開する順番も忘れずに検討しましょう。
ブログやSNS、広告など、コンテンツを展開するメディアは複数あります。コストや効果を勘案しながら選択しましょう。
またコンテンツを公開するにあたっては、適切な順番があります。いきなりマニアックで個別具体的な内容だと唐突感があるため、まずは自社のミッションや商品・サービスのコンセプトを紹介するのが穏当です。
コンテンツマーケティングの具体的手順
コンテンツマーケティングは、おおむね次にあげる手順で進めていきます。
ペルソナ設定
「大阪在住、30代男性。既婚で二人の子持ち。エンジニアで年収は1,000万円」というように、ユーザーのスペックをざっくり分類することをターゲティングと言います。
ペルソナはターゲティングで得たユーザー像をさらに具体化したものです。趣味や食べ物の好み、交友関係などプライベートに関わる情報も加味して、実際に存在するかのような人物像をつくります。
マーケティングの効果を高めるためには、ターゲットをぎりぎりまで絞るのが原則です。ペルソナ設定はそのために欠かせない作業と言えるでしょう。
ペルソナが求めるコンテンツの特定
ペルソナによってユーザー像を具体化したら、ペルソナが欲しがるコンテンツを特定します。ペルソナに合わせたコンテンツを用意することで、コンテンツの内容が一貫し、より効率的なマーケティングが可能になるからです。
たとえば「職業:アプリ開発のエンジニア」と設定したならば、システム開発に関する情報をコンテンツに盛り込んでもペルソナにフィットしません。あくまでアプリ開発に関するコンテンツを作成する必要があります。
カスタマージャーニーマップの作成
ペルソナを作ったら、必ずカスタマージャーニーマップも忘れずに作成しましょう。カスタマージャーニーとは、見込み客が商品・サービスを認知し、購買にいたるまでの行動や思考などを説明するフレームワークのことです。
見込み客の行動は、大きく分けると「知る」「探す」「接触」「購入」の4つの段階に分類できます。各段階で、見込み客の思考と行動を図示したのがカスタマージャーニーマップです。
作成したマップを参考にしながら、各段階で企業が取るべきアクションを決定すれば、無駄のない合理的なマーケティングが可能となります。
コンテンツマップの作成
コンテンツマーケティングでは、「見切り発車」は禁物。見切り発車を避けるために重要なのが、コンテンツの全体像=コンテンツマップを用意することです。
先に挙げたペルソナとカスタマージャーニーマップを参考にしながら、メディア上で展開するコンテンツの具体的内容を決定し、全体像としてまとめましょう。
この作業によりコンテンツの内容が一貫するので、ターゲティングのずれが起きず、効率的なマーケティングを実践できます。
CTA(Call To Action)設定
見込み客がせっかくコンテンツにアクセスしても、商品・サービスの具体的な紹介ページや購入ページにアクセスできないのでは無意味です。そこでブログ記事などの各コンテンツには、CTAを必ず設定しましょう。
CTA(Call To Action)とは「行動喚起」を意味する言葉です。コンテンツ上にテキストやボタンを設置し、問い合わせや会員登録、購入といった具体的な行動を促します。適切な位置に適切なCTAを設定していないとコンバージョンの確率が下がってしまうため、コンテンツマーケティングでは決して忘れてはいけない手順です。
KPI設定
コンテンツマーケティングの最終目的は、見込み客をコンバージョンに誘導することです。この目的を具体的な数値で示したのがKPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)です。
たとえばブログの場合、「月間アクセス3万」「週間アクセス5,000」というように、具体的な数字でKPIを設定します。
ただしKPI設定はあくまで手段です。KPIの先には、事業そのものの目標であるKGI(Key Goal Indicator、重要目標達成指標)があります。
たとえば「オウンドメディア経由で毎月200件の商品購入」というように、コンテンツマーケティングを起因として達成したい事業目標を設定するのがKGIです。
KPIはKGI達成にいたるまでの中間地点に過ぎませんから、必要に応じて目標値を修正していきます。
媒体選定
コンテンツを掲載するメディア(媒体)としてはオウンドメディアが主流です。ツイッターやフェイスブックといったアーンドメディアも併用すると効果がいっそう高まります。
なおペイドメディア(広告)を活用する場合、費用対効果面で慎重な判断が欠かせません。この点は以下のコンテンツプロモーションの説明も合わせてご覧いただき、理解を深めてください。
コンテンツプロモーションも忘れずに
コンテンツは作りっぱなしでは無意味です。適切な媒体を通じてコンテンツを拡散させるコンテンツプロモーションを行う必要があります。
コンテンツプロモーションの媒体は、効果の高い順にアーンドメディア、オウンドメディア、ペイドメディアの3つです。
アーンドメディア(SNS)
TwitterやFacebookといったSNSに自社の公式アカウントを開設し、さまざまな情報を発信していく活動は、最も重要で効果的なコンテンツプロモーションです。
近年若年層を中心に、インターネット上の情報を集める方法として、Googleなどの検索エンジンではなく、SNSを利用するユーザーが増えています。そのようなユーザー層を自社コンテンツに誘導するためには、検索エンジンを意識したSEOコンテンツの作成に注力するよりも、SNSでいかに拡散させるかに注力したほうが効果的です。
したがってオウンドメディアでコンテンツマーケティングをおこなう場合、必ずSNSでのプロモーションもセットで行う必要があります。
オウンドメディア(ブログ)
ブログのようなオウンドメディアも、コンテンツプロモーションに適した媒体です。ブログは常に最新の記事がトップページに表示されるため、アクセスしたユーザーがひと目でコンテンツの更新状況を把握できるからです。
またブログはSNSや広告とは異なり、作成したコンテンツがどんどん蓄積していくストック型の媒体です。コンテンツが蓄積していけば、ユーザーの目に触れる機会が増えるので、ファンそして見込み客へと育つ可能性が高まります。
ペイドメディア(広告)
媒体上に広告を打ち出して自社コンテンツを拡散させるペイドメディアも、コンテンツプロモーションの一つの施策です。ただし商品・サービスそのものではないコンテンツの広告に、どこまで広告費をかけられるかという大きな問題があります。
コンテンツや自社メディア自体を一つのブランドとして展開させる場合をのぞいて、ペイドメディアだけでコンテンツプロモーションをおこなうのは、費用対効果の面で効率的とは言えません。
勝負を分けるのは「コンテンツの質」
コンテンツマーケティングの成否を左右するのはコンテンツの質です。少ないコストで足りるとはいえ、質の低いコンテンツばかり供給し続けては、商品・サービスのファンは獲得できませんし、コンバージョンも増えません。
とはいえコンテンツの質をいきなりトップレベルにもっていくのは至難の技。また本文でも説明したように、コンテンツマーケティングは効果がでるまでに時間がかかる手法です。
あれこれ試行錯誤しながら、気長にじっくりとコンテンツをブラッシュアップしていくとよいでしょう。
コンテンツマーケティングの施策に困ったら、専門家@メディアにご相談ください
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