SEOと言えば、検索エンジンからの流入を期待できるWEBマーケティングの手法です。多くの企業では、SEO対策によってWEB上からの集客を狙っているでしょう。しかし「SEO対策をしているけど思ったよりも集客ができない」「SEOを効果的に進めるための方法を知りたい」と悩んでいる方もいることでしょう。もしかすれば、分析をせずにSEO対策をしていることで思ったような結果を得られないのかもしれません。そこで今回は、SEOの分析ポイントやおすすめのツールをご紹介します。
SEOの分析とは?
SEOの分析とは、自社で運営しているWEBサイトに対してどの程度の集客数があるのか、どの検索キーワードからの流入が多いのかなどを明らかにしていくことです。
SEOの分析をすることで、現在の施策によって成果が出ているかを確認できるため、今後の方針を決めるときの判断材料になります。
SEOで評価を得るためには、正しい方法でSEO対策をしていかなければなりません。したがって、定期的にSEOの分析をして振り返ることで、今の対策が有効かどうかの判断を行えます。
SEOの分析が必要な3つの理由
SEOの分析は、大きく3つの理由から必要とされています。
- SEO評価の向上
- 傾向を知る
- 結果の検証
①SEO評価の向上
1つ目の理由は、SEO評価を向上させるためです。
SEO分析では、最終的な目標を検索結果で上位表示されることとしています。SEOで上位表示されるためには、SEOの分析によって適切なキーワードを選択し、ユーザーの悩みを解決できるコンテンツ作成を定期的におこなう必要があります。
上位表示されることで多くのユーザーが目にする機会が増えるため、WEBサイトへの流入数が増加して商品やサービスの成約に結びつきやすくなるでしょう。
②傾向を知る
2つ目の理由は、SEOで評価を得ている競合サイトの傾向を把握するためです。
SEOの分析では、あるキーワードで上位表示されているWEBサイトの情報を得られるため、どのようなWEBサイトがSEOで評価を得ているのかが分かります。その後、上位表示されているWEBサイトに共通する要素を明らかにすることで、自社で運営するWEBサイトに足りない部分があれば改善していけるのです。
もし、評価を得ている競合サイトの傾向を知らずにSEO対策を進めた場合、時間をかけて作ったコンテンツだとしても、適切な評価を得られずに無駄なコストが発生してしまう恐れがあります。
③効果の検証
3つ目の理由は、SEOの分析によって現在おこなっている施策の効果を検証するためです。
SEO対策は、一度実施したらすぐに効果を得られるわけではありません。多くの場合は、対策と改善を繰り返すことで少しずつ成果が出てきます。そのため、定期的に効果測定をして施策に対する効果を検証していく必要があるのです。
効果測定時の指標としては、狙ったキーワードの順位やWEBサイトへの流入数などがあげられます。
効果的なSEO分析に必要な3ステップ
続いて、実際にSEO分析をするときの手順を3ステップで紹介しましょう。
- 競合サイトとの比較
- キーワード選定
- 定期的な見直し
ステップ1:競合サイトとの比較
まずは、SEOで上位表示を狙っているキーワードに関して、上位に位置する競合サイトを確認します。その後、自社サイトと競合サイトで比較をしていくのです。
比較の内容としては、どのようなコンテンツをWEBサイト上に掲載しているのか、どのようなキーワードで上位表示されているのか、ドメインパワーがどの程度であるのかなどです。
競合サイトと比較することで、自社サイトに足りない情報が明確になるだけではなく、競合サイトに掲載されていない新たなコンテンツを展開できます。
ステップ2:キーワード選定
続いて、ステップ1で明らかになった情報を元に、SEOで上位表示を狙うキーワード選定をします。
キーワード選定は、ユーザーの満足度向上や疑問の解決につながるため、自社が運営するWEBサイトに合ったものを選定しなければなりません。選定の方法については、下記の記事で詳しく解説しているので、是非参考にしてください。
ステップ3:定期的な見直し
最後は、定期的に効果測定をおこなって改善を繰り返していきます。
ステップ2で定めたキーワードに基づいてコンテンツを作成した後は、SEOで評価を得られているのか定期的に見直すのが重要です。定期的に見直すことで、今実施している施策の効果が出ているかが分かります。
定期的に見直す期間としては、サイト全体のリニューアルや新規ページの追加などで3~6カ月程度、既存ページの修正をしたときで2カ月程度がおすすめです。
ただし、2カ月後に結果が出なかったとしても、6カ月後に成果が上がっていることもあるので、あくまで目安として考えておきましょう。
SEO分析を効果的に実践するにはツールが不可欠
SEO分析は、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成するために必ずおこなうべき取り組みです。
しかし、一つずつ競合サイトを調査していくのは膨大な時間がかかってしまいます。そこで、効率的にSEO分析を実践するためにも「競合分析ツール」の活用が不可欠です。
競合分析ツールは、用途に応じてさまざまなツールが登場しているため、自分の目的に応じて使い分けができます。ツールによって効率化をすることで、コンテンツ制作に集中できるでしょう。
SEOの競合分析ツールをカテゴリ別にご紹介
SEOの競合分析ツールには、主に以下の利用用途があります。
- 内部対策
- 外部対策
- キーワード調査
- 検索順位チェック
ここでは、利用用途別におすすめのツールをご紹介しましょう。
内部対策用ツール
1つ目の用途は、WEBサイトの内部対策をするケースです。
内部対策は、WEBサイトのタグ設計や構造を見直す施策のことで、プログラム内部の修正がメインとなります。内部対策を実施することで、Googleクローラーに認識されやすくなり、SEOの評価を得られやすくなるのです。
内部対策を効率的に実施するためには、以下のツールを活用するのが良いでしょう。
- パスカル
- Lumar
- アナトミー
- Light House
パスカル
パスカルは、株式会社オロパスが提供している内部対策ツールで、1,300社以上に導入実績があります。
パスカルはもともと社内ツールとして利用されており、SEO業務の効率化を求めていった結果誕生したのです。パスカルには、主に以下4つの特徴があります。
- 競合分析
- コンテンツ分析
- キーワード分析
- ランキング取得
「競合分析」では、検索上位の30~50位までの競合サイトを統計的に分析してくれます。分析内容としては、ページの文字数・関連キーワードの使用数・メタディスクリプションの文字数といったコンテンツSEOで重要となる全50項目を比較分析してくれるのです。
「コンテンツ分析」では、上位表示されているコンテンツに共通して使われている言葉・コンテンツ作成に欠かせない共起語の洗い出し・コンテンツの独自性の高さ・検索したユーザーが求めるトピックが明らかになります。コンテンツ分析の結果を使うことで、自社や競合サイトとの比較ができるため、自社に足りない部分を新たに作成したり修正したりできます。
「キーワード分析」では、自社WEBサイトに流入してくるキーワードを元に、より集客効果の高いキーワードを自動で判別してくれます。また、Googleサーチコンソールとも連携ができるため、対象のWEBサイトもそのまま利用可能です。
「ランキング取得」では、登録された1,000以上のキーワードに対して、PCとモバイルでの検索順位を取得できます。また、順位取得するエリアを指定出来たり、順位変動があったタイミングで通知を送ったりするのが可能です。
プランとしては、ライト・プロ・アナリストの3つがあるため、利用用途に応じて契約しましょう。
Lumar
Lumarlは、自動的にWEBサイトのトラフィック改善を実現しており、世界水準のテクニカルSEOツールとして人気の内部対策ツールです。多数の企業で導入されており、有名どころだと「Lenovo」「Nestle」「IKEA」などがあげられます。
内部対策としては、WEBページ内にある無効なリンクや内部リダイレクトの検出、WEBサイトのページ深度の改善といったサイト構造の最適化を実現できます。
また、チーム内でのタスク管理としても利用できるため、ツール上で検出された問題点の進捗管理も可能です。
プランとしてはベーシックプランとエンタープライズがあり、エンタープライズについては応相談となっています。
アナトミー
アナトミーは、Googleアナリティクスを効率的に活用することでSEO分析とアクセス解析が実現できる内部対策ツールです。
主な機能は「SEO分析」と「アクセス解析」の2つです。
SEO分析では、
- WEBサイトへの流入キーワード検出
- 検索流入数の予測
- 検索順位を定期的に集計
- 競合分析
- 関連キーワード分析
- 検索ボリューム分析
- タイトル・ディスクリプション・見出し分析
- 検索インデックスの比較
- 内部リンク分析
- メタ情報解析
などの機能があります。
アクセス解析では、
- 最大300ページのデータを1画面に表示
- PV・セッション・直帰率の検出
- コンバージョン分析
などが利用できます。
プランとしては、SEOコンサルを同時に依頼できる契約もあるため、SEOの効果を確実にあげたいのであれば検討するのも良いでしょう。
Light House
Light Houseは、Chromeの拡張機能として提供されているもので、WEBサイトのパフォーマンスを診断できる内部対策ツールです。診断時のポイントとしては、主に以下5つとなります。
- Performance
- Progressive Web App
- Accessibility
- Best Practices
- SEO
Performanceでは、文字通りページのパフォーマンスに関わる部分を確認しており、ページの読み込み速度やページ内のユーザービリティが評価されます。評価後は、パフォーマンス改善に向けたアドバイスもしてくれるため、スコアの低いものから対応するのがおすすめです。
Progressive Web Appでは、対象のWEBサイトがPWAとして機能するかを判定します。PWAとは、iPhoneなどのモバイル端末において、WEBサイトをモバイルアプリのように利用できる仕組みです。PWA化することで、WEBサイトの更新やお知らせ時にモバイル端末へ通知させることができます。
Accessibilityでは、クローラーに向けて最適な作りになっているのかを診断します。
Best Practicesでは、診断というよりもWEBサイトのパフォーマンス向上に向けたアドバイスを受けられるのです。
SEOは、WEBサイト上にある要素でSEOの評価に影響を与える項目が検出されます。
Light Houseは無料で利用できるツールであるため、とりあえず使ってみるのがおすすめです。
外部対策用ツール
2つ目の用途は、WEBサイトの外部対策をするケースです。
外部対策は、被リンクと呼ばれる「外部のサイトに自社のWEBページのリンクを掲載してもらうため」の施策です。被リンクを獲得することで、Googleのアルゴリズムが良質なコンテンツであると判断してくれるため、SEOの評価が上がりやすくなります。
外部対策を効率的に実施するためには、以下のツールを活用するのが良いでしょう。
- ahrefs
- Majestic SEO
ahrefs(エイチレフス)
ahrefsは海外の有料ツールで、インストール不要なためすぐに導入ができます。ahrefsが持つ特徴は、以下のとおりです。
- 被リンクのチェック
- 競合サイトの調査
- キーワード調査
被リンクのチェックでは、世界最大級の被リンクデータ量を誇るahrefsならではのデータベースを活用し、被リンク数の把握ができます。
競合サイトの調査では、自社サイトに加えてさまざまな競合サイトの被リンク調査や上位表示コンテンツの確認ができるのです。
キーワード調査では、対象キーワードのボリュームやSEO対策の難易度を調査できます。キーワードの競合性も調査できるため、キーワードからWEBサイトへの流入につながるコンテンツ作成もできるでしょう。
Majestic SEO
Majestic SEOは、自社や競合他社の被リンク状況を確認できる外部対策用ツールです。
利用方法は簡単で、対象WEBサイトのURLやドメインを記載すると解析が開始されます。
解析時には、対象WEBサイトが獲得している被リンク数や被リンク元のドメイン情報が分かるのに加えて、Majestic SEOが独自で持つ指標が検出されます。
独自の指標とは「Trust Flow(トラストフロー)」と「Citation Flow(サイテーションフロー)」の2つです。
Trust Flowとはリンクの品質を表すもので、高いほど高品質のリンクであると判断します。一方でCitation Flowとは、リンクの量を反映するスコアのため、リンクの品質まで判断していません。リンクの品質が分かることで、正しく被リンク獲得ができているかの確認もできるでしょう。
プランは「LITE・PRO・API」の3つがあり、本格的に使うのであればPROがおすすめです。
キーワード調査用ツール
3つ目の用途は、キーワード調査をするケースです。
キーワードは、検索エンジンからの流入数を増加させるためにも重要となる指標の一つになります。適切なキーワードを選択することで、自社サイトに合ったコンテンツ作成につながります。
キーワード調査を効率的に実施するためには、以下のツールを活用するのが良いでしょう。
- キーワードプランナー
- Ubersuggest
キーワードプランナー
キーワードプランナーはGoogleが提供しているツールで、利用するためにはGoogleアカウントと別にGoogle広告用のアカウントを作る必要があります。
基本的には広告掲載を目的として利用される機会が多いため、掲載に向けた入札単価やキーワードの検索ボリュームを調べられます。また、WEBサイトの対策キーワードを調査するだけではなく、関連キーワードやロングテールキーワードも発見できるため、コンテンツSEOにも向いているのです。
Ubersuggest
Ubersuggestは、無料で利用できるキーワード調査用のツールで、キーワード選定時や競合分析時に活用できます(有料版もあり)。
そのほかにも、
- 検索ボリューム数
- キーワードに対するSEOの難易度
- クリック単価
- 被リンクデータ
- サジェストキーワード
などの調査も可能です。
無料アカウントを作成すると使える機能が増えるので、本格的にSEO対策をしたいのであれば迷わず登録しましょう。
検索順位チェック用ツール
4つ目の用途は、検索順位をチェックしたいケースです。
検索順位のチェックは、先述した内部対策や外部対策の施策が上手くいっているのか確認できます。なかなか順位が上がってこない場合には、新たな施策を打ち出すなどの対応が良いでしょう。
キーワード調査を効率的に実施するためには、以下のツールを使うのがおすすめです。
- Googleサーチコンソール
- GRC
Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールは、Googleが提供している検索順位チェックツールです。ツールの利用によって、検索結果の確認とWEBサイトの問題点を検出できます。検索結果の確認では、対象WEBサイトの掲載順位・クリック数・CTR・リンク状況などが見れます。
WEBサイトの問題点としては、表示速度が遅いWEBページの把握やパンくずリストの実装エラーなどの状況が判別できるのです。
Googleサーチコンソールは無料で利用できるため、SEO対策をするなら迷わず使っておきたいツールといえるでしょう。
GRC
GRCは、 2006年にVectorのベストオンラインソフトに選ばれた実績がある検索順位チェックツールです。
GRCの特徴は、ボタン一つで全ての検索順位をチェックできることです。更に、自分のWEBサイト情報だけではなく、競合サイトの検索順位も調査してくれるのがメリットになります。
GRCは有料のツールで、以下のプランから選択できます。
- ベーシック
- スタンダート
- エキスパート
- プロ
- アルティメット
プランによって使用できるURL数や機能に差が出てくるため、自社の目的に応じて使い分けましょう。
ツールを活用してSEO分析を効率的に進めよう
SEO分析は、現在おこなっている施策が正しいかを見極めるためにも重要です。分析結果をみて新たに施策を打ち出したり、今おこなっている施策の修正をしたりと繰り返すことで少しずつ成果が出てきます。これからSEO分析を始める方は、ツールを活用することで効率的におこなっていけるため、今回の記事を参考に使っていきましょう。