法改正にまつわる、企業とシニア世代のキャリアに関する温度差
高齢者人口が増え続ける今日、厚生労働省は高年齢者等雇用安定法の改正を2021年4月に行いました。
大きな改正内容として、企業には「従業員が70歳まで企業で働き続けられる措置の制度化」を努力義務として求められるようになりました。
この流れを受け、自社の社員が働き続けるように、シニア向けのキャリア研修導入を検討する企業も増えてきました。しかし、研修予算を比較的確保できている大手企業でも、キャリア研修の実施率は未だ33%ほどに留まっているのが現状です。
一方で、50代以上の社員は今後も現在の会社で働き続けたいと思っているにもかかわらず、96.1%は働き続けることに不安だと感じているようです。
このように、企業の人事担当者と当事者であるシニア世代の社員との間に温度差があるという事実は、統計からも浮き彫りになっています。
人生100年時代でも働き続けるために必要なキャリア自律のマインド
70歳まで自身の価値を業務で発揮していけるのか、と漠然と今後に不安を感じているシニア世代。
学びの重要性はわかっているものの、はたして何を意識していけばよいでしょうか?
経済産業省は「人生100年時代」に活躍し続けるために求められる力として、社会人が基礎的に備えておく必要がある能力である「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」で構成された「社会人基礎力(※)」の重要さを提言しています。
なかでも、「キャリア自律」といわれる自らのキャリアに関して責任をもって、キャリア形成を行う(キャリアオーナーシップを持つ)意識は、自身が成長し続けるための基礎になります。
そして、キャリア自律の意識を持つには、自分を試して自身の能力を確認する作業を繰り返すこと、つまり自分の価値を振り返ることが近道です。
企業の人事担当者はシニア世代にキャリア自律の意識を持たせるため、気づきの機会を与えることが重要とされます。ただし、長年働いている自社の業務では気づきを得るチャンスが少ないため、越境と呼ばれる自社以外のフィールドで経験を積ませる施策が有効とされています。
しかし、すぐに出向や副業などの制度の整備ができない企業は、どのようにしたらよいでしょうか?
本業の合間に越境体験!キャリア自律を促す研修サービス「複業留学」とは
「複業留学」は企業で本業を続けながら、ベンチャー企業にて自身の持っているスキルを活かすことができる実践型の研修サービスです。
実施が決まった従業員は留学生となり、2〜3ヶ月の間にミッションを決めて、達成のために改善提案などを通してベンチャー企業の意思決定者と並走していくことになります。
長年在籍している企業とは異なる環境での業務は留学生に気づきを与え、これまでの自身の仕事に対する意識を見つめ直すきっかけになります。
実際に複業留学をした方からは「新たなキャリアの可能性が発見できた」「自分の経験を生かせることはまだまだあると気づけた」という声があがり、不安に感じていたこれからのキャリアに自信が持てたとのことです。
人事担当者の方は、シニア世代のキャリア研修におけるひとつの選択肢として、「複業留学」を検討してみてはいかがでしょうか。