70歳までの就業機会の確保が努力義務として追加される改正高年齢者雇用安定法が、2021年4月より施行されます。企業には、現行の65歳までの雇用確保義務に加え、 70歳まで働き続けられる措置の制度化をすることが努力義務として求められます。
一方で、個人が活躍し続けるためには、これまで以上にキャリアオーナーシップが求められているのが現状です。大企業のミドル・シニア世代をターゲットに、どんな機会を提供し、キャリア自律を促していくか、というテーマで行ったイベントの開催レポートをお届けいたします。
【目次】
■ ミドル・シニアキャリア自律施策事例:みずほビジネスパートナー株式会社様
■ 3つの視点から見るキャリア自律
■ トークセッション
【登壇者】
宇田 真也 氏 みずほビジネスパートナー株式会社代表取締役社長
田中 研之輔 氏
一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事
平田 麻莉 氏
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事
■ モデレーター
加藤 健太 氏
株式会社エンファクトリー代表取締役社長CEO
ミドル・シニアキャリア自律施策事例:みずほビジネスパートナー株式会社様
社員の約80%が50代以上であり、改正高年齢者雇用安定法の施行に先んじて
多様な働き方を実践しながら生き生きと働くことが、キャリアオーナーシップを持つこと、そしてキャリアを考えるきっかけになっているそうです。
実践例をご紹介いただきました。
・専門性向上のための勉強会(資格、技術 など)
・キャリアを見つめ直す機会の提供(キャリアデザインセミナー など)
なかでも、複業留学を実践した方からは
「これからもいろいろなことにチャレンジしたい!」という声があったそうです。
3つの視点から見るキャリア自律
事例の後、ミドル・シニアのキャリア自律について、キャリア論・研修提供者・複業実践企業という3つの視点からそれぞれお話しいただくリレーセッションをおこないました。
はじめに、法政大学キャリアデザイン学部教授 / 一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事の田中 研之輔 氏にお話しいただきました。
旧来型の閉鎖的なキャリアではなく、変幻自在のキャリアをつくっていく変化(=「キャリア・トランスフォーメーション」)が重要だそうです。
続いて、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事の平田 麻莉 氏にお話しいただきました。
フリーランス協会は”誰もが自律的なキャリアを”というスローガンのもと活動されています。
その中でも、ミドル・シニアのキャリア自律は、組織の成長につながるため、従来の黄昏研修でなく、ポジティブな意欲向上につながる研修を提供しています。
複業実践企業の視点
最後に、”専業禁止”を掲げる株式会社エンファクトリー 代表取締役社長 CEOの加藤 健太より、お話ししました。
特に申請は必要なく、せっかくやるなら本気で取り組むことを推奨するほど。唯一のルールは「オープンにすること」。
身近な人の複業実践の話を聞いて、影響を受けられるためのルールとのとのことでした。
トークセッション
さまざまな視点からキャリア自律について考えた上で、最後に登壇者全員でのトークセッションをおこないました。
コロナ禍、そして改正高年齢者雇用安定法の施行で70歳が定年になるこのタイミングの今だからこそ、キャリアへの意識転換をしたうえで自律に向かうことが大事。
早期退職や起業の意志をすぐに固めてしまうのではなく、まずは自分の価値を試し、確認する作業を繰り返して自分の価値を把握した上で大きな決断をしてほしい、と平田氏。
ミドル・シニアが次のキャリアの一歩を踏み出すために、企業として、1つ1つ事例を積み重ねていくことが今できることだと気づきを得た回でした。
ライター:さーやさま(@sayaaan1582)