ロジカルシンキングは問題解決の基本の思考法かのようにビジネスの世界でよく使われています。
ただ、それと対をなして重要な思考法のラテラルシンキングはこれまであまり注目されていませんでした。
しかし、VUCAと呼ばれる今の時代、これまでにない発想が求められる時代ではラテラルシンキングという思考法が重要となり、再び注目されています。
そこで、なぜラテラルシンキングが重要なのか、どのような方法で身につけられるのかを研修事例も交えてご紹介します。
ラテラルシンキングとは?
ビジネスの世界でポピュラーなロジカルシンキングは、MECEやロジックツリーを用いて、前提条件の中で、物事を論理的に展開したり、説明したりする思考法です。
問題を論理的に展開していくため、原因分析がしやすい、誰もが同じ答えにたどり着きやすい、そのため、納得しやすいという特徴があります。
業務の延長線上、つまり、前提条件の中で展開していく思考法のため、垂直思考とも呼ばれ、効率化を追求していく時に長けている思考法です。
一方、ラテラルシンキングは、水平思考と呼ばれ、固定概念や既存の理論に捉われず、前提条件をなくして水平方向に発想を広げる思考法です。
物事を多角的に見たり、新しい発想を生み出したりと、ロジカルシンキングとは全く別の角度からアプローチするという特徴があります。
ロジカルシンキングとラテラルシンキングは相互補完の関係にあり、場面ごとに用いる思考法を使い分けられるかがこれからの私たちに必要なスキルとなります。
ラテラルシンキングが必要とされる時代背景
高度経済成長期を代表的に、各産業の市場拡大、それに伴い企業の成長をしてきたこれまでの時代は、メーカーを中心にモノをつくれば売れる時代でした。
そのため、企業活動は、規模の経済など、どのように効率的にサービスを提供するかを突き詰めることが重要でした。
その効率を追求していくような時代背景のため、矛盾を取り除いて考えていくロジカルシンキングが重宝されてきました。
当時は、既存の事業の効率化により業績が上げるため、ロジカルシンキングが高く評価されていましたが、IT技術の発展やグローバル化、少子高齢化、労働人口の減少、市場ニーズや価値観の多様化・複雑化など市場環境が大きく変わり、これまでの価値観やビジネススタイルが通用しない時代となりました。
つまり、VUCAと呼ばれる時代です。
「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」などが増している中、これからは変革への対応力が求められます。
そのため、前提条件をもとにしたロジカルシンキングだけでは、時代環境に対応ができず、前提条件に捉われず、物事を多角的に見たり、新しい発想を生み出したりするラテラルシンキングの重要性が増してきました。
ラテラルシンキングが活かされる場面
ラテラルシンキングは、次のようなシーンで活用されています。
・既存技術を用いながらイノベーションを起こしたい
・成熟期の市場から新商品を開発したい
・これまでの前提条件では解決しなかった問題解決を図りたい
ラテラルシンキングの鍛え方
ラテラルシンキングの思考ステップの一例は、次の通りです。
①まずは、「視点→方程式→結論」という課題解決のプロセスの中の「視点」に焦点をあてる。
②その「視点」には、どのような「視点」があるかを、水平方向に出していくイメージで、複数のアイデアを出していく。
③その「水平方向」にアイデアを出す時に、次の切り口を用いる。
・前提を疑う
・抽象化する
・本質に戻る
・一見関係のない出来事もチャンスに転化する
・いつもと違う自分になって見る(自分・相手・第3者など)
④複数のアイデアの「視点」を、1つ1つ「視点→方程式→結論」のプロセスに当てはめ検証し、最良のものを選択する。
この思考プロセスを実践できるレベルまでに落とし込むには、反復トレーニングがとても重要です。
また、アイデア出しの名人になるために、日頃から情報のインプットとアウトプットを意識することが重要です。
インプットは発想のベースとなりますし、アウトプットは自分のアイデアの検証ができ、繰り返すことでアイデアの質が向上されます。
失敗を恐れず、実践していきましょう。
ラテラルシンキングが身につく研修事例
ラテラルシンキング研修やロジカルシンキング研修など思考法の研修は様々あります。
確かにその思考法に特化した研修も大切ですが、実践の場で活用できるように階層別研修の一コマにラテラルシンキングを使ったグループディスカッションを取り入れるのをおすすめします。この方法だと、新入社員、若手、中堅、リーダー、マネジャーと実施される階層別教育のタイミングで反復的に教育・実践ができ、お互いの思考法の習得度合いも確認できるからです。
例えば、リーダークラスの研修では、「テーマ『主体性のある後輩を育成するために』をラテラルシンキングを使って考えてみよう!」というグループディスカッションを行います。このディスカッションにより水平思考の実践と、そこで出たアイデアを職場に持ち帰りOJTに反映できます。
水平思考のアイデアが出にくい場合は、思考法のステップやアイデア出しの切り口をテーブルに置いておくのもいいでしょう。
ラテラルシンキングを身につけるには、経験を通じたトレーニングが欠かせません。
そのため、どのような場面で実践できるかを考え、定期的に機会を提供していきましょう。
エンファクトリーでは、越境学習「複業留学」を通じたラテラルシンキングの実践をおすすめしています。
普段の業務の延長ではないなかで、正解のない問いに向き合うことは、前提を外したり、本質に接する機会です。
ラテラルシンキングを強化したいと考えられている研修担当、育成担当の方はぜひお声がけください!