エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。
今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社オリエントコーポレーション 浅野様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業でのお仕事内容を教えてください。
私はオペレーション統括部という、事務系のセンターを統括する部署に所属しています。傘下には全国に14拠点の事務系のセンターがあり、センター管轄するライン機能が統括部にはあります。傘下のセンターに対して行ってもらう業務の方針や支援、指導などを総合的な管理をするのが我々の部の役割になっています。実行するために、本社内でいろいろ調整をしながら業務を進めています。
私は統括部の中の統括チームに所属していて、本社内での調整業務に加えてグループ会社を管轄するのも大きな役割となっています。私はチームの責任者として、それらを行いながら部下の指導育成、補佐等の仕事をしています。
──複業留学に参加するにあたり想いを教えてください。
複業留学前にプロティアン・キャリアのワークショップに参加させてもらい、改めてなぜ複業留学に参加するのかを自分自身で整理しました。
そのなかで、自身の課題として一番大きく感じたのが、20年同じ会社で働いていて組織依存が非常に強いということです。社外のネットワークやコミュニティに所属していないこともあり、社外に知り合いはいるけど相談できる人はいません。将来を考えたときに不安に思いました。営業時代は社外の方とコミュニケーションを取る機会がありましたが、事務系の部署に異動してからは、本当に社内メンバーとしか接していないんだと感じました。社外の人との関わりも増やしていきたいことも、参加を決めた理由の一つです。さらに、今まで培ってきたビジネスの能力で戦えるのか、社外では役に立つのか何か足りないのか確認したい思いもありました。
──複業留学で困ったことはありましたか。また、それをどのように乗り越えましたか。
正直、完全リモートだと言われて困りましたね。今まで基本的には対面で仕事をしてきて、リモートだけで物事が成り立つのか不安もありました。
朝に朝礼をして夕方にもう一度打ち合わせの場を作ってディスカッションする流れで複業は開始したんですが、正直それだけではコミュニケーションが足りているとは全く思えなかったですし、もっと増したいという思いがありました。ですから、打ち合わせの際には遠慮せずに言いたいことは言うようにしましたし、チャットなどの回数も増やすようにしました。例えば、何か報告するにしても朝と晩だけではなく、途中にももっとコミュニケーションを取ろうと心がけました。 自分の考えを伝えて相手の考えも伝えてもらうことを繰り返し、不安は解消できたかなと思います。
──複業留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
一番はスピード感ですね。物事を決めるスピードが、自社とは全く違いました。自社は慎重に物事を進めていく文化がありますが、受入企業ではディスカッションして、いいと思えばまずやってみようという進め方をしていました。
スピード感は良さではあるものの、マイナスに働くケースも十分あり得ると感じました。やってみてダメだったら違うことをやろうという判断は、時に本当にダメだったのか見極めが甘いのではないかと感じ、受入企業にそれを伝えたこともあります。
──複業留学では、自身のどのようなスキルやノウハウが活かせましたか?
営業スキルが活かせたと思います。ツールが全くない状態から営業をスタートさせました。まずは、提案書を一から作りましたね。そして、実際に提案書を使って営業をするにあたり、効率的なアプローチを提案しながら進めていきました。受入企業とディスカッションしながら、お互いに良い部分を出しあって進められたのがよかったと思います。
それから、社長が経営者という立場で、年上の部下との接し方に悩みを抱えていました。私も年上の部下をもった経験があり、接し方も色々考えてきたので、過去の経験談や失敗談を交えながら社長と会話をすることで、何か還元できるものがあったのではと思っています。
──複業留学の前後で、何か変わったことがありましたか?
私は週に1日複業留学、週に4日が本業という形で働いていました。複業留学を行ううえで本業を4日でやらなければいけなくなり、どうすれば4日でできるかもう一度自分の業務を見つめ直して考えました。 今まで通り働いていたら考えないことを、考えるきっかけにもなりましたね。
あとは、部下にも複業留学に行く旨を伝えたところ、自分たちで私の分の業務をカバーしようと動いてくれて チームの一体感はさらにでたと思いますし、私自身助かった部分もあります。
周りの協力もあって複業留学を続けられたと思いますし、周りのみんなに感謝をしています。いろんなことに気づかせてもらったのはありがたかったです。
──複業留学の経験を、今後どのように活かしていきたいですか?
受け入れ先で感じたスピード感は、本業にも求めていきたいです。私は決裁する立場になるので、部下に対してもスピード感について話しながら、自分自身もスピードを持ち、チャンスをどんどん掴んでいきたいです。あとは、使えるツールは活用していきたいなと思います。個人情報などの兼ね合いで使えるツールに制限が多いので、もっと柔軟性を持って良いものは取り入れられる会社にしていきたいと思います。
──複業留学に臨まれる方に、メッセージをお願いします。
複業留学先では遠慮せずに、積極的にどんどんコミュニケーションをとってくださいとお伝えしたいです。最初は緊張もしますし相手の出方も伺い、なかなか言いたいことも言いづらい部分もあると思います。でも、 まったく臆する必要はないので、思ったことは発言しましょう。
受入企業が求めているのは新しい目線で見てくれるビジネスパートナーだと考えると、 思ったことをきちんと伝えてあげるのは非常に重要なことだと思います。受入先はその道の知識には長けていますが、逆に言えば我々が本業でやっている分野に関しては全く知らないわけです。ですから、思うことを伝えるだけでも、受入先にはプラスになるはずです。
臆することなく自分の考えや想いを伝えて、互いに信頼関係を築いていけば、結果として相手の道も開けて自分の成長にもつながると思います。