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複業留学体験レポート「世の中への価値提供を俯瞰して見る意識を持ち続けたい」

エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。
今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社NTTドコモ 西様に、複業留学についてインタビューいたしました。

受入企業
KOTOBUKI Medical株式会社
https://kotobukimedical.com/


──本業での仕事内容を改めて教えてください

ドコモ本社に勤務し、担当課長として全国2000店舗以上あるドコモショップの運営・管理を行っています。具体的には、社員9名と派遣社員4名のチームで、店づくりやスタッフのユニフォームなど運営・管理に関する業務全般に携わっています。

──改めて複業留学に手を挙げた理由を教えてください

入社して約17年間、ドコモショップのマス営業に携わっており、それ以外のスキルや経験が全くない状態です。ひとりひとりが輝いているベンチャー企業で、自分自身に何ができるのかを見つめ直し、自分を客観視してスキルを確認したいという思いがありました。

また、現在担当課長としてマネジメントに携わっているため、ベンチャー企業のスピーディーなマネジメントに触れ、その力をさらに高めて本業に活かしたいと思いました。

──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?

複業留学がスタートして2〜3週間、全く知識のない医療業界に飛び込んだことで、裸一貫の状態に不安を覚える中、事前にミッションのすり合わせは出来ていたものの、何から手をつけていいのか分からず、果たしてこのやり方でいいのだろうかと悩みました。

定例のミーティングはありましたが、先方も忙しいだろうと気づかい自分からは連絡できず、意識合わせのためのレポートですら相違がないか疑問と不安を持ちながら進行していました。

乗り越えた方法は、自分自身を安心させるために徹底的なリサーチを行いました。ピンポイントで何かを調べるというよりは、幅広く多くの情報を調べました。限られた時間である定例ミーティングで、リサーチした情報を元に目線合わせや方向づけを行うことで、不安を解消させました。

──リサーチするなどの時間工面はどのように工夫しましたか?

留学先での業務が本業と全く異なる医療業界であったため、リサーチやレポート作成を行うことにおいて頭の切り替えがとても難しいと感じました。

そこで、ある程度本業と時間帯を切り離して注力する時間を確保できるよう、毎週月曜日は複業留学への傾注日として複業留学先との定例MTGや個人ワーク(情報収集やレポートの作成)を行いました。

複業留学先との定例MTGは月曜日の朝10時からのため、そこでフィードバックいただいた内容をその日の午後にブラッシュアップし、翌週の定例MTGまでにアウトプットを作成するという流れで工夫しました。

毎週月曜日を傾注日とするために担当内のMTGや打ち合わせも火曜日以降で調整するなど、担当内メンバーの理解もあり実現でき、本業における社外とのMTGについても基本的に火曜日以降にセッティングすることや部下のみんなに任せることで実現できたため、担当内メンバーの理解なく実現はできなかったと感じており担当内メンバーにはとても感謝しています。

──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?

留学先の業務にかける人数の違いと、メンバーひとりひとりの全力を傾けて仕事に挑む姿勢に驚きました。
留学先は、全社員15名いる中で営業はわずか2名です(研修期間当時)。一方、例えば弊社内で茨城県内を管轄する部署においてドコモショップ50店舗のルート営業担当は約10名います。
留学先は自社と異なり、全員野球で仕事をする状態ですので、チームメンバー各自の業務に対する必死さを感じ、それぞれが役割と責任を持ち仕事に挑んでいる姿勢が印象的でした。

──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?

VTT(模擬臓器)を海外医療機器メーカーに拡販するためのPR資料作成です。
PR資料作成するにあたり、VTTの特性の洗い出しや、海外医療機器メーカーの活動内容把握、リサーチを行い、最終的には特定の企業向けPR雛形作成まで行いました。

活かすことができたスキルは2点あります。
先ず、自社での経験を活かし、商品の特徴だけではなく、社会的な情勢を反映したPR視点です。本業では、店舗運営をサプライヤー企業と連携しアイデアをいただきながら作り上げ全国に展開しています。

例えば、ユニフォームの素材をとっても、弊社は2030年までにカーボンニュートラル宣言を掲げていることから、土にかえる素材活用の提案や、店舗づくりに関しては、間伐材を使った素材で棚づくりをするなど、環境に配慮した店舗づくりができるとアイデアを頂いたこともあります。
製品の「使いやすさ」だけを考えてしまうところを、サプライヤー企業から「世の中の視点」という新たな視点からアイデアをいただき作り上げているのです。
これを留学先に当てはめ、PRする視点を医療メーカーに刺さるような視点ではなく、 医療業界に染まっていない自分だからできる将来のビジョンを見据えた経営層に刺さるような俯瞰した視点からのヒントを提言することができました。

次に、普段の業務で心がけている「裏付けや根拠を持っての情報発信をすること」と「プラスαの提案をする」スキルを活かせました。
日頃から情報発信をする際は、様々な方に納得いただくための材料として、裏付けやエビデンスをとっての発信を心がけています。留学先でも、幅広く情報を収集し裏付けを含めレポートを提出し、プラスαの提案も行うよう心掛けました。

──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください

三つあります。まず、今まで目先の課題解決が先だっていた視点が、「ドコモの良さ」や「世の中への貢献」という視点に変化しました。
きっかけは、留学先で知識がない中、幅広くリサーチをかけ業界のレポートを読み業界理解を深めていくうちに、弊社にもサステナビリティレポートがあることに気づいたことです。サステナビリティレポートを読むことで、ドコモが与える世の中への影響を学び、自分の携わる仕事が世の中にどう影響しているのかを理解することができました。
また、自分の中だけで留めず、本業の定例会でメンバーへサステナビリティレポートを説明し、世の中へ与える影響を 共有しました
自社の取り組みや強みを知ることで、サプライヤー企業との応対も今まで以上に自信を持つことができると、いつもと違う角度からメンバーに自信を提供できたのではないかと思っています。これは、 複業留学開始一カ月目から実行していました。

次に、方針変更する際はしっかりと決断理由を添えて伝えることです。これは留学先から学びました。

最後の変化としては、留学先の「全員野球の体制」を自分に当てはめ、メンバー全員と同じ方向を向いて同じ想いを持つことの重要性を改めて再認識したことです。
全員で同じ方向を向くためには、まずメンバー全員に、自分が学んだこと、得られたこと、心がけたいことをレポート開示するなどして共有しました。リーダーである自分とメンバー全員が同期していないと、どこへ向かうのか不安になることもあると思い、今まで以上に個別に何でも聞いて欲しいことや、メンバーを信頼し頼りにしている旨をきちんと伝えるようになりました。

──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?

社外の方から客観的に自分自身を評価いただき、改善すべき点を気づくことができ、また自分自身の強みを再確認することができました。
社内メンバー(上司・同僚・部下)からのフィードバックは今現在自分が取り組んでいる業務内容の慣れ(特に私自身マス営業が長く同じ職種に配属されてきたため)もあり、私個人の評価としては客観視できておりませんでした。

私自身、業務に取り組む中で、人や仕事に対して真摯に向き合うことと関係する方々への感謝を日々忘れず邁進することを心掛けており、その点が3か月という短い期間で少しでも感じ取っていただけたのであれば、自分自身励みにもなりますし、当該点を強みとして自信を持って今後の業務に励んでいきたいと思いました。
また、チームメンバーにもこの学びを水平展開し、個々人がやりがいを持ち成長できる働きかけができたらよいなと考えています。

──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?

今の業務のみならず、今後社内異動があったとしても、携わる業務の課題だけに囚われず、世の中にどんな価値を提供しているのかを俯瞰して見る意識を持ち続けたいと思います。
自社を知ること、世の中をしっかりと見て業務を組み立てる必要性を改めて学んだので、今後本業に活かしたいです。

──他のメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?

自分自身が複業留学に参加する必要があると思う人は、行動に移すことをお勧めします。
その理由は2つあります。
ひとつは、自分自身のみならずチーム全体の成長に繋がるからです。
今回、自分が研修の際もチームメンバーの働きが素晴らしいこともあり、業務をしっかりと遂行してくれました。複業留学で学んだことをチームメンバーに教授することで、自分の成長のみに留まらずチーム力の底上げに繋がるいい影響を与えることができたと思っています。

次の理由は、新たな世界に飛び込むことで普段は得ることができない「達成感」「チャレンジしたという実感」といった刺激を得ることができるからです。
17年間自社の業務のみという状態は、良くも悪くもスキルや知識が偏りがちです。
全く知らない業界に飛び込むことで、当然のことながらストレスはかかりますが、成し遂げた達成感、安堵感は計り知れません。

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