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複業留学体験レポート「自分の価値観や既存の方法に囚われず、俯瞰的に考えて発言するようになった」

エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社パルコ 高石 由紀子様に、複業留学についてインタビューいたしました。

受入企業
FPサテライト株式会社
https://fpsatellite.co.jp/

 

──本業での仕事内容を改めて教えてください。

株式会社パルコのエンタテイメント事業部で法務業務を担当しています。 エンタテイメント事業部では、パルコ劇場やクラブクワトロなど、演劇、音楽、映画、出版、ギャラリー、カフェ等、多岐にわたるエンタテイメントを展開しており、会社の法務部とは別にエンタテイメントに特化した法務業務に携わっています。

──改めて複業留学に手を挙げた理由を教えてください。

過去にセゾングループ内で転籍した経験はあるものの、古くからの顔なじみが多い部署ということもあり、井の中の蛙大海を知らずになっているというコンプレックスがありました。
定年後のキャリアを考える中で、キャリアの選択肢が会社の再雇用しかない状態は避けたいという思いもあり、今のうちから何かしら働き方の選択肢を増やしておきたいと考えるようになりました。

社外で何か新しいことにチャレンジした場合、はじめは無力感に苛まれ自信喪失することが想像つきます。しかし、定年ぎりぎりになってからそのような体験をするよりも、少しでも早く自社以外の世界を知っておいたほうがいいと思いました。
複業留学という制度は、現職が担保された状態で、安心して新たな環境で働く経験を積むことができるということで、手を挙げました。

──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?

留学先のミッションのひとつである提供商品のPR戦略で、サービスの訴求方法の模索に苦労しました。
ファイナンシャルプランナーとのパーソナルトレーニングで家計改善を計るプログラムを訴求するにあたり、当初は設定価格への理解が難しい部分ありました。通っているパーソナルジムとの共通項があるのではないかと思い比較表作成や、周囲へのヒアリングをしましたが、設定価格への理解に時間がかかりました。そして、PR戦略として大衆リーチがかかるようなプレスリリース配信の提案をしましたが、大企業とベンチャー企業との予算の使い方や企画実行プロセスの違いを実感し、どう動けばいいのか分からず消極的なマインドになることもありました。

そんな中、留学先の社長から会社に対する熱い思いや起業時から変わらない「金融商品販売目的ではなくお客様の課題解決が第一」という企業理念について直接話を聞く機会があり、社長のぶれのない芯の強さに共感しました。そこで機能や価格ではなく、「お金について安心して相談できるパートナーが見つけられる」という、定性的で他にはない価値をアピールしようと考えが固まりました。

──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?

若さという年齢に囚われることなく社員を信頼して見守る姿勢に懐の大きさを感じ驚きました。
留学中、提供商品の価格設定について留学先の担当者の方と激しく議論する場面がありました。22歳という若さの留学先の担当者の方と50代の留学生が激しく意見を交わしている状態でも、社長は口を挟むことなく黙って見守っていました。自社に置き換えて考えた時、自分なら間に入ってしまうのではないかと思いました。
限られた人数で仕事をこなしていく必要がある中で、 メンバーへの信頼や役割分担がきちんとできており、社員ひとりひとりがしっかりと責任感を持って取り組んでいるところにとても感心し自社との違いを覚えました。

──複業留学先での活動内容を教えてください。

留学先企業の商品である家計改善を計るプログラムの訴求方法を考えることが主な活動でした。ホームページの見せ方の改善やセミナーの案内文の作成やチラシなどの宣伝物も作成しました。

──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
社内で発言する時に、相手のキャリアなど背景を俯瞰的に考えて発言するようになりました。
自社に長く務めていると、他部署から移動してきたメンバーに対して、今ある業務の進め方を伝えがちでした。また、自分の意見に共感が得られなかったり、やり方が自分とは異なると多少のストレスを感じ、深く関わることを避けることも多々ありました。

しかし、今回の複業留学を経て、相手のことを俯瞰的に考え発言をするよう心掛けるようになり、自分の価値観や既存の方法に囚われず、この人はなぜそれがいいと思ったのか、確かにこちらの方が効率的だなどと考えるよう心掛けるようになりました。また、対話の中で自分にストレスがかからないときは、相手にストレスをかけている可能性が高いと注意するようになりました。
相手と意見が異なることは当たり前のことで、話を進めるその先に相手の意見の本質が見えてくることもあると思うようになり、意見が合わない場合でも「自分のコミュニケーション能力が不足しているから」「相手に自分の意見をどうしたら伝えることができるのか」など、深く悩むことなく以前よりも少し気楽に考えることができるようになりました

このような考え方の変化は、本業においての打ち合わせでも変化が出始めているのではないかと思います。若手からベテランがそろう会議でも、意見が偏らないように外からバランスを保つ存在を意識して発言をするよう心掛けるようになりました。

──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?

自分なりにできることは努力したので、高く評価していただき素直に嬉しいです。
本業のエンタテイメントの世界は、物を売る仕事とは異なり生活必需品ではない分、受け取り側の背景を深く考え、物事の表現方法が大切になります。この点が自社を出ても活かすことが出来る部分であると気づくことが出来ました。

──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?

今までは社内のやり方や考え方しか知らない状態でしたが、複業留学で社外の経験を積んだことで、もっと広い視野でいろいろな仕事に取り組みたいと思います。
また、ベンチャー企業の熱い信念や理念にふれたことで、自身の退職後の働き方の選択肢としては、起業ではなく自分の長所を活かした業務受託などが向いているとわかり、ぼんやりとしていた考えがクリアになりました。今後は、本業とは別に、ボランティアではなく実際に対価が発生するような副業にチャレンジしてみたいと思います。

──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?

周りのメンバーには「すごくいい」「私もやりたい」など、興味関心を持つ人も多くいますが、仕事の忙しさや時期を理由にチャレンジを先延ばしにする人がほとんどです。ただ、年齢は待ってはくれません。時間も自分で決断して作らないと会社が作ってくれることは一生ありません。
社外に出ることで、今やっている仕事を別の角度から客観視でき、やはり好きだと再認識することや、他に自分に合う仕事を発見し別のキャリアを選ぶチャンスに繋がることもあります。今の仕事をこのまま続けていくことへの不安が少しでもある人、また、惰性になってしまっていると感じることがある方は、忙しさに逃げることなく自分から会社に申し出て時間を作りチャレンジしてもらえたらと思います。

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