エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社オリエントコーポレーション 田尾様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業での仕事内容を改めて教えてください。
支店統括部に所属し本社にて、全国にある営業店の中で私が担当している東日本エリアに当たる北海道・東北・関東・甲信越15支店の統括業務に携わっています。担当エリアの事業計画達成に向けての各種施策などを実施し、各支店の支援やサポートを行っています。
──改めて複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
入社して17年が経ち、営業店に加えて本社勤務と現職の中では比較的幅広く業務経験を積んできました。一方で、自社の経験が長くなるにつれ、固定概念が生じ、考え方が自社に染まっているなと感じることがありました。
複業留学を機に、異業種企業の社外知見に触れ、今後の仕事のスタイルを良い方向に変化させ、自分自身の成長を組織の成長に繋げていきたいと思いました。
また、自社事業でもDX化や異業種とのコラボ企画などの事業展開を始めており、複業留学で異業種のスタートアップ企業で働く経験を本業に活かしたいと思い、手を挙げました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
大きく3つのミッションに取り組みました。
一つは、農家で働きたい個人(「クルー」と呼びます)と働き手を募集したい農家の獲得拡大です。
次に、農家の求人とクルーの応募のマッチング率の向上のための改善策の立案、最後に、フランチャイズの活性化に取り組みました。
クルーと農家の獲得拡大ミッションでは、20代へのアプローチの1つとして、農業関係の大学へアプローチを試みました。本業で培った法人営業の経験を活かし、電話での営業やアポイント獲得後の訪問など、スムーズに業務をこなすことができました。
マッチング率の向上とフランチャイズ活性化ミッションでも、現在本業で扱っているPowerPointやExcelのスキルを活かし、留学先サービスの既存マニュアルや、アプリのダウンロード画面などの制作物を作成することができました。
また、当時受講していた社外講座「ビジネスブレークスルー大学の問題解決プログラム(戦略立案コース)」の体系的な考え方という部分を、3つのミッションの戦略立案の際に役立てることができました。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
ミッションは明確でしたが、初めは具体的に何をしたらいいのかが見えず、正解がない中で、自分で考えて見つけていくことに一番困りました。
乗り越え方は、手探りと言いますか、とにかく相手を知ることに努め、話を聞きました。
丁度学んでいたフレームワークを活用して留学先のことを理解し、同業他社を調べ、クルーと農家のことを知るために農業体験をし、情報収集をしました。見つけた課題については、留学先の代表と毎週話をする中で話し合いをして課題の確認を行い、1つ1つの課題に対して取り組んでいくというやり方で乗り越えていきました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
とにかく一番驚いたのは、人数の少なさです。
事業内容は、私が携わった事業の他にも、福祉施設と農家がコラボした事業もあります。アプリ更新や事業運営、フランチャイズ展開や問い合わせ対応など、業務内容は多岐に渡りますが、協力会社の担当者約5名と、留学先の2人がメインという人数で、これら全てに取り組まれており本当に驚きました。
自社の場合は、いろいろな部門があり、その中でも商品や営業、事務など業務が分担され、さらにその中にはチームがあり、多くの人材で仕事をしているため、自社とは全く違っていて本当に驚きました。私も本業ではチームの人数減により日々忙しいと思っていましたが、私の何倍もお忙しそうでした。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
インプット・アウトプットを意識することで、仕事への取り組み方が変わりました。
今までは自己啓発のため社外講座を受講しても、とても勉強になったと思うことで終わっていましたが、今回インプットしたばかりの情報を、複業留学期間中にアウトプットし、学びを活かすことができたという体験をしました。
本業でも、会議中に問題が議論されている際、今までは何となく思いつきで話しをしていたところを、社外講座で学んだフレームワークを意識して考えてみるなど、自分自身の考え方に変化が起きたと思います。
発信という点では、本業で15支店の統括業務を行う中で、普段の電話の際に支店のメンバーと話しをする機会があり、今回の複業留学についても話をしていました。影響があったかはわかりませんが、次の複業留学に手を挙げたメンバーがいると聞いて、嬉しく思いました。
──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか?
何が正解なのかわからない不安を持ちながら複業留学を進めていく中で、「自分だけが不安なのかな」という思いがありましたが、他のメンバーのレポートを拝見し、他のメンバーも手探りで進めているメンバーがいることを知り、取組内容を見て刺激をもらいました。
また、仕事のやり方の面でも、留学先の中にかなり入り込んで進行されているメンバーもいて、自分自身ももっと入り込まなくてはと学びを得ました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
自分なりに、どうしたら留学先の役に立つことができるだろうか、留学先に自分が何か残すことができるだろうかという思いで複業留学に挑んでいたため、実際に留学先の役になっているのだろうかと不安に感じることがありました。今回フィードバックで高く評価して頂いた部分もあり、自分の思いも伝わり、良い方向から見て頂いていたのだということが分かりとても嬉しかったです。
また、評価を受けて本当に参考になったのが、フィードバックの将来性にある今後身につけるスキルや積んだ方がいい経験に記載のあった「ストーリー性を持った企画提案資料作成、相手を引き込む力」というコメントです。
留学先で打ち合わせの際、「こうしてみてはいかがでしょうか」とお話する機会が何度もありましたが、話をするだけに留まり、その場ではあまり手ごたえを感じない場面がありました。
この評価を受けて、その原因は「ストーリー性が必要だったのかな」と大きな気づきを得ることができました。今後は、企画をする際などはストーリー性を意識して取り組みたいと思います。
本業では、積極的と言っていただく機会はさほどある方ではありませんが、自主性や積極性を高く評価して頂いたので、今後は本業でも意識して積極的に行動していこうと思いました。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
本業で企画する際などには、評価でご指摘いただいた「ストーリー性」を意識して取り組みたいと思います。
また、インプットとアプトプットの意識を忘れずに、複業留学で体験したことや、今受講している新しい講座もしっかりアウトプットして、日々自分を成長させていきたいと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
もし少しでも気になるのであれば、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
留学先での業務開始前に、自分を振り返る場を設けて頂いていますが、この時間だけでも相当価値のある時間となると思います。
もちろん、その後の留学先での実体験は、とても貴重な機会であり、自分の意識の仕方や積極的に動くことでプラスに繋がります。私の場合は、最終的にはリモートワークが多く、丸一日は複業留学にあてるというスタイルで挑戦しましたが、集中して業務にあたることができやりやすかったです。