エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 沖田様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業での仕事内容を改めて教えてください。
人事企画部に所属し、人事制度関連の企画・運用や、エンゲージメント施策の導入、他社内の会議体資料の作成等といった幅広い業務を行っています。
──改めて複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
自社の人事制度の変更に伴い、専門性と人間性を高める方針となりました。それらを高めるため社員が自発的にチャレンジし、自己肯定感を高められる制度として複業留学を導入しました。
参加者の変化を目の当たりにする中、自分ならどのような変化が起こるのかを知りたい気持ちが高まり、今回チャレンジすることを決意しました。
また、入社以来ほとんどの時間を人事として過ごしてきましたので、対外的な営業経験はなく外の社会をあまり知りません。この機会に少しでも異なる社風や仕事に触れ、自身の考え方の幅を広げるなど、成長に繋げたいと考えております。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
農業の人手不足解消を目的とした福祉事業と連携した既存ビジネスモデルがあり、今後この障がい者雇用支援型ビジネスモデルを拡大していくために必要な内容について検討・提案を行いました。
私が持っている障がい者雇用型サービスの知見を活かし、先方とどのようなビジネスモデルを作ればいいのかを、毎週オンラインミーティングですり合わせブラッシュアップしていきました。
具体的には、考えた内容を提案し、それに対するコメントを頂きながら、意見交換をしつつ課題点や提案事項を資料にまとめ提出しました。
現在携わっている人事の知識や、経営に提案するための資料作成スキル、プレゼン力を活かすことができたと思います。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
毎週一時間のミーティングという限られた時間の中で、自分の考えが思うように相手に伝わらなかったときに困惑しました。
自分の考えを説明する際、相手の考えと方向性が違っていると気づいた時、それをどのように修正していくかという点が困りましたね。
乗り越え方としては、口頭で説明した内容で伝わりづらかった点や、ニュアンスが違う形で受け取られているなと感じた点を、パワーポイントで文字や絵図として可視化し、次のミーティングで資料を使って説明して、軌道修正することができました。
──お忙しい本業との兼ね合いはどのように乗り越えましたか?
平日帰宅時間が遅くなった時は、頭の中のエネルギーも少ないこともあり、あまり考えないようにして、土日に考えをまとめるようにしていました。週に一度の活動なので週6日は空いていますが、自由に使える時間はさほど多くはありません。オンオフの切り替えがうまくできたことで、オフの時間も効率的に使うことができたと思います。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
留学先の行動力に一番驚きました。
一週間の間に、公的機関とアポイントを取り、アイデア段階の考えを相談して、公的機関の方からアドバイスをもらったという話を聞いた時には、スピード感もしかり、その行動力にとても驚きました。
自社の場合、金融機関ということもあり、ある程度社内で固まった提案しか社外に出さない風潮があります。
今回の公的機関へのアポイントでは、関係者へのヒアリングだけに留まらず、どのようにすればこのビジネスモデルを継続することができるのか、支援を受けることができるのかという目線で情報を仕入れていました。このような行動力・物事を動かしていくスピードに関して、自社との大きな違いを感じました。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
今回の経験で、自分の考え方の癖がよく理解できました。
知らず知らずのうちに自分の得意とする内容に話を持って行っていることに気づきました。置かれている状況に応じて、自分の思考癖なくコミュニケーションしていきたいです。
周りの人への影響は、もともと複業留学を事務局として運営していたので、今回の社内通達を見て、多くのメンバーから声をかけて頂きました。チャレンジしている人には、明るい話題が多くふってくるのかなと感じました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
日頃接することのない第三者から評価していただきましたが、自分で認識している自分のいいところや悪いところを、この三カ月間である意味見破られたと思っています。
評価の結果が、自分の想定と真逆の結果だった場合、自分を出し切れていなかったことになりますが、今回はある程度想像していたところを評価やご指摘いただきました。それなりに素の状態で臨むことができたのかなと感じています。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
今までは、自分の中で見つからない答えを探しに行く時、少しタイミングが遅れがちでした。複業留学を経て、知らないところへ踏み込むことや、日頃の業務では触らないような知識や情報を取りに行くことに対して、臆病ではなくなったかなと思います。
留学先ではどうしても、さほど自信がないことを相手に提案する必要がありました。相手にどう思われてもいいから自分の伝えたいことを伝えようという度胸がついたかなと思いますので、これからの糧にしたいと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
複業留学は上手くいく経験だけでなく、「こんなはずじゃなかった」という気づきも含めて自身の成長に繋がります。
私自身も、フルリモートで業務をすすめ、初めは1対4~5を意識していましたが、結局は最後まで1対1でした。また、自分の考えていた内容が途中で全体的にひっくり返ることもありました。このような経験を含めて、「こんなはずじゃなかった」を知りたいと思える人にチャレンジして頂きたいと思います。
また、複業留学は個人でトライする必要があります。
自分の考えていることを整理して、それを先方に提案する業務が恐らく多いと考えられるので、自分自身で自分のチャレンジを応援する必要があります。「人から勧められたからちょっとやってみようかな」という軽い気持ちでは、モチベーションの維持が難しくなるのかなと思いました。自分に足りない部分や、異質な空間に飛び込むことをきちんと自任できる人に参加してもらいたいと思います。