エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社オリエントコーポレーション 椎原様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業での仕事内容を改めて教えてください。
私の所属するクレジットセンターという部署は、お客様からのローン申し込み後の審査などを担当しています。その中で私は教育チームに所属し、支店全体の人材育成や各種研修資料、業務マニュアルの作成に関与しています。
──改めて、複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
2013年に入社して以来、ずっと同じ部署で働いてきました。他の社員が部署異動を経験している一方で、私は同じ環境に留まっていて、自分の経験や考え方に偏りがあるのではないかと常々感じていました。慣れ親しんだ環境で日々を過ごし、年数だけ重ねていくことへの不安を感じ、自分自身に多少の負荷をかけてでも、外の世界を経験し、自分を高めるための新たな経験を積みたいという思いから、手を挙げました。
──外の世界での経験にどのような期待を抱いていましたか。
入社以来、自社の常識にしか触れる機会がなかったことから、一度自社以外の異なる環境に身を置き視点を変えることで、自社を客観視し、良い発見や改善点を見つけることができればと思いました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
属人化業務の解決、業務の取捨選択、そして顧客満足度の向上について取り組みました。
留学先は、使われなくなった着物をフォーマルなワンピースやドレスに仕立て直すことで、新たな付加価値をつけるというサービスを提供する事業展開をしています。
留学先の実務は一人の担当者が全て行っており、マニュアルもなく、一人で抱える業務量も非常に多く、担当者の頭の中にだけで全て把握されており、属人化が進んでいることが大きな課題でした。
この課題に対して、本当に必要な業務の洗い出しや見直しを、異業種の目線で行いました。業務フローのレクチャーを受け、それをマニュアル化し、フィードバックを受けるというサイクルで業務を進め、その中で、顧客満足度に繋がるアイデアがあれば、それも合わせて提案しました。
活かせたスキルとして、本業でも豊富な経験のあるマニュアル作成スキルが挙げられます。これを見ればだいたいの内容が分かるような仕上がりでマニュアルを作成することができました。また、業務フローの改善でも自社での経験を活かすことができ、提案することができました。
──複業留学で困ったことは何ですか?
留学先の社員になりきれず、遠慮の気持ちを払拭するのに苦労しました。
留学先の実務担当者が毎日休みなく働いていると聞いて、質問事項や提案に対して「本当にいいのかな」と遠慮する気持ちがあり、積極的にコミュニケーションを取ることができませんでした。
──困ったことをどのように乗り越えましたか?
自分自身が壁を作るのではなく、留学先企業の課題解決の一部となりたいという気持ちを持ち、コミュニケーションを取ることで、いつの間にか遠慮することなく積極的に提案できるようになりました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
留学先で驚いたことは、自身の思いついたアイデアがすぐに形になったことで、これはベンチャー企業特有のスピード感を実感した瞬間でした。
自社では、一つの変更を行うためには多くの調整や承認が必要で、なかなか実現しないことが多かったので、この経験は自身の自信に繋がりました。
また、留学先の社員が非常に忙しく働いているにも関わらず、不満を口にしない姿に感銘を受けました。その理由を尋ねたところ、やりがいや使命感があるからだという回答を得ました。
さらに、自社でも人事制度改革が始まり、自分がやりたい仕事に手を挙げる雰囲気が出てきていることから、自分がやりたいと思った仕事ができたら、雰囲気も変わってくるのではないかと思いました。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
複業留学を経験した後、自分が恵まれた環境で仕事をしていることを改めて実感しました。
最初に感じたのは設備面で、パソコンやモニターなど、当たり前のように使っていた設備がしっかりと整っていることに感謝の気持ちを持つようになりました。
また、自社が60年以上続いている会社であることの価値を再認識しました。新興企業と比較して、長い歴史を持つ会社は信用力があり、それが大きな強みであると感じました。一方で、新興企業は技術力があっても信用されにくいという課題があると理解しました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
他社の方から自分の働きぶりについて詳細な評価を受けることはほとんどないため、自分の強みや改善点を見つけることができ、非常に有益だったと思います。
また、自分が自社の常識だけに縛られていたことに気づきました。大企業の縦割りの慣習に縛られていたと感じており、今後はもっと自由に考え、思い立ったら行動に移せるようになりたいと思っています。ご指摘頂いた弱点もプラスに捉え、改善していきたいと思います。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
私が複業留学で得た経験は、異業種の業務改善に携わる機会でした。
その経験から、業務について知らないからこそ新たな視点で提案できることを学びました。
私の部署における業務改善は、業務に携わる人たちの中で考える文化がある一方で、全く違うチームの人が新たな視点で考えることも有効だと感じました。
また、評価シートには「最初から完璧なものを求めるのではなく、まずはやってみて、ダメならやり方を変える」というアドバイスがありました。これは、ベンチャーのスピード感と大企業の堅実さをハイブリッド的に組み合わせていくことが良いと感じました。
さらに、私の次の仕事はグループ会社に出向しリモートで法人営業をするというもので、この複業留学で得た経験が活かせると思います。
この出向は、非常にイレギュラーな時期に決まりましたが、複業留学の経験があったからこそ、不安を感じることなく挑むことができます。
この経験を通じて、複業留学の価値を改めて感じ、これからも積極的に推奨していきたいと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
私が複業留学を他のメンバーにおすすめするとしたら、まずは「最初の一歩を踏み出す勇気が必要だ」と伝えたいです。
私自身、最初は「複業留学は本社勤務の人や特定の年次の人向けの制度」なのではないかと思っていました。しかし、実際には全く関係なく、自分でも知らなかった自分を発見できる経験だと感じました。
また、私が次に挑む仕事はグループ会社へ出向しリモートでの法人営業ですが、これは複業留学の経験があったからこそ、不安を感じずに挑むことができます。この経験がなければ、私は営業ができないと思っていたかもしれません。だからこそ、私は他のメンバーに対して「複業留学は自分でも知らなかった自分を発見できる経験だから、ぜひ挑戦してみてほしい」と伝えたいです。
不安は大きいかもしれませんが、その不安を乗り越えて前向きに頑張ることで、新たな自分を発見できることを伝えたいと思います。
──最後に複業留学活動の全体を振り返り感想などあればお聞かせください。
全体を振り返ってみて、複業留学は非常に有意義な経験だったと感じています。
準備期間は大変でしたが、自分のキャリアを振り返り、自分に何ができるかを考えることは、自分自身の成長にとても役立ちました。
また、複業留学同期の人たちとの交流も非常に良かったです。互いにレポートを読み合い、仲間意識を感じることができました。