エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた大日本印刷株式会社 中野様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業での仕事内容を改めて教えてください。
オプトエレクトロニクス事業部に所属し、工場の生産技術職を担っています。具体的には、生産効率の改善や、製造している商品の品質改善などが主な業務です。
──複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
複業留学への参加は上司からの推薦によるものでした。
上司からの推薦を受け、新たな経験を積む良い機会だと考え、参加を決めました。自社に勤め15~16年となる現在、少し視野が狭く感じていた部分もあり、複業留学は新たな視点を得る絶好の機会だと思い、積極的にチャレンジすることを決めました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
留学先での活動内容は、人的資本経営に関する12社ほどの調査とレポート作成、そしてそれに対するコラムの提案でした。具体的には、2社ほどのコラムを執筆しました。その中で、 困難な状況でも一定の結果を出そうとする粘り強さを活かすことが出来たと感じています。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
複業留学で最も困ったのは最初の一ヶ月間、複業留学期間中、何をどのように進めていくか、課題を設定していく、ということが困難でした。本業の上司や留学先の代表からの期待に応えるために、自分自身に対するハードルを上げることもありました。
アイディアの提案に行き詰ったとき、留学先の代表が助け船を出してくださったことで「何かできそうだ」という希望を持つことができ、最後までやり遂げるという強い意志を持ち乗り越えることができました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
私が最も驚いたのは、留学先では、ほとんど打ち合わせを行わないということでした。社員の方と話す機会があまりなかったのですが、ヒアリングを行ったところ、毎週木曜日の朝に10分だけ打ち合わせを行っている以外は特にないとのことで、これには驚きました。社員同士での情報共有や相談はあるのですが、進捗状況の確認などは私が行った日は全く行われていませんでした。
また、会社の出勤時間や退勤時間もきっちり決まっており、10時に出勤して19時に退勤するというスケジュールが守られていました。仕事を始める時には、やるべきことがすでに決まっていて、それを各々進めていくというシンプルな作業が行われていました。
本業でも不要な打ち合わせはなるべく減らし、必要なものだけを行うというスタイルを取り入れてみたいと思います。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
極端には変わったとは思いませんが、私自身の考え方には一定の変化がありました。
もともと社員の能力が十分に活かされていないと感じることが多く、それがもったいないと思っていました。その中で、複業留学を通じて改めて「人的資本経営」という考え方を学び、それがこれまでの自分の考えと近いものであると感じました。具体的には、 自分より若い世代をサポートしたいという思いが強くなりました。しかし、私自身は人付き合いが得意ではないと思っているため、どのようにサポートするかはまだ具体的には決まっていません。ただ、もったいないと感じる若手のメンバーに対して、積極的に関わっていこうと思っています。
また、その過程は自分自身の能力を試す意味もあります。私自身が若いメンバーのモチベーションを上げるような能力があるのかどうか、それを試してみたいとも思っています。その結果、モチベーションが上がったと感じることができれば、それは自分が管理職に向いているという証拠になるかもしれません。
──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか?
はい、特に前半において、同期の皆さんが具体的な取組みを始めているのを見て、その活動に対する決意の強さや進行具合には驚きましたが、焦りやモヤモヤする感情はあまりありませんでした。
現状は、乗り越えるしかないと思っていたので、他の方が活動を進めている様子を見て焦るという感情よりも、むしろ自分も頑張ろうという気持ちに繋がりました。悩んだからといって、特別に何かが変わるわけでもないので、割り切ってやれることをやるというスタンスを取りました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
良い評価をいただいたものの、先方の期待値に対して、大きな成果を出せていないと感じ、本業以外の世界では自分のスキルを発揮し大きな成果を出すことは難しいと感じ、心苦しく思いました。
しかし、評価の中には私の粘り強さなどを見ていただいている部分もあり、その点について寛大に評価して頂き感謝しています。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
大日本印刷が人的資本経営に注力していることを認識しており、特に統合報告書を見るとその取り組みが前年と比べて大きく進んでいることがわかります。この流れに乗り、私自身も若手のサポートに力を入れていきたいと思っています。
複業留学の経験を活かし、社内での人的資本経営の浸透を進める役割を果たしていきたいと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
私が複業留学を他のメンバーにおすすめするなら、もし自分のように「新しい経験に興味があるなら、ぜひ試してみてください」また、「自分自身を見つめ直したいという時期にいる人には、特にトライしてみることをおすすめします」と伝えたいと思います。
私自身、複業留学は自分を見つめ直す時間 となりました。そして、自分が本業の会社で何ができるのか、何をしたいのかということを見つけることができたと思います。十分に達成感を得ることができる経験だと感じています。