エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた帝人ファーマ株式会社中嶋妙木様に、複業留学についてインタビューいたしました。

──本業での仕事内容を教えてください。

私の主要な職務は、医薬品のプロモーション資料が定められた基準に準拠して作成されているかを審査することです。この業務は医薬品広告の適正性を確保するためのものであり、実際には細部の確認が必要で、漏れや表現の適切性を見極める能力が求められます。例えば、過度な宣伝や、不適切な言葉遣いがあった場合、それを指摘し、修正することもあります。

──複業留学に手を挙げた理由を教えてください。

私が複業留学に参加した理由は、自分の視野が狭まり、柔軟性が失われることへの懸念からです。日々の業務に慣れてくると、自分が全てを理解し、全てを制御できるかのような錯覚に陥りがちです。しかし、それは自己満足に過ぎず、自分がそれほど優れているわけではありません。
私は自分の成長の伸びしろを広げるために、視野を広げ、固定観念に囚われず、自分の立場を客観的に見ることを常々心がけています。また、複業留学開始前に受講したプロティアンワークショップ研修で「現状に満足してはいけない」という教えを受け、それが自分の中に深く刻まれました。
複業留学は、これらの思いを実践する最適なプログラムだと思い、参加を決めました。

──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか？

私の主な活動は、本業で担当している業務の効率化を目指し、どのようなAIシステムを導入するのが有効かを調査することでした。その調査結果を基に最適なシステムを選択し、それをベンチャー企業の関係者と共有、そのフィードバックを得るという流れで活動を進めていました。この活動においては、私の以前の営業経験が大いに役立ちました。人間関係の構築に自信があり、それがこの活動をスムーズに進める大きな力となりました。特に、何か疑問点があった際には、躊躇することなく取引先に電話をして問い合わせるなど、積極的に情報を収集することができました。このは、知らないことを人に尋ねる・積極的に教えを乞うという私の特性は、新たな環境に飛び込む際に大いに役立つと考えています。

──複業留学で困ったことは何ですか？　またどのように乗り越えましたか？

複業留学で最も困難だったことは、本業の業務内容の情報をどこまで開示共有するかの判断でした。本業の業務にAIを適用する際には、業務の詳細を開示しなければならない状況が生じます。その際に、どの情報が社内機密に当たるのかを慎重に考える必要がありました。これまでそのような視点で考えることがなかったため、これが新たな課題となりました。情報の取捨選択、つまり何を外部に公開して良いのか、何を秘密に保つべきなのかという判断を行うことは初めての経験で、判断力を鍛える良い機会となりました。また、前提知識が異なる人とのコミュニケーションでも困難を感じました。本業では共通認識がある前提で話を始めることができますが、留学先のように、そうでない人と話すときにはどこから説明を始めるべきかを考える必要がありました。しかし、このような 困難を乗り越えることで、自分の知識を整理し、新たな視点を得ることができました。それは、自分が当たり前だと思っていたことが、他の人にとっては当たり前でないということを理解する機会にもなりました。

──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか？

留学先で最も驚いたことは、一人でプロジェクトを最初から最後まで担当するという業務形態でした。本業の業務では、一つのプロジェクトを複数の部分に分割し、それぞれを完了させて最後にまとめて報告するという形でした。そのため、達成感はあるものの、大きな達成感はあまり感じられませんでした。しかし、留学先では最初から最後までプロジェクトを一貫して担当し、完成させて誰かに提供するという進め方のようで、これは非常に大きな達成感を感じるだろうなと思いました。
ただ、その一方で予算管理などの事務的な業務も伴うため、大変な部分もあります。本業の業務では、分割した仕事に集中することができますが、留学先では全体を見渡して業務を進めることが求められます。その違いに驚きつつも、プロジェクト全体をリードして進める立場になりたいという思いが強くなりました。

──複業留学の前後で何が変わりましたか？　もし、周りの人への影響があれば教えてください。

複業留学を経験したことで、デジタル技術への興味が大きく高まりました。専門用語が多く、初めはハードルが高いと感じていましたが、実際に取り組んでみると、それほど難しくないことに気づきました。新たな技術を使えるようになったことは、楽しみの一つとなり、この経験を通じて、新しいことに対する恐れや先入観を持つことは損失だと感じるようになりました。新しいことに挑戦することは楽しく、自己成長につながると実感しました。複業留学の取り組みは周囲の人々にも影響を与えていると感じています。特に、AIに関する業務を担当している部署では、私が最年少であるにも関わらず、積極的に業務を任されるようになりました。 これまでは受け身の姿勢も多かったのですが、複業留学を通じて積極性が増し、自分から行動することが増えました。これからも、この経験を活かして、自分自身で新たな価値を創造し、周囲の人々にも影響を与えていきたいと思っています。

──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか？

自分と同じく複業留学に取り組んでいる同期がいるというだけで、安心感がありました。そして、自分が困難に直面したとき、他の人も同じような課題に直面していることを知ると、不安が軽減され、精神的な支えとなりました。また、自分の取り組みがあまり進んでいない週に他の人がしっかりと取り組んでいる様子をレポートで見ると、「自分も頑張らなければ」とモチベーションを高める刺激となりました。一人で取り組むよりも、同時にスタートする仲間がいることで、互いに刺激を与え合い、より良い結果を出すための助けとなりました。共に取り組む仲間の存在がいかに重要かを改めて認識しました。

──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか？

第三者からの評価を受けて、特にコミュニケーション能力について高評価をいただいたことは、自分が意識的に取り組んでいたことなので、大変満足感を感じました。自分の努力が結果として評価され、それが成果となったと実感しました。

──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか？

複業留学を通じて得た経験は、私の会社への愛着をさらに深めるきっかけとなりました。私が所属する帝人という 会社に対する愛社精神が深まり、それが今後の仕事への姿勢に大きな影響を与えていくと思います。以前は自己評価や自己成長を重視していましたが、今は会社のために全力を尽くしたいという気持ちを強く抱くようになりました。帝人という大きなブランドの下で働くこと、そして過去の従業員たちが築き上げてきた信頼があるからこそ、私がここに存在できるということを深く感じています。その誇りを持ち続け、次世代に引き継いでいくことが私の使命だと感じています。
また、このようなプログラムを提供してくれる会社に対する感謝の気持ちも強く、学んだことを会社に還元していきたいと思います。
これまで、帝人が特別に優れた会社であると意識したことはありませんでした。しかし、異なる業界の企業との交流を通じて、帝人という会社の存在感や影響力を改めて認識しました。複業留学中は、帝人という看板があったからこそ取引がスムーズに動いたという体験が何度もありました。これからは 自分自身のためだけでなく、会社全体のためという意識を持って働いていきたいと思います。また、この経験を周りの人たちと共有し、帝人の素晴らしさを広めていきたいと思います。

──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか？

「やってみる価値があるよ」と伝えたいです。確かに困難もありますが、それを乗り越えることで自身の成長を実感できると思います。私は困難が訪れたとき、それを克服することで自分が強くなれると信じています。だからこそ、難しいことも挑戦する価値があると思っています。
現在、私は失敗してもサポートしてもらえる環境に恵まれているため、思い切って新たな挑戦をすることができます。一歩踏み出す勇気を持つためには、周りの人や環境を自分の味方にすることも一つの手かもしれません。ぜひ複業留学に挑戦し、新たな自分の可能性を見つけ、キャリアを磨いてみてはいかがでしょうか。

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