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複業留学体験レポート「異業種での学び:新たな組織運営とコミュニケーションスタイル」

エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社オリエントコーポレーション舘野琢己様に、複業留学についてインタビューいたしました。

受入企業
株式会社TRULY
https://www.truly-japan.co.jp/

──本業での仕事内容を教えてください。

私の主な業務は、金融機関への営業活動です。具体的には、個人向けローンの保証を行う商品を金融機関に提供しています。私たちの役割は単に金融機関が企画した商品を保証するだけではなく、新たな保証商品を企画し、それを提案することも含まれます。どのターゲットにどのように商品を提供するかというマーケティングの一部も私の仕事です。近年では、従来のローン保証だけでなく、オリコの与信・決済・回収ノウハウや当社を取り巻く豊富なアライアンスを最大限に活用して、金融機関に新たな価値を提供することにも注力しています。地域の課題解決や地方創生に寄与するようなサービスを提供することで、金融機関を通じて地域社会の生活を豊かにすることを目指しています。

地域創生やまちづくりに関与するようになったことで、ローンの保証とは一見無関係に見える領域でも、ローンの保証との接点を持つ新たなビジネスを考えることが求められています。空き家問題の解決に取り組む際には、空き家を購入したい人々を集め、その購入資金の調達を支援するといった形で金融機関が登場することもあります。このような経緯から、私の仕事は金融機関への営業から、より広範で深い課題解決に向けた提案活動へと進化してきました。

──複業留学に手を挙げた理由を教えてください。

私は新卒からこの会社に勤め、特に金融法人営業という分野に約11年間携わってきました。その結果、自分の活動範囲が一定の枠内に限定され、狭まっていると感じるようになりました。全く異なる分野に飛び込むことで、自分が触れることのできる新たな領域を広げることができればと考えました。
私のイメージでは、今まで携わってきた金融の世界が一つの小さな円で、その円を少しずつ広げていくような感じです。全く違う分野に飛び込むことで、新たな円を作り、そこからまた広げていくことができれば、それらがいつかつながって大きな円になるのではないかと考えました。具体的には、ヘルスケアや更年期といった、これまでの金融とは全く異なる分野に興味があり、複業留学を通じて、これらの新たな分野に飛び込んでみることを決意しました。

──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?

留学先での主な活動は、ターゲットリストの作成やリサーチでした。具体的には、現行の健康保険組合を持つ企業をインターネットで調査し、その企業がどのような取り組みを行っているのか、新しいことに対して積極的かどうかを見極めていました。
また、地方の有力企業や金融機関を探す作業も行いました。
この活動で活かせたスキルは、多くの情報を比較分析する能力です。これは私が本業の営業でよく行っていることで、どの企業がどのように活動しているのか、どの企業が先進的であるのかといった視点で情報を整理することができました。これは営業のターゲットを見つける際にも役立つ経験則となりました。

──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?

最初に困ったことは、自分が待ちの姿勢になってしまったことです。
留学先から具体的な指示がないため、自分から何か発信しなければと感じていましたが、週に一度の活動の中で、何を話していいのか、どのタイミングで話していいのかが分からなかったのです。
また、留学先企業のお客様や、営業先との面談に参加した際にも困りました。
私の立場が明確でなく、「あなたは誰?」という感じで、他者として見られてしまうことがありました。さらに、ZoomやTeamsの設定が、デフォルトで「オリコ」と表示されてしまい、それが原因で混乱を招いてしまったこともありました。
これらの問題を解決するためには、まずコミュニケーションツールの活用が重要でした。
留学先ではslackを使っていたので、PC以外にもスマホにインストールし、留学先から連絡が来たらすぐに返信することができる環境を整えました。
また、自分からも積極的に連絡を取ることで、留学先からもコミュニケーションを取りやすいと感じてもらえるようになりました。
お客様や営業先との面談に参加する際には、自己紹介のときに自分の立場を明確に伝えることが重要だったと感じます。またスーツを着てオリコの営業マンのような姿勢でいるのではなく、スタートアップの一員としてカジュアルな服装で参加することで、違和感を感じさせないようにするべきだったと、振り返って感じています。 本業のようにスーツで参加してしまったのですが、見た目からも自分は留学先企業の一員であるという姿勢を見せることができれば自分の意識の面でも変えることができたのかな、と思っています。

──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?

留学先で最も驚いたことは、決定が非常に迅速に行われることでした。組織の規模が小さいためか、社長があらゆるミーティングに参加し、情報の共有だけでなく、その場で具体的な決定を下すことが多くありました。社長がまさに、方針を決定するのを目の当たりにすることができました。
さらに、決定された方針が次の週には変更されることもあり、その迅速な動きには驚かされました。大規模な組織では実現が難しいことかもしれませんが、そのスピーディな決定過程は新鮮な驚きでした。

──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。

最も大きく変わったのはコミュニケーションのスタイルです。留学先ではSlackやTeamsのチャットツールを活用したコミュニケーションが主流で、メールよりも迅速に情報を共有していることに驚きました。その経験を活かし、 本業でも同じようチーム内のコミュニケーションにはTeamsのチャットツールやスレッド内のコミュニケーションを多用するようにしました。
また、 知識の共有方法も変化しました。以前は上司が全ての情報を把握し、それを部下に伝えるという形が主流でしたが、情報の共有が限定的で、上司の負担も大きいと感じていました。留学先では、全員が最新の情報をオンラインで共有し、誰でもそれを閲覧できるというスタイルを採用していました。これを本業にも取り入れることで、情報共有がスムーズになり、部下も自分たちで情報を探すことができるようになりました。
これらの変化は、周囲の人々にも影響を与えています。特に若いスタッフは、新しいコミュニケーションツールや情報共有の方法にすぐに適応し、その便利さを実感しているようです。また、誰が何を知っているのかが明確になったことで、目的を持って人に話しかけることができるようになり、コミュニケーションの質も向上しました。

──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか?

同期の中には、詳細なロードマップを作成している方もおり、その姿勢から大いに刺激を受けました。また、SNSへの積極的な発信を行っている方や、文章作成に優れている方からも多くを学びました。同期の活動レポートを見ることで、自分自身がもっと視野を広げる必要があると感じることもあり、それが新たな気づきとなりました。

──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?

評価シートを見たとき、自分が過剰に評価されているような感じがしました。しかしながら、良い点は励みにして、一方で、もう少し積極性が求められるといった部分は、自分自身でも認識していたことなので、納得して糧にしました。普段はなかなか第三者からの評価を受ける機会がないので、このような機会は非常に貴重だと感じました。

──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?

複業留学を通じて、企業の体質や組織の運営方法について深く考える機会が増えました
特に、上司から部下への一方的な指示ではなく、全員が共通の目標に向かって進むという組織作りに興味を持ちました。また、迅速な行動や形式にとらわれない意識も育てることができました。
これらの経験を活かし、今後は組織内で、たとえ小さなチームからでも進行方法を変えていくことができるようになりたいと思っています。具体的な行動計画はまだ見えていませんが、抽象的な考え方から具体的な行動に移すことを目指しています。

──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?

すでに複業留学に興味を持っている方に対しては、「何も考えずに挑戦してみる」ことをおすすめします。
一方で、複業留学についてまだ詳しく知らない方や、自分には関係ないと思っている方に対しては、「自分のリズムを作るために試してみる」ことをお勧めします。例えば、週に一度必ず留学先の活動日があると決めることで、その他の日の過ごし方やスケジュール作りの練習になります。
また、スタートアップ企業は社会課題の解決を目指して集まった人々であり、その視点は非常に貴重です。特に本業で触れている分野とは全く別の分野に飛び込んでみることをお勧めします。地域課題の解決に取り組む経験は、本業にも活かすことができます。そのため、複業留学は地域課題の解決に取り組む貴重な経験を得る機会として、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。

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