「自社のリーダーがうまく育たない」
「リーダーになりたがらない若手が増えて困っている」
こうしたお悩みをお持ちではありませんか?
リーダー育成は、企業の競争力に直接影響する重要な取り組みです。しかし、リーダー育成には落とし穴や課題が多いのも事実。組織の舵取りを担うリーダーを育成するには、何を意識すればよいのでしょうか。
本記事では、リーダー育成の基本的な考え方からおすすめの研修内容、よくある落とし穴を網羅的に解説します。
目次
リーダー育成とは?
リーダー育成とは、組織の将来を担う人材に対して、リーダーシップスキルを体系的に身につけさせることです。単に知識を習得してもらうだけでなく、実際に経営へ携わったりリーダー役を任せたりしながら、実践的なリーダーシップを身につけてもらいます。
リーダー育成の主な対象者は、次の通りです。
- 入社5~10年目の係長・主任クラス
- 新任課長
- 部長候補者
- 将来の役員候補
生成AIやIoTなどが台頭する昨今、ビジネス環境の変化が激しさを増していることは言うまでもありません。このような状況へ対応するため、的確に組織をリードできる人材を早期から選抜し、育成する企業が増えてきています。
成果につながるリーダー育成研修の内容とポイント
リーダーが身につけておくべき素質は主に次の4つです。
- 高い視座
- スピード感
- 判断力・決断力
- 情報感度
リーダー育成研修で身につけてもらうべきポイントを解説します。
高い視座
高い視座とは、組織や市場全体を俯瞰的に捉える能力です。「自分の立場よりも高い視点から物事を考えられる能力」とも言いかえることができます。リーダーに求められる最も重要なスキルの一つです。
高い視座を持ってもらうためには、実際に経営陣と対話する機会を設けることが有効です。特に部長や役員候補を育成する場合は、経営会議へ参加してもらうことで「経営層は何を考えているのか?」「企業全体の方針はどのように決められているのか?」を理解してもらいましょう。
課長層などの階層が低いリーダーを育成する場合は、部門横断型のプロジェクトへ参加してもらうことも効果的です。
スピード感
既に何度かお伝えしていますが、市場トレンドの変化は激しさを増しています。こうした時代にチームの舵取りを担うリーダーは、スピード感が欠かせません。
スピード感を伸ばすためには、まず求められているスピード感を理解する必要があります。自社の経営へ触れるほか、外部のベンチャー企業やスタートアップへ越境学習するのも効果的です。越境学習の方法や効果は、記事の後半で詳しくご紹介します。
判断力・決断力
判断力や決断力は、リーダーの信頼性を大きく左右します。
リーダーの仕事は、意思決定の連続といっても過言ではありません。例えば予算配分を決めたり、面接の通過者を決めたりするのはリーダーの役割です。意思決定が上手くできないリーダーは、組織の足を引っ張りかねません。
判断力や決断力を磨くためには、以下の3つを意識する必要があります。
- 判断に必要な知識や情報を集める
- 自分なりの軸や価値観を確立する
- 長期的な視野で判断する
研修を実施して、上記の3要素を身につけてもらいましょう。チームのサブリーダーに抜擢して、実際の意思決定に携わってもらうのも効果的です。
情報感度
情報感度とは、業界の動向や社会情勢の変化などを敏感に察知する能力です。
情報感度の高いリーダーは、例えばAIやIoTといった新しい技術の動向をいち早く知ることができます。VUCAの時代において、情報感度はますます重要度が高まっているリーダースキルの一つです。
情報感度を高めるためには、以下の2つが求められます。
- 触れる情報の量を増やす
- 触れた情報を取捨選択する
まず、ニュースや新聞、インターネット、プレスリリースなどの多様な情報源に触れる必要があります。しかし、残念ながらそれだけでは不十分です。情報が飽和している現在では、ただ単に多くの情報を集めても意思決定には活かせません。
そこで、触れた情報を取捨選択する能力が必要になります。自分の見聞きした情報のうち、どの情報が意思決定において重要なのかを判断できるようになることが重要です。
外部セミナーや異業種交流会に参加して情報収集するほか、情報のソースを確認するクセをつけるなど、情報リテラシーを磨いてもらうとよいでしょう。
リーダー研修は効果がない?よくある落とし穴は3つ
「自社のリーダー研修の効果が上がらない」とお悩みではないでしょうか。リーダー育成には、次に挙げる「3つの落とし穴」があります。
- 人材選抜で不公平感が生まれる
- 優秀な人材を現場が手放さない
- 実践的な場がない
ここからは、リーダー研修が効果ないと言われてしまう原因を解説します。
人材選抜の際に不公平感が生まれる
リーダー育成時には、対象者を選抜するのが一般的です。しかし、このときに不公平感が生まれることがあります。
「なぜあの人が選ばれて、自分は選ばれないのか」「上司の好みで決まっているのではないか」といった不満が生まれる、選抜されなかった社員のモチベーションも低下しかねません。選抜された社員との間にも温度差が生じ、組織全体の心理的安全性が下がる可能性もあります。
対策としては、選抜を透明化することが重要です。例えば、次の方法を検討してみましょう。
- 選抜基準を明文化する
- 直属の上司だけでなく、複数名で評価する
- 選抜時にフィードバックを行う
また、選抜するタイミングを複数回設けるのもよいでしょう。「一度選抜されなかったら終わり」とするのではなく、定期的に選抜のチャンスを作ることが効果的です。
優秀な人材を現場が抱え込んでしまう
リーダー育成研修の対象者を選ぶときは、直属の上司に推薦を依頼することも多いでしょう。しかし、このとき上司が優秀な人材を手放したがらないケースがあります。
特に、普段から成果へのプレッシャーが強い部門では注意が必要です。「この時期に主力メンバーを研修に出すわけにはいかない」「代わりがいないから研修への参加は難しい」といった理由で、優秀な人材を部署で抱え込んでしまう可能性があります。
研修実施時には、部門の負担を軽減しましょう。上司の評価基準を見直すなど、優秀な部下を研修に送り出すことに対して何らかのインセンティブを設けるのも手です。
実践的な場が十分に用意できていない
リーダー育成研修では、実践の場を設けることが大切です。しかし、座学中心の研修だけではどうしても机上の空論に終始してしまうため、実践的なリーダーシップを磨くことができません。
リーダー育成で実践的な場を設けるためには、以下のような方法があります。
- 実際のプロジェクトリーダー・サブリーダーを務めさせる
- 新人指導担当を割り当てる
- 越境学習で他社の経営層と協働する経験を積む
研修を座学だけで終わらせず、何らかの実践的な場とリンクさせてみてください。
リーダー育成研修を実施するなら越境学習もおすすめ
リーダー育成研修に課題を感じている場合は、越境学習の導入もおすすめ。
越境学習では3〜6ヶ月間程度の時間をかけて、ベンチャー企業やスタートアップへ留学します。期間中は週に1回程度活動し、留学先企業の一員として課題解決に取り組むのが特徴です。
ベンチャー企業やスタートアップでは経営層との距離が近いため、留学期間を通じて自然と高い視座を身につけることができます。ベンチャーやスタートアップの意思決定の早さを肌で感じることができるので、VUCA時代のリーダー育成にうってつけです。
弊社エンファクトリーでは、越境学習をはじめて導入する方に向けた「はじめての越境学習ガイドブック 」をご用意しております。リーダー育成をご検討の方は、ぜひ越境学習をプログラムに組み込んでみてはいかがでしょうか。
越境学習によるリーダー育成研修の成功事例4選
この記事の最後に、越境学習によるリーダー育成に成功した事例を紹介します。
リーダー育成に実践的な場を組み込みたい方、座学だけで終わらせないリーダー育成を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
大日本印刷株式会社
大日本印刷株式会社で新規事業開発チームのリーダーを務める秦さま。新規事業開発へ携わる中で、大企業ではどうしてもスピード感が不足していることを課題に感じていました。
そこで、ベンチャー企業へ留学する越境学習プログラム「複業留学」へ参加。裁量の大きさや予算感の差に戸惑いつつも、他者のフィードバックを得ながら成長を実感したそうです。
越境学習の効果について、留学後のインタビューでは次のようにお答えいただきました。
複業留学を経て、特にチームのメンバーや部下に対して、自分の想いや考えをはっきりと伝えるようになったと感じています。以前は新規事業のチームにおいて調整型のリーダーシップを優先し、部下がやりたいことやモチベーションを重視していました。しかし、今は自分の中にミッションやビジョンをしっかりと持ち、それを堂々と表現することができるようになったと思います。
越境学習でベンチャー企業ならではのスピード感を体感すると同時に、リーダーシップの強化も実現した事例です。
本事例の詳細について知りたい方は、次のページをご覧ください。
複業留学体験レポート「異質な環境が引き出した新たなリーダーシップ」 | 越境学習のご案内
帝人ファーマ株式会社
帝人ファーマ株式会社の西岡様は、企業で唯一の人事担当者として労務管理や制度改定などを担当しています。そんな西岡様は、以下の2つの理由から越境学習への参加を決めました。
- 自分の能力が他社でどこまで通用するか確かめたい
- 人事制度改革にあたって、社員側の視点を知りたい
留学中は、主に訪問介護ステーションでスタッフやインターン生のサポートを行いました。また、顧客向け資料作成や動画編集などの手伝いも行っています。
複業留学で一番印象に残ったこととして、西岡様はベンチャー企業のスピード感を挙げています。
留学先で一番驚いたのは、スタートアップ企業特有の 意思決定の速さと変化への迅速な対応力でした。 自分たちでゼロから何かを始める楽しさを実感し、これがスタートアップやベンチャーの魅力だと感じました。
本事例からも分かる通り、越境学習は意思決定力やスピード感を磨くうえで非常に効果的です。
西岡様の事例は、次のページから詳しくご覧いただけます。
複業留学体験レポート「複業留学で得た視野 :人事制度改革への新たな一歩」
株式会社カルモア
アジアトップクラスで「空気環境ビジネス」を展開している株式会社カルモアは、次世代経営者育成に力を入れています。現在の社長も、なんと37歳という若さで次期幹部候補から抜擢されたそうです。
そんなカルモアが次世代経営者育成の施策の一つとして実施しているのが、社外でタフな経験を積んでもらう越境学習。若いうちから自社以外の環境を知ることで自己理解を深めつつ、社内にはない視点を取り入れることを期待しています。
エンファクトリーではウェビナーを開催し、株式会社カルモアの取り組みについて人事担当者と越境経験者から詳しくお話を伺いました。
ウェビナー当日の内容は、次のページからダウンロードできます。リーダー育成に役立つ情報が満載なので、ぜひご覧ください。
まとめ
リーダー育成は、組織の成長を支える重要な施策です。成功させるためには、高い視座やスピード感、判断力、情報感度という4つの要素を体系的に身につけてもらう必要があります。
リーダー育成を机上の空論で終わらせないためには、リーダーシップを実際に発揮してもらう場を設けることが何より大切。越境学習は、そんな「実践の場」を用意するのにぴったりの育成手法です。
ぜひこの記事を参考に、社員のリーダーシップを効果的に磨いていきましょう。
なお、エンファクトリーでは、さまざまな企業で越境学習の導入を支援してまいりました。越境学習に少しでもご興味がある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。