アクションラーニングとは?効果や進め方、アクティブラーニングとの違いも解説

越境学習

アクションラーニングは、チームでディスカッションを重ねながら学習を進める手法です。OJTや座学研修の限界を乗り越える手段として、昨今注目を浴びています。

本記事では、このアクションラーニングの効果やメリットをわかりやすく解説。具体的な進め方も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

アクションラーニングとは?

アクションラーニングとは、現実の課題を題材に少人数のチームでディスカッションを行いながら学びを深める人材育成手法です。

実施する際は、参加者の一人が次のような課題を持ち込みます。

  • 「新規事業の立ち上げがうまくいかない」
  • 「部下のモチベーション向上に悩んでいる」
  • 「DX推進が思うように進まない」

そして、他の参加者から「これまでどのようなアプローチをしたのか?」「なぜその方法を選んだのか?」「他の選択肢は検討したか?」といった質問を受けながら、新たな視点や解決策を発見していきます。

アクションラーニングでは、問題解決能力やコミュニケーション力の向上が期待できます。現実の問題の課題解決にもつながる、いわば一石二鳥の方法です。

アクションラーニングの歴史

アクションラーニングの起源は、1940年代のイギリスにさかのぼります。

当時のイギリスは石炭産業が盛んでしたが、炭鉱の監督者たちは現場の生産性を改善できないかと頭を悩ませていました。そこで、彼らは実際の課題を持ち寄りながら議論を重ね、課題解決を図りました。これが、アクションラーニングの原型だと言われています。

その後、1990年代になってアクションラーニングの有効性が改めて注目を浴びるようになり、徐々に世界中の企業へ普及していきました。

例えばボーイングやサムスン、米国農務省など、多くの有名企業でアクションラーニングが行われています。日本企業では、トヨタ自動車や野村證券やキヤノンなどの事例が代表的です。

参考:Marquardt, M., & Waddill, D. (2004). “The Power of Learning in Action Learning”, Action Learning: Research and Practice, 1, 185-202., 導入事例 | NPO法人 日本アクションラーニング協会 

アクティブラーニングとの違い

アクションラーニングと似て非なる概念が、アクティブラーニングです。アクティブラーニングとは、参加者が能動的に学ぶ人材育成の手法を指します。

両者は響きや概念がよく似ていますが、実際には下記のように多くの違いがあります。

項目アクションラーニングアクティブラーニング
扱う課題実際のビジネス課題教材として用意された事例など
参加者数4〜8名程度大人数が主流
実施期間3〜6ヶ月1日〜数日
役割分担問題提示者・質問者・コーチ参加者全員が同じ立場
狙い能力向上と実際の課題解決知識の習得

最大の違いは、実際のビジネス課題を扱うかどうかです。

営業部での教育を例に挙げると、アクティブラーニングでは「顧客満足度向上のための営業手法はなにか?」といった一般的で抽象度の高いテーマを扱います。一方、アクションラーニングでは「A社との契約更新交渉が難航している。どうすれば関係を修復できるか?」といった、参加者が実際に直面している具体的な課題を題材にするのが特徴です。

短期間で知識習得を図りたい場合はアクティブラーニング、より深い行動変容と実際の課題解決を目指す場合はアクションラーニングを選ぶという使い分けがおすすめです。

アクションラーニングの基本的な進め方

アクションラーニングは、以下の3ステップで進めていきます。

  1. 問題提示役と質問役、コーチを決める
  2. 解決したい課題を説明する
  3. 質問を投げかけて深堀りする

3つのステップについて詳しく見ていきましょう。

1. 問題提示役と質問役、コーチを決める

アクションラーニングでは、参加者が以下の3つの役割に分かれます。

問題提示役自分が抱えている課題を説明する
質問役課題解決の方法を探るための質問を投げかける
コーチ議論をファシリテートする

この役割分担は、ディスカッションを始める前に決めておくのがポイントです。

なお、コーチ役は外部講師や管理職に担当してもらうケースが多いです。ただし、何度もアクションラーニングに取り組んで全員が慣れてきたら、参加者の中からローテーションで選ぶのもよいでしょう。

2. 解決したい課題を説明する

役割が決まったら、問題提示者は課題の内容を説明します。

説明時間は10〜15分程度を目安にして、できる限り内容を具体的に伝えることが大切です。「売上が伸び悩んでいる」などと抽象的にまとめるのではなく、「前年比で売上が15%減少し、特に商品Aの売上が前年の60%に落ち込んでいる」といったような説明を心がけてみてください。

課題に対して既に実施した対策がある場合には、その内容と結果もあわせて説明します。人事部主導で実施する場合は、課題の内容を説明するためのワークシートやテンプレートを作るのもおすすめです。

3. 質問を投げかけて深堀りする

いよいよディスカッションに入ります。

質問者は問題提示者に対して、課題の根本的な原因を探るための質問を投げかけます。「こうするべきです」などと直接的な解決策を提案するのではなく、問題提示者自身が新たな気づきを得られるよう導くことがポイントです。

例えば、下記の質問がよく用いられます。

前提を確認する質問「その数値はいつの時点のものですか?」
「他の部署でも同様の問題は起きていますか?」
原因を深堀りする質問「その原因として考えられることは何ですか?」
「いつ頃からその傾向がありましたか?」
気づきを促す質問「その状況をあなたはどう感じていますか?」
「取引先は何を一番求めていると思いますか?」

アドバイスをしたり答えを教えたりするのではなく、上記のような質問を通じて問題提示者が自ら答えを見つけられるようサポートしてみてください。

アクションラーニングの効果は主に3つ

アクションラーニングには、主に以下の3つの効果があります。

  • 実際のビジネス課題の解決策が見つかる場合がある
  • 参加者の問題解決能力が向上する
  • 「学習する組織」の構築につながる

第一に、アクションラーニングでは実在するビジネス課題を取り上げます。そのため、学習の過程で新たな課題解決策が見つかるかもしれません。部署混合で実施すれば他部署の課題を把握するきっかけになりますし、参加者の問題解決能力の向上にもつながります。

また、「学習する組織」の構築につながる点も大きなメリットです。アクションラーニングでは複数人で課題解決に取り組むため、実践する中で自然とチーム全体に知見が蓄積されていきます。実際、アクションラーニングは「学習する組織のDNA」と表現されることも多いです。

アクションラーニングの限界とデメリット

メリットの多いアクションラーニングにも、いくつかの限界があります。アクションラーニングを導入する際は、アクションラーニングのデメリットもあらかじめ理解しておきましょう。

アクションラーニングのデメリットについて解説します。

短期的な成果には結びつきづらい

アクションラーニングは、継続的に行うことが前提の手法です。

単なる課題解決のためのディスカッションとは異なり、あくまでも活動の主眼は「学ぶこと」にあります。そのため、「アクションラーニングですぐに課題解決しよう」と考えると、思うような効果は得られません。

アクションラーニングが効果を出す期間の目安は、短くても3〜6ヶ月程度です。効果測定も、年単位で行いましょう。

学びの再現性が低くなりがち

アクションラーニングで扱う課題は、参加者特有のものであることが多いです。したがって、それに対する課題解決策が見つかったとしても、他のメンバーが直面する別の課題へそのまま応用できるとは限りません。

学びの再現性を高めるためには、議論で得られた課題解決策をうまく抽象化することが大切です。「課題解決策が得られたから満足」とせずに、そこから別の場面にも適用できる一般的な教訓や法則を見いだせないか考えるクセをつけてみてください。

机上の空論になってしまう

アクションラーニングは、机上の空論に終始してしまうこともあります。

特に、参加者が持ち込む課題が抽象的だったり、あまり重要なものではなかったりする場合は注意が必要です。「実際に課題解決へ取り組もう」という意思がないと、アクションラーニングでの議論自体が目的化してしまいますし、得られる解決策もどこか現実離れした抽象度の高いものになってしまいます。

アクションラーニングでは、できる限り重要で、短期的に解決が必要とされる課題を持ち込むことが大切です。また、毎回のディスカッションのあとに、次回までのアクションプランを発表してもらうのもよいでしょう。

アクションラーニングと越境学習の併用もおすすめ

アクションラーニングの効果をさらに高めるためには、越境学習と組み合わせて実施するのがおすすめです。

越境学習とは、ベンチャー企業やスタートアップ企業といった自社とは異なる環境で、3ヶ月〜6ヶ月程度の時間をかけて研鑽を積む手法を指します。出向や転籍とは異なり、学習を主な目的として他社へ留学するのが特徴です。

越境学習の期間中は、ベンチャー企業やスタートアップの一員として課題解決に取り組みます。そのため、アクションラーニングではなかなか設けづらい「課題解決を実行する」という場面を豊富に用意できるのです。

また、越境先で直面した課題をアクションラーニングの題材として持ち込めば、他の参加者にも新鮮な刺激を与える効果も期待できます。「なぜスタートアップでは会議時間が短いのか?」「どうすれば少ない人数で大きな成果を上げられるのか?」といった質問を投げかけることで、参加者全員が新しい視点を獲得できるのです。

弊社エンファクトリーでは、越境学習の進め方やポイントをわかりやすくまとめたガイドブックをご用意しております。越境学習をはじめて導入する場合は、ぜひ以下のガイドブックをご覧ください。

越境学習に成功した企業事例

ここからは、越境学習に成功した企業事例を3つ厳選してご紹介します。ぜひこれらの事例を参考に、越境学習の具体的なイメージを膨らませてみてください。

株式会社オリエントコーポレーション

株式会社オリエントコーポレーションの藤井様は、上司からの推薦をきっかけに越境学習への参加を決めました。本事例では3ヶ月間かけてスタートアップ企業へ留学し、異業種や異職種のメンバーとチームを組んで課題解決に取り組んでいます。

藤井様は会社による文化の違いを体感し、異なる視点からの意見を新鮮に感じたそうです。留学後のインタビューでは、越境学習の効果について次のようにお答えいただいています。

チームメンバーとのディスカッションでは、異なる視点や意見が飛び交い、とても新鮮でした。『そういう発想もあるのか』と驚くことも多く、非常に勉強になりました。また、お互いの業界や会社について情報交換ができたことで、新しい知識を得ることができました。

普段はなかなか接点を持たない人との交流によって、視野を広げることに成功した事例です。藤井様へのインタビュー記事は、下記のリンクからご覧いただけます。

帝人ファーマ株式会社

帝人ファーマ株式会社でマーケティングを担当している田上様。転職を重ねる同期から刺激を受け、越境学習で他社での経験を積むことを決めました。

本事例では、毎週月曜日を「越境学習の時間」と位置づけ、その時間を活用して留学先の企業の売上向上に取り組んでいただいています。コンテンツ作成やSNS、差別化に向けた配布資料の作成など、さまざまな方法で課題解決を図りました。

越境学習の効果について、以下のようにお答え頂いています。

外に出たことで自分の足りない部分が明確になったことです。(中略)留学経験を通じて、自分が何者であるのかを言葉で伝えられるようになりたいと強く思うようになりました。

企業の外に出ることで視野が広がり、自分自身の成長に必要なものを客観視できるようになった事例です。本事例の詳細は、下記のページからご覧いただけます。

サッポロビール株式会社

ここまで越境学習に参加した本人のインタビューをご紹介しましたが、最後に越境学習を導入した人事部の方へのインタビューもお届けします。

サッポロビール株式会社では、「普段の居心地の良い環境から一歩踏み出す経験が必要だ」という課題感から、越境学習プログラムである「越境サーキット」の導入を決めました。導入後の効果について、人事部の間瀬様からは次のようにお答えいただいています。

参加者からは社内での経験を通じて多くの気づきを得たという声が上がっています。これらの気づきを今後の仕事に活かしたいという意欲も感じられました。社内では、参加者同士がコミュニティを作り、感じたことや疑問を共有しながら進めています。

本インタビューでも言及されている通り、サッポロビール株式会社では越境学習の導入を通じて「学び合う組織」の形成につなげました。アクションラーニングを導入したい場合は、ぜひ越境学習と併用して「学び合う組織」の強化につなげてみてはいかがでしょうか。

本事例の詳細は、次のページからご覧ください。

まとめ

アクションラーニングは、現実の課題を通じて深い学びを得られる人材育成手法です。うまく実施することで、課題解決と参加者のスキルアップを両立することができます。

アクションラーニングを導入する際のコツは、短期的な成果を求めすぎないことです。継続的に行いながら、徐々に「学ぶ組織」の実現へとつなげていきましょう。その際には、越境学習と組み合わせることも検討してみてください。

ぜひこの記事の内容を参考にアクションラーニングを導入し、効果の高い人材育成につなげましょう。

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