【事例あり】異業種交流研修とは?注目される理由や導入メリットを解説

組織風土変革

異業種交流研修は、自社と異なる業種の企業と合同で実施する研修のことです。変化の激しいVUCA時代に適した研修手法として注目されており、近年は社内育成に異業種交流を取り入れる企業も増えてきています。

本記事では、異業種交流研修の概要や注目されている理由、実施するメリットなどを詳しく解説します。異業種交流研修の実施を考えている企業担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。

異業種交流研修とは?

異業種交流研修とは、「異なる業種の社員が集まって、互いに交流しながら実施する研修」のことを指します。

異業種業種が注目されている理由は、外部との交流を通じて、組織の閉塞感を打破できるからです。ビジネスが高度化・複雑化している昨今では、業種の垣根を超えて、新しい発想を取り入れる必要性が高まりつつあります。一つのテーマについて社外と合同で学ぶことで、社内にはない価値観に触れながら、社員の能力を効率よく向上させることができるのです。

異業種交流の目的と意義

異業種交流の主な目的は、社員の視野を広げることです。

一つの会社に長く勤めていると、どうしても考え方や価値観が社内の「型」にはまってしまいます。これが、いわゆる「タコツボ化」と呼ばれる状態です。こうした状態に陥る社員が増えると、社内の文化や価値観が固定化します。場合によっては、新たな発想が生まれづらい、硬直した組織風土が根付きかねません。

異業種交流を実施すれば、こうした事態を防ぐことができます。異業種で合同で一つのテーマについて学ぶ異業種交流研修は、価値観の固定化を防ぎつつ社員の能力も育成できる、一石二鳥の育成手法なのです。

異業種交流研修が注目される理由

異業種交流研修は、10年ほど前から徐々に注目する企業が増えました。そして、「VUCAの時代」と呼ばれる2020年代に突入してから、その注目度はさらに高まりつつあります。

異業種交流研修が注目される理由は、主に以下の2点です。

  • 変化に強い人材の育成
  • ビジネスの高度化・複雑化

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

変化に強い人材の育成

異業種交流研修が注目されている背景として、時代の変化に適応できる人材が求められていることが挙げられます。

ここ数年は、VUCAと呼ばれる変化の激しい時代です。新型コロナウィルスの世界的な流行は誰も予想していませんでしたし、ChatGPTに代表されるAI技術も多くの人々の予想をはるかに超えるスピードで進化を遂げています。デジタル化やグローバル化の進展は、ビジネス環境に大きな不確定要素をもたらしました。

異業種交流研修で多様な価値観を学べば、こうした激しい変化へ柔軟に対応できる適応力を養うことができます。自社の外の動きに目を向けられるようになるため、時代の変化にいち早く気がつくことができるのです。

ビジネスの高度化・複雑化

昨今、ビジネスの高度化や複雑化が進んでいます。こうした環境の変化も、異業種交流研修が注目されている理由の一つです。

例えば2020年以降は、宅配食やオンラインサービスに代表されるような、サブスクリプション型のビジネスモデルが台頭しました。また、「シェアリングエコノミー」「クリエイターズエコノミー」といったような、新しい経済圏も誕生し始めています。

こうした今までにないビジネスモデルに対応するためには、業種の垣根を超えたノウハウの共有が必要です。異業種交流研修で幅広い人脈を形成すれば、互いに知見を共有しながら競争を勝ち抜くことができます。

異業種交流研修のメリット

異業種交流研修を実施することには、以下のようにさまざまなメリットがあります。

  • 新たな価値観を学ぶことができる
  • 自社を客観的に理解できる
  • コミュニケーション能力が向上する
  • 新事業につながるアイディアが生まれる

異業種交流研修のメリットを一つずつ掘り下げていきましょう。

新たな価値観を学ぶことができる

異業種交流研修のメリットとして、新しい価値観を学ぶことができる点が挙げられます。

例えば異業種交流研修で、「リーダーシップ」について扱う場合を考えてみましょう。この場合、研修では以下のようなワークを実施することができます。

  1. 業種ごとにグループを作る
  2. 「望ましいリーダー像」についてグループごとにディスカッションしてもらう
  3. グループごとに、ディスカッション内容を全体で発表してもらう

このワークを通じて、社員は「この業種には真新しい価値観があるな」「自社には〇〇の視点が欠けていたな」といった気づきを得ることができるでしょう。社外の価値観を学べるのは、異業種交流研修ならではの大きなメリットです。

自社を客観的に理解できる

自社の強みや弱みを客観的に理解できるのも、異業種交流研修を実施するメリットです。

異業種の社員との交流では、例えば次のような内容を共有できます。

  • 業務内容
  • ビジネスモデル
  • 組織構成
  • 組織文化や組織風土

他社の業務内容や組織文化などに触れることで、これまで自社で「当たり前」と考えてきたことが、実は当たり前ではなかったことに気づくこともあります。こうした気づきを通じて、社員は自社の強みや弱みを客観的に把握できるようになるのです。

コミュニケーション能力が向上する

異業種の社員との交流を通じて、社員のコミュニケーション能力の向上も期待できます。

例えば異業種の社員に自社の業務内容を共有する際には、難しい概念や専門用語などを使うことなく、相手にとってわかりやすく説明することが重要です。異業種交流研修では「どのように表現すれば相手にとって伝わりやすいのか?」を考える習慣がつくため、コミュニケーションの向上が期待できます。異業種交流研修は、多様な価値観を持つ人と交流するのに必要なコミュニケーション能力を養う絶好の機会なのです。

新事業につながるアイディアが生まれる

異業種の知見をうまく取り入れることができれば、新しい事業につながる斬新なアイディアを得ることができるかもしれません。

異業種の企業では、自社と異なるビジネスモデルを採用していることも多いです。異業種のビジネスモデルを自社の業種へ応用させることができれば、真新しい事業が生まれる可能性があります。

さらに、異業種交流研修は人脈を築くチャンスでもあります。異業種交流研修で他社の社員とのネットワークを広げておけば、いざ「新しいビジネスを始める」となった際に、共同プロジェクトや連携の話がスムーズにまとまりやすくなるでしょう。

異業種交流研修の実施方法

異業種交流では主に以下のような内容を実施します。

  • ワークショップ形式: グループに分かれ、特定のテーマについてディスカッションやブレインストーミングを行います。
  • ネットワーキングイベント: 参加者同士の自由な交流を促進するための時間を設け、名刺交換や情報交換を行います。
  • SNSやフォーラムを活用した交流: 専用のプラットフォームを作成し、参加者が自由に情報を共有したり、質問を投げかけたりできる環境を提供します。

オンライン型のメリットは、実施コストが抜群に低いことです。対面型研修のように大きな研修会場を確保する必要がなく、遠方に拠点を構える企業とも交流することができます。社員の移動負担もないため、オフィスが離れた企業と交流研修を実施する際にはおすすめの手法です。

ただし、顔を合わせた直接的なやりとりができないため、どうしてもコミュニケーションが希薄化してしまいます。交流もその場限りのものになりやすく、人脈の形成という観点ではあまり適していません。

一方で、対面型の研修は直接的なコミュニケーションが取れる分、密な情報の交流が期待できます。必要に応じて研修後の懇親会などを実施できるのも、対面型ならではのメリットです。

しかし、実施コストが高いというデメリットがあります。研修会場の手配には手間がかかりますし、研修の企画も簡単ではありません。

それぞれのメリット・デメリットを鑑みて、目的に合う開催方法を検討しましょう。

株式会社エンファクトリーが提供する異業種交流研修「越境サーキット」では、対面・オンラインを組み合わせたハイブリット形式を採用しており、さらに「異業種の大企業同士」の交流に加え、「ベンチャー・スタートアップ経営者」との壁打ち・交流の2つの越境を体験することが可能です。

異業種交流や、越境学習にご興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。

※越境サーキットとは?

他社のメンバーとチームアップし、ベンチャー企業のリアルな課題に対して、ヒアリング・仮説・提案の3ヶ月間を1タームにして行う越境・対話型オンライン研修です。

https://life-design.enfactory.co.jp/ekkyo-circuit

異業種交流研修の実践事例

これまでに250社7,000名以上を支援してきた株式会社エンファクトリーでは、越境学習型の異業種交流研修を数多く実施してまいりました。ここからは、これまでエンファクトリーが実施した研修事例の中から、特に役立つものを3つピックアップして紹介します。

【株式会社オリエントコーポレーション】異業種交流によって固定概念の打破に成功した研修事例

株式会社オリエントコーポレーションの長須様は、シニア世代へと差し掛かる長い社歴の中で、モチベーションやパフォーマンスの低下を課題に感じていました。そこで、エンファクトリーの実施している「越境サーキット」へ参加していただき、異業種交流による課題の解決を図っています。

本事例では、交流先の企業が参加する東京ビッグサイトでの展示会に現地参加してもらうなど、新しい環境へ積極的に飛び込んでもらいました。長須様はこうした活動を通じて、主体的に取り組むことの重要性を学んだそうです。

実際、研修後のインタビューでは「前向きな気持ちで取り組めば結果もついてくる」と語られています。さらに、研修後はこれまで苦手だった資料作成や情報発信などにも積極的に取り組むなど、実務にも大きな変化が生まれました。

本事例の詳細は、以下のページからご確認ください。

越境サーキット参加者インタビュー「固定概念を打破する異業種交流の力」 

【株式会社PFU】3ヶ月の異業種交流で視野を広げた事例

株式会社PFUの谷崎様は、「自社の枠組みに縛られず、新たな視点から提案を行いたい」という思いから、エンファクトリーの「越境サーキット」への参加を決めました。

谷崎様は普段、ソフトウェア開発の技術面に重点を置いていました。そこで、今回の異業種交流ではマネタイズや収益性を中心に学んでいただき、視野の拡大を狙っています。交流中には、交流先企業でのディスカッションにも積極的に参加していただき、全体像を描く力の強化を目指しました。

研修後には、社内でも視野の広い議論ができるようになるなど、行動面に大きな成果が現れています。さらに、収益性などを意識したフィードバックをメンバーへ出せるようになり、チームでの仕事も円滑化したそうです。

本事例についてさらに詳しく知りたい方は、以下のインタビューをご覧ください。

越境サーキット参加者インタビュー「異業種交流から得た新たな視野」

【三井住友海上火災保険株式会社】本音で意見を交わし、視野を広げた越境学習の事例

三井住友海上火災保険株式会社の岩本様は、異業種と交流することで多様な価値観を身につけたいと考え、エンファクトリーの実施する「越境サーキット」への参加を決めました。

本事例では、30代前半から50代までの4人でチームを組み、課題解決を実践しました。課題解決に向けたディスカッションの中で、30代のメンバーが「社会貢献的な視点も大切ではないか?」という意見を出したことが、岩本様は最も印象に残っているそうです。「若い世代は社会貢献を重視する」ということは知識として持っていましたが、若い世代のこうした価値観に直接触れることができるのは、越境学習ならではの体験といえます。

岩本様は越境サーキット後に異動を経験し、20歳ほど年齢差のある新入社員とともに働く機会がありました。その際も、越境学習による異業種交流を通じて培った多様な視点が大いに役立っているそうです。

本事例の詳細は、以下のインタビューからご覧いただけます。

越境サーキット参加者インタビュー「異業種交流がもたらす新たな視点:本音で意見を交換する環境の重要性」 | 株式会社エンファクトリー

まとめ

異業種交流研修が注目されている背景や、実施するメリット、実施方法などを詳しく解説しました。

異業種交流研修には、長期で他企業と交流できる越境学習が有効です。しかし、先ほどもお伝えした通り、異業種交流研修の効果測定には課題があります。研修を「やりっぱなし」で終わらせないためには、参加した後の行動変容をしっかりとモニタリングすることが大切です。

累計250社7,000名を支援してきた株式会社エンファクトリーでは、LIFE SHIFT JAPAN株式会社と共同し、異業種交流研修の効果測定(アセスメントの実施)も業界に先駆けて実施しております。

導入のしやすさ・効果の実感のしやすさから、はじめて越境学習を導入する企業に広く活用いただいています。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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