キャリアデザイン研修は、社員が自身のキャリアを主体的に考え、将来の働き方や目標を設計するためのプログラムです。モチベーションの向上やスキルアップ、離職率の低下や組織全体の生産性向上を狙いとするものです。本稿では、キャリアデザイン研修の目的やメリット、さらに成功のポイントや年代別の事例について詳しく解説します。
キャリアデザイン研修とは
キャリアデザイン研修とは、自分自身がどのようなキャリアを築いていきたいのかという視点を持ちながら、組織からの期待や外部環境の変化を踏まえて、スキル・興味・価値観などを深く理解し、現在と未来のキャリアについて考える研修プログラムです。
キャリアデザインの定義
キャリアデザインとは、「キャリア」が「職業や生涯にわたる経歴」を意味することから、自身の将来のキャリアの積み重ねを設計することを指します。
キャリアデザインの特徴は、会社や上司などの他者によってキャリアや働き方が決定されるのではなく、個人が自分で将来の道筋を描くことにあります。
現代におけるキャリアデザインでは、単に職歴を計画するだけでなく、私生活や価値観といった個人のライフスタイルも含めた、自分らしい働き方を考えることが重要とされています。
キャリアデザイン研修の目的
キャリアデザイン研修は、社員が主体的にキャリアを考え、自律的に行動できる力を育むことを目的としています。
新入社員には早期離職防止や仕事への適応を支援し、若手社員には成長への意欲やキャリアの不安解消を促します。中堅社員には職場をリードする自覚を、管理職にはキャリア意識とモチベーション向上を目指します。
また、女性社員にはライフイベントを見据えたキャリア形成を支援し、シニア層には定年後も意欲的に働ける新たなキャリア像を支援します。
個々の課題に対応し、組織の活性化と個人の成長を両立するための重要な取り組みです。
キャリアデザイン研修が求められる背景
キャリアデザイン研修が求められる背景には、現代社会におけるさまざまな変化が影響しています。その背景について解説します。
キャリアの明確なビジョン設定が求められている
現代の企業では、「各人のキャリアの展望の明確化」が重要な課題として浮き彫りになっています。
多くの働き手が、自分のキャリアの方向性や目標を見失いがちな状況に直面しており、特に若手社員においては「自分がなりたい姿を具体的に描けない」といった悩みが多く見られます。
キャリアデザイン研修では、個々の強みや弱みを明確にし、長期的なキャリアビジョンを構築するサポートを行うことで、こうした課題に対応します。
これにより、社員が自分のキャリアを主体的に考える力を養います。
年齢層に応じたキャリア形成の支援が必要
キャリア研修の対象者は30代が中心ですが、企業によっては40代・50代の社員も対象に含めています。
若手社員には能力開発や目標設定が重視される一方で、ミドル・シニア層にはキャリアプランの策定や成長意欲の維持が求められます。
特に中高年層では、モチベーションの低下や成長に対する情熱の減少といった課題が指摘されています。
キャリアデザイン研修は、年齢層に応じた支援を行い、全ての世代がキャリアを通じて成長できるようにします。
働き方の多様化でキャリア選択肢が広がる時代に
テレワークやフレックスタイム制、時差出勤制度、短時間勤務、副業・兼業、ジョブ型雇用、業務委託など、働き方の選択肢はこれまで以上に多様化しています。
また、クラウドサービスの普及により、企業の規模を問わず柔軟な働き方が可能となり、個々のライフスタイルやキャリアに合わせた働き方を選択できる時代となりました。
自分に最適なキャリアを描き、行動に移すための支援がますます重要になっています。
キャリアデザイン研修のメリット
キャリアデザイン研修を行うことで、期待できる具体的なメリットについて解説していきます。
主体性の向上で仕事への責任感が強まる
キャリアデザイン研修を通じて、社員は自身のキャリアを主体的に考える力を養います。
従来のように受け身で与えられた目標に従うだけではなく、自ら目指す姿を描き、実現に向けて行動する重要性を学ぶことができます。
仕事に対する意欲や責任感が自然と高まり、自発的に課題解決や新たな挑戦に取り組む姿勢が身につきます。
また、主体的な働き方は、個人のパフォーマンス向上だけでなく、チームや組織全体の活力向上にも貢献します。
キャリアデザイン研修は、参加者が自分の強みや可能性を最大限に発揮し、個人と組織がともに成長するための土台を築く大きな役割を果たします。
仕事へのモチベーションが向上する
研修を通じてキャリアの目標が明確になることで、仕事への意義を再認識できるようになります。「何のために働いているのか」という自問に答えが見えることで、モチベーションが向上し、業務への意欲が高まります。
また、新たに得た知識やスキルを業務に活用することで、成果が目に見える形で表れモチベーションが上がります。
社員の定着率向上と離職率の防止につながる
キャリアデザイン研修を受けることで、社員は自社で長期的なキャリアを築く意識をより強く持つようになります。自身の成長やキャリアアップが可能な環境が整っていると感じることで、企業への帰属意識が一層高まるでしょう。
キャリア形成を長期的な視点で捉えられるようになることで、定着率の向上が期待されます。これにより、優秀な人材の確保や育成が促進され、組織の持続的な発展につながります。
生産性の向上につながる
研修を通じて主体性やモチベーションが高まることで、社員は自発的に業務に取り組むようになります。これにより、業務効率が向上し、スキルアップにもつながります。
さらに、チームとしての連携が強まり、全体的な生産性が向上します。キャリアデザイン研修は、個々の能力を引き出すだけでなく、組織全体の成果を高める取り組みとしても効果的です。
キャリアデザイン研修の成功のポイント
キャリアデザイン研修を成功させるためには、単なる研修プログラムの提供に留まらず、組織全体で研修効果を最大化するための仕組みづくりが重要です。
研修を成功させるための具体的なポイントについて解説します。
キャリア自律の理解を深めて研修の効果を最大化する
キャリアデザイン研修が効果を発揮するためには、キャリア自律の重要性に対する深い理解が欠かせません。
社員がキャリア自律を正しく理解しないまま研修に参加すると、目的意識が薄れ、学びを実践に生かせない場合があります。
また、世代間のギャップも課題となることがあり、特に管理職がキャリア自律を十分に理解していないと、若手社員の成長を支援する体制が整いません。
社員全体にキャリア自律の価値を伝え、周知することが成功の鍵です。
経営層の積極的なサポートでキャリア研修を成功に導く
キャリアデザイン研修の成功には、経営層の本気度が求められます。
経営層がキャリア自律を重視していない場合、研修内容が組織の人材戦略と結びつかず、実行力が低下するリスクがあります。
さらに、研修で学んだことを活かせるポジションや選択肢が用意されていないと、社員の意欲も失われがちです。
経営層が主体的に取り組み、キャリア自律を組織の成長戦略の一部として位置づけることが重要です。
自律的に学べる環境を整えて成長を支援する
研修後も自律的な学びを促す環境を整えることで、社員の成長を長期的に支援できます。
資格取得支援や研修費用補助などの制度を活用することで、学びの場を提供するだけでなく、社員の自主的な行動を後押しします。
また、日常業務の中で学びを実践できるよう、上司や同僚が協力する文化を築くことも効果的です。
明確なキャリアパスの提示で研修効果を高める
研修の効果を引き出すためには、明確なキャリアパスを提示することが必要です。
社員が自分の成長プロセスを視覚化できれば、目標に向かう具体的な行動を取りやすくなります。
キャリアマップを活用して、どのステップでどのスキルが求められるのかを示すと、社員は自らのキャリアビジョンを描きやすくなり、モチベーション向上にもつながります。
社内で選択肢を提供できない場合、社外での実践の場を検討する
キャリアデザイン研修が効果を発揮しない背景には、企業内でのキャリアパスが限定的であることが挙げられます。社員が「会社が決めたレールに従うしかない」と感じている場合、研修で学んだスキルや意識改革が実際の業務に活かされる場が限られ、モチベーションの低下を招きます。
そこで有効なのが、エンファクトリーが提供する越境学習です。企業内で体験できない役割や異なる業界の視点を得ることで、社員は新しい価値観やスキルを身につけ、自律的なキャリア形成に取り組む意欲を高めます。
また、その経験を企業内での異動やキャリアアップに活用することで、研修の効果をより実感しやすくなります。越境学習は、組織の枠を超えた実践的な学びを提供し、社員の成長を支援する画期的な方法です。
【年代別】キャリアデザイン研修の実践事例
エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」を活用したキャリアデザイン研修について、20代から50代までの具体的な事例を年代別に解説します。
それぞれの年代が直面するキャリアの課題や、それを解決するための研修の成果について詳しくご紹介します。
20代:【株式会社パルコ】「積み上げたスキルを活かし、新たな視点と自己変革を手に入れた」
株式会社パルコで心斎橋店営業課に所属する内山様に、越境型研修サービス「複業留学」へ取り組んでいただきました。
普段は動員イベントの運営やWEB・SNSプロモーション業務を担当する内山様。
コロナ禍での入社による研修不足や専門性への悩みを克服し、成長を目指して複業留学に参加されました。
留学先の株式会社グロースリンクでは、SNSプロモーション施策やECサイト改善案の提案、ショールーミングスペースの企画を担当。特にSNS運用では独学の経験を活かし、留学先から高い評価を得ました。
また、リソースが限られた環境で優先順位をつけ、売上への影響を考慮した施策を選定することで新たな視点を得ることができました。
多様な業界や役職の人々との意見交換を通じてキャリアを広げるきっかけを得たと語ります。この経験を活かし、SNS運用のKPI設定や行動指針を強化し、後輩の指導にも積極的に取り組みたいと意欲を示しています。
複業留学を「社内研修では得られない新たなキャリアの学び」と評価し、他の社員にも挑戦を勧めています。
本事例の詳細は以下をご覧ください。
複業留学体験レポート「積み上げたスキルを活かし、新たな視点と自己変革を手に入れた」
https://enfactory.co.jp/blog/b7504

20代:【株式会NTTコノキュー】「自分の意思で動く力をつけた3カ月」
株式会社NTTコノキューでマーケティング部門パートナーリレーショングループに所属する中野様に、越境型研修サービス「複業留学」へ取り組んでいただきました。
普段はXR技術を活用したコンテンツ企画やマーケティング業務に携わる中野様。
自身の業務範囲を広げ、新たな挑戦を推進する力を養いたいという想いから、複業留学に参加されました。
留学先の株式会社ChiCaRoでは、展示会出展の企画運営やSNS運用、プロダクトを活用した新規サービス提案を担当。
これまでの経験を活かして具体的な企画提案を行い、留学先のサービス拡大に貢献しました。限られた時間内での成果追求や業務のスピード感を体感し、責任感を強化できたと語ります。
複業留学を通じて得た意思決定力やコミュニケーション能力を今後の課題解決やプロジェクト推進に活かし、さらに後輩育成にも貢献したいと意欲を示しています。
本事例の詳細は以下をご覧ください。
複業留学体験レポート「自分の意思で動く力をつけた3カ月」

30代:【東海東京証券株式会社】「自分だけでなく、周囲と協力しながら仕事を進める意識の変化」
東海東京証券株式会社で営業統括部DX推進グループに所属する中根様に、越境型研修サービス「複業留学」へ取り組んでいただきました。
普段は営業データ分析やシステム導入の企画を担当する中根様。
育休から復職後、仕事と家庭を両立する中で、新たなスキルや視点を学ぶため複業留学を決意されました。
留学先の株式会社クルージズ・テクノロジーズでは、人事向けSaaSサービスのマーケティングや営業支援を担当。
セミナー告知用のSNSやメールマガジンのコンテンツ作成、営業活動データの整理を行い、本業で培った分析力や営業支援のスキルを活かして成果を挙げました。
活動中には、「報・連・相」の重要性や時間管理の課題に直面しながらも改善を実現。
フルリモート環境での一体感や周囲との協力体制を体験し、業務効率化やプロジェクト推進力を強化できたとのことです。
複業留学を「成長と新たな気づきの場」として評価し、社内プロジェクトでの活躍や周囲への貢献を目指している中根様の姿勢が印象的です。
本事例の詳細は以下をご覧ください。
複業留学体験レポート「自分だけでなく、周囲と協力しながら仕事を進める意識の変化」

40代:【株式会社ドコモCS】「他社での経験がもたらした新たな視点」
株式会社ドコモCS東海で総務部採用・キャリア開発担当の石田様に、越境型研修サービス「複業留学」へ取り組んでいただきました。
普段は新卒採用や社員育成、ダイバーシティ推進に携わる石田様。
自身のキャリア形成への不安を解消し、新たな経験を積むため、複業留学に挑戦されました。
留学先のFPサテライト株式会社では、新卒採用とファイナンシャルプランナー(FP)を組み合わせた新事業の企画立案や営業活動を担当。
これまでの採用業務で培った経験を活かし、採用市場の課題に対応する提案を行うことで、企画力を大きく向上させました。
また、ベンチャー企業の自由度や迅速な意思決定プロセスを学び、柔軟な発想力を養われました。
複業留学を通じて得た新たな視点や提案力、多角的な思考を今後の部下育成や新卒採用業務に活かしていきたいと意欲を示しています。
さらに、自社の安定性とベンチャー企業の自由な環境を再認識し、働き方の多様性を深く理解されたとのことです。
本事例の詳細は以下をご覧ください。
複業留学体験レポート「他社での経験がもたらした新たな視点」

50代:【株式会社パルコ】「自分の価値観や既存の方法に囚われず、俯瞰的に考えて発言するようになった」
株式会社パルコでエンタテイメント事業部に所属する高石様に、越境型研修サービス「複業留学」へ取り組んでいただきました。
普段はエンタテイメント事業部で法務業務を担当する高石様。
定年後を見据えたキャリア選択肢の拡大を目指し、新たな挑戦として複業留学を決意されました。
留学先のFPサテライト株式会社では、家計改善プログラムのPR戦略を担当。
価格設定や訴求方法に課題を感じる中で、「お金の相談相手としての価値」を訴求する戦略を提案し、ホームページの改善や宣伝物の作成に取り組みました。
この経験を通じて、ベンチャー企業ならではのスピード感と柔軟な発想を学びました。
活動を通じて、他者の背景を俯瞰的に考える姿勢を身につけ、自身の価値観に縛られない発言ができるようになったと語ります。
複業留学を「自分を見つめ直し、新たな可能性を見出す場」として評価し、新しい働き方や業務受託への意識を深められています。
本事例の詳細は以下をご覧ください。
複業留学体験レポート「自分の価値観や既存の方法に囚われず、俯瞰的に考えて発言するようになった」

まとめ
本稿では、キャリアデザイン研修の概要、目的、メリット、そして成功のポイントについて解説しました。
キャリアデザイン研修とは、社員が主体的にキャリアを考え、自分のスキルや価値観を深く理解しながら、将来の働き方を設計するためのプログラムです。社会の変化に対応するスキルを育てると同時に、働き方の多様化やキャリア観の個別化に対応する取り組みとして注目されています。
研修を通じて、社員のモチベーションや主体性が向上し、離職率の低下や生産性の向上が期待できます。
越境学習プログラムを専門に提供する株式会社エンファクトリーでは、これまで累計250社・7,000名を支援してきました。キャリアデザイン研修の中でも、導入のしやすさや効果の実感が得られる点から、初めて越境学習を導入する企業にも広く活用されています。
興味のある方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。