エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。
今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社ニフコ湯谷様に、複業留学についてインタビューいたしました。
受入企業
株式会社LINKSu
https://www.linksu.co.jp
──本業での仕事内容を教えてください。
主に樹脂ファスナーの製品設計を担当しています。具体的には、製品の機能を向上させ、最適な形状を追求することで既存の製品の市場価値を保ち続けています。
──複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
自社の製品をさらにレベルアップさせるために、新しい「何か」を作る必要があると感じています。しかし、既存の製品も現在の市場の中で十分洗練され尽くしているようにも感じています。このため、今の業界や用途以外から新しい発想や知識を取り入れたいと思っていました。これらのことから、異なる市場を他社内部から観察し、新しいアイデアを得たいと思い手を挙げました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
留学先では、開発が中断していた2件の案件を引き継ぎ、現状を打開するための施策を進める業務に取り組みました。なぜ開発が中断してしまったのか、その原因を整理し、問題解決に向けたアプローチを考えました。
私が活かせたスキルは、設計における問題解決能力ではないかと感じました。
中断の原因を明確にし、それに対処するために必要な部品や構造、アイデアを一から考えました。試作品を製作しながらトライアンドエラーを繰り返し、少しでも使いやすく、コストを抑えつつ機能を満たす製品を目指しました。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
自社の仕事との両立が最も難しかったです。
限られた時間の中で成果を出すことが求められ、通常業務の質を落とさずに進めるのは非常に苦労しました。
この困難を乗り越えるためには、現在所属している課長の理解が大きな助けとなりました。
業務の調整をしてもらったり、現場・現物での解決策を見つけるために何度も京都まで出向くことを許可してもらったりしました。自分だけで解決しようとするのではなく、周囲に頼ることが重要だと実感しました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
一番驚いたのは、開発のスピードです。特に、何を検証するのかを事前に絞り込んだ上で、テスト用のプロダクトモックを作成するというアプローチが印象的でした。完成度の高いモックを時間を掛けて作るのではなく、失敗を避けるための最低限の事前検証を行い、短期間で実物検証に進むという姿勢が強く感じられました。開発スピードを上げるためには、100%の完成度を目指すのではなく、20%の完成度のものを早めに作り、それを基に新しい知識を得て次のプロダクトに活かすという考え方が重要だと気づきました。
このように、最初から完璧を求めるのではなく、段階的に進めることで、結果的に開発が早く進むことを実感しました。
また、留学先は新しい知識に対して非常に積極的で、設備の導入に関しても迅速に判断し、すぐに行動に移す姿勢が印象的でした。お金や責任の問題がある中でも、気になることがあればすぐに発注するというフットワークの軽さには衝撃を受けました。このような積極性は、私たちの業務のさらに上を行っている点であり、非常に刺激的でした。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
複業留学を経て、私自身の姿勢が大きく変わりました。
設計業務では図面を書くことや予測を立てることも勿論重要ですが、実際の製品を確認することの大切さをより強く実感しました。
製品の傷や変形など、現場・現物を見ようとする姿勢が一層強まりました。この変化は、課内の新人に対しても影響を与えています。「とにかく現物を見ろ」というアドバイスを以前よりも積極的に行うようになりました。
実際にものを見ることで得られる気づきが多いことを理解したため、周囲にもその重要性を伝えるようになっています。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
一つは、ここまで良い評価をいただいて、少し恐れ多い気持ちがあります。自分自身では、ここまでできているとは思っていなかったので、驚きの気持ちの方が強いです。ただ、少しではあるものの確かに成果が出たという実感も有ります。そこには理由もあり、留学先の代表が積極的に議論を交わせるような、良い関係性を築いてくれたことが一番大きいと感じています。
そして、自分の強みや弱みを改めて認識できたこともあり、まさに「答え合わせ」ができたような気持ちです。頭の中でぼんやりと感じていたことが、具体的に確認できたという点が大きかったです。評価を通じて、自分の成長を実感できたことに感謝しています。
──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか?
レポートを通じて感じたことは、同期が留学先企業と非常に仲良く、楽しそうに活動している印象を受けました。同期は自分の足元だけでなく、周りをしっかりと俯瞰して見ることができる人だと感じました。同時期に複業留学に取り組む中で、同期のように俯瞰して進める人がいることに気づき、非常に刺激を受けました。
また、最終プレゼンテーションの際に、同期が留学先の今後の方向性について考えていたことが印象的でした。自分の業務の成果だけでなく、留学先自体が今後どう進むべきかを考える姿勢には、深い洞察力を感じました。同期のように具体的なビジョンを持っている人がいることは、私にとって大きな学びとなりました。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
留学先の代表の姿勢を見習いたいと思っています。プライベートで新しい商品を見たり、業務時間外でも周囲の物事に対するアンテナを高く持つことが大切だと感じています。自社のことだけではなく、外に出て新しい発想を得ることができるという意識を持ち続けたいです。身の回りには多くの答えが潜んでいることを忘れず、常に新しい知識に対する好奇心を持ち続けることが重要だと思います。
また、経営的な視点についても、商談やコストの話を通じて学ぶ機会があったものの、もっと深く経営全体を理解することができればよかったと感じています。百聞は一見にしかずという言葉通り、実際に経営者の働き方を横で見聞きすることで得られた学びを大切にし、今後の業務に活かしていきたいと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
複業留学を躊躇している人には、ぜひ挑戦してみることを勧めたいです。
設計のスキルはどこでも活かせる場面があるし、失敗できる環境で他の世界を安全に知ることができる貴重な機だと思います。
また、メーカーとしての立場ではなく、留学先企業の一員として全く異なる業界と深く関わることができるのも大きな魅力です。
こうした経験を通じて得られる知識や人脈は、今後の業務にとって非常に価値のあるものになるでしょう。本当に貴重な機会を得られるので、やらない理由はないと思います。ぜひ、積極的に参加してみてください。
【複業留学とは?】
ベンチャー企業の課題解決を通じた越境学習の実施により、「行動変容を促す研修プログラム」です。
3~6か月間×週1日の実践で、通常業務と並行して実施が可能です。
詳しくはこちら:https://teamlancer.jp/lp/fukugyo_ryugaku
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