余白を生み出すために必要なテヘペロ力。社内外で仲間をつくるメソッド「アスキング」とは?

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こんにちは!3児のパパの島崎(越境しまじろー)です。

先日、休日に子どもたちと海へ行き、本気で「秘密基地づくり」に挑戦したときのことです。最初は「子どもにすごいところを見せてやる!」と意気込み、わたしひとりで大きな流木を運んだり、穴を掘ったりして立派な要塞を作ろうとしていました。

しかし、途中で潮が満ちてきて、体力も限界に……。「ごめん、お父さんひとりじゃ無理だ!手伝って!」と、子どもたちにテヘペロしながら素直に降参しました(笑)。すると、長男や長女が目を輝かせて「任せて!」と枝や綺麗な貝殻を集めてきてくれ、次女も砂を運ぶなどして手伝ってくれました。結果的に、私の頭の中だけでは到底思いつかないような、最高の秘密基地が完成したんです。

実はこれ、現代のビジネスや組織が直面している課題にも、そのまま通じる話なんです。

忙しい私たちが「余白」を生み出すカギは『テヘペロ力』

AIの台頭によって、「自分のコアバリューって何だろう?」と不安を覚えている方も少なくないと思います。そんな中で、自身の市場価値を高めるためのリスキリングや、自社から飛び出して学ぶ「越境学習」の重要性が叫ばれていますよね。

経営者や人事担当者の方とお話ししていても、「社員に越境学習を経験させたい」という声は非常に多いです。しかし、いざ実践しようとすると「日々の業務が忙しくて、そんな時間を割けない」という理由で見送ってしまう社員の方が大半です。

自分ひとりで完璧に仕事を抱え込んでいると、いつまでも新しい挑戦に向かう時間や余白は生まれませんよね。

ここで必要になるのが、一人で完璧を目指して抱え込むのをやめ、「ちょっと助けて!」と周囲を頼る「テヘペロ力」です。そして、このテヘペロ力をビジネスの武器に昇華させたのが、「エフェクチュエーション」という考え方であり、その実践メソッドである「アスキング」なのです。

未来を創る「エフェクチュエーション」と5つの原則

エフェクチュエーションとは、優れた起業家たちが不確実性の高い状況で、どのように新しい価値を創り出しているのかを体系化した意思決定理論です。これには以下の5つの原則があります。

  1. 手中の鳥の原則: 「自分は何者か」「何を知っているか」「誰を知っているか」という、今手元にある手段から始める。
  2. 許容可能な損失の原則: リターン(利益)を予測するのではなく、仮に失敗しても「ここまでの損失なら許容できる」という範囲で行動する。
  3. クレイジーキルトの原則: 事前の計画に縛られず、「助けて!」と素直に頼んで周囲を巻き込みながら(アスキング)、関与してくれる多様なステークホルダーと協力関係(コミットメント)を築きながら、パッチワークのように新しい目的を創り上げる。
  4. レモネードの原則: 予期せぬトラブル(酸っぱいレモン)を避けるのではなく、逆手にとって新しい機会(甘いレモネード)に変える。
  5. パイロットの原則: 未来は予測するものではなく、自分たちの行動によってコントロールし、創り出すものである。

実際に越境学習を経験した執行役員候補者の部長の方からも、「『エフェクチュエーション』の考え方を体感し、手元に何があり現実的に何をしていくか考えていく意識に変わった」という声が上がっています。

「セリング」ではなく「アスキング」で仲間をつくる

クレイジーキルトの原則を実践するうえで、中心となるメソッドが「アスキング(Asking)」です。営業現場などで多用される「セリング(Selling)」との大きな違いはどこにあるのでしょうか。

比較項目セリング(Selling)アスキング(Asking)
基本スタンス完成された答えや成果物を「説得して買わせる」未完成の構想や自身の弱みを呈示し「巻き込む」
対話の目的相手からの「合意・購買」を得る相手からの「コミットメント・共創」を引き出す
必要なマインド完璧主義・専門性のアピール素直な降参・自己開示(※筆者のいう「テヘペロ力」)

法政大学の石山恒貴教授と伊達洋駆氏の著書『越境学習入門』でも言及されている通り、ホーム(社内)の常識が通用しないアウェイな環境で「知と経験」を循環させるには、肩書やプライドを脱ぎ捨て、周囲に素直に助けを求める態度が不可欠です。

完璧な売り手(セラー)として説得するのではなく、「ここが得意な〇〇さん、力を貸して!」と未完成な部分をさらけ出す「アスキング」こそが、相手の主体的コミットメントを引き出し、社内外に関係資産を構築する鍵となります。

社内外で仲間をつくる「アスキング」の3つの使いどころ

このエフェクチュエーションの中で、特に「クレイジーキルト(協力関係)」を築くために不可欠なアクションが「アスキング(お願いする、頼る)」です。

普段、私はMIS(マーケティング・インサイドセールス・セールス)の全体最適など「成果が出る仕組みづくり」を行っていますが、これも自分一人では絶対に完成しません。周囲の知見や力を借りる「アスキング」があってこそ機能します。

具体的に、アスキングは以下の3つの場面で強力な威力を発揮します。

1. 普段の業務の中でチームメンバーに対して(余白開発・権限移譲)

「越境学習に挑戦したくて時間を空けたいから、この業務を任せてもいいかな?」とチームにアスキングします。これは単なるお願いではなく、メンバーへの権限移譲(ストレッチアサイン)の機会にもなります。自分の「余白」を生み出しつつ、チームの成長も促すことができるのです。

2. 越境先のスタートアップで(自己開示と共創)

社外のアウェイな環境では、これまでの肩書きや社内の常識は通用しません。「ここが分からないので教えてください!」「一緒にやってくれませんか?」と、テヘペロ力全開で自己開示し、オープンに巻き込んでいく。弱みを見せるアスキングが、圧倒的なスピードで信頼関係を構築します。

3. 社内に戻ってからのスケールアップ時に(境界連結者として)

越境学習から戻り、新しいアイデアや事業の種を社内で形にするフェーズです。自分の部門だけでは解決できない壁にぶつかったとき、他部門の専門家や「ななめの上司」に「力を貸してください!」と相談に行きましょう。組織の壁を越えて仲間をつくる「バウンダリー・スパナー(境界連結者)」としての役割が、事業をスケールさせます。

自分の人生のパイロットになろう!

「自分ひとりでやらなきゃ」という思い込みを手放し、テヘペロ力で周囲にアスキングしていく。AIがどれだけ進化しても、人と人とが共創し、予測不能な未来を一緒にパッチワークのように創り上げていくプロセスこそが、人間にしか出せない究極のバリューだと私は考えています。

「忙しいから」と諦める前に、まずは身近な人に小さくアスキングして余白を作ってみませんか?

エフェクチュエーションの「パイロットの原則」にあるように、未来は予測するものではなく、自分で創るものです。ぜひアスキングを体得して、あなた自身の人生のパイロットとして、力強く操縦桿を握っていきましょう!Have a Great Journey!

◆執筆者プロフィール

島崎 由真(株式会社エンファクトリー ライフデザインユニット 副ユニット長) 

企業の自律型人材育成のための越境型研修サービスの「複業留学」「越境サーキット」「リーダー留学」など、社外への越境を通して、人・組織が変わるきっかけを創出する「場のデザイン」を提案・支援する越境コンサルタントとして活動。また、人事・HR事業者による1500名のコミュニティ「One HR」の共同代表も務める。 

経営課題を解決する「自律型人材」の育成に向けて

エンファクトリーでは、変化の激しい時代において社員一人ひとりが自律的に動き、社内外で新たな価値や共創を生み出す各種  「越境研修プログラム」を提供しています。

「自律型人材を育てたい」「事業戦略と連動した人材育成を実現したい」とお悩みの経営者・人事担当者の皆様、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の課題に応じた最適なプログラムをご提案します。

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