エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいたSMBCコンシューマーファイナンス株式会社 中村様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業での仕事内容を教えてください。
私の主な業務は、個人向けローンの審査です。これには、銀行カードローンのほかにも、教育ローン、マイカーローン、リフォーム資金などのローンも含まれ、お客様からの申込み内容に差異がないかを確認します。 また、新規のお客様だけでなく、既存のお客様からの情報提供やお問い合わせの受付、契約の見直し審査も行っています。基本的には、電話を通じてお客様と対話する業務が中心です。
──複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
私が複業留学に参加を決めた理由は、自身の視野を広げるためです。長年、現在の業務に従事してきた結果、自分のスキルや能力に一定の限界を感じていました。この限界を自覚し、それを超えることで自己成長を遂げたいと考え、複業留学に申し込みました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
留学先での主な活動は、SNSの運用準備と、企業が開催するセミナーの資料の精査でした。SNSの運用は初めての経験で不安もありましたが、留学先との打ち合わせを通じて、本業で培ったヒアリングスキルが活かせたと感じています。普段からお客様の意向を確認し、それに基づいて方針を立てることを重視しているので、SNSを通じてどのようなターゲットに対し、どのような情報を発信するかという部分もヒアリングできました。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
複業留学で最も困難だったのは、時間管理とコミュニケーションツールの利用でした。本業では完全出社制で、リモートワークに慣れていなかったため、通勤時間や休日に作業時間を長くとってしまうことがありました。これに対しては、作業の内容や目的、作業時間を明確化することで改善しました。
また、留学先の企業が完全リモートワークで、主な連絡手段がSlackというツールだったため、完全出社の本業とはレスポンスの速度が異なり、困難を感じました。これに対しては、自分から明確に「これをしてほしい」という要望を伝えることで、レスポンスが改善しました。
リモートワークの体験を通じて、通勤時間がないことの大きなメリットを実感しました。業務開始と業務終了のスイッチが速やかで、すぐにプライベートに切り替えることができます。これは、通勤時間が長い私にとって非常に魅力的でした。また、留学先の企業では、お子さんが近くにいる状態で会議に参加されている社員の様子を見ることができ、これも新たな発見でした。本業でも、リモートでできる業務を作ることができれば、子供の体調が悪い時などにも少しでも業務を進められると感じました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
留学先で 最も驚いたことは、企画や提案が実現するまでのスピードでした。私の所属する部署では、提案したことが実現するまでに数か月を要することもありました。しかし、留学先では、 提案から形になるまでの時間が非常に短かったです。例えば、SNSの試作動画を提案した際、その場で「いいと思います、今日投稿しましょう」という反応があり、本業の部署とは異なるそのスピード感には驚きました。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
複業留学を経験したことで、最も変わったのは私自身の意識です。以前から周囲への影響力に対して課題感を持っていましたが、複業留学を通じてその重要性を再認識しました。留学先ではSNS運用を提案し、動画投稿による集客やユーザーからの好反応を目指しました。しかし、その重要性や有用性を十分に伝えきれなかったところもあり、これまで以上に情報発信力や周囲を巻き込む力を意識するようになりました。周囲からの反応については、私の活動が自己啓発のきっかけになったり、異動先での対人関係の参考にしたいという声が上がりました。
──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか?
複業留学を通じて、自身の経験だけでなく、同期のレポートからも、目標を明確に設定することで前向きな感情が生まれやすいということを学びました。タスクが明確になることで、その過程や達成度によって楽しみという感情が芽生えやすくなると感じました。同期とは、それぞれの活動内容を共有したり、予定や進捗を共有したりしました。自社以外の会社に留学するという経験は初めてで、不安な部分もありましたが、同期という存在が大きな支えとなりました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
フォロワーの増加など、目に見える成果が得られなかったことは反省点と感じています。もっとできることがあったのではないかと思い、それを留学先に提示したかったです。しかし、そのような状況下でも留学先から「成果が出ている」という評価をいただき、とても感謝しています。それは自信とモチベーション向上につながりました。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
複業留学で得た経験を活かし、今後は より強い当事者意識を持つことを目指します。特に、周囲を巻き込む発信活動に力を入れていきたいと考えています。留学先での経験から、発信力、営業力、そして周囲を巻き込む力が必要だと感じました。これらのスキルは、本業でのお客様対応にも活かせると思います。今回の反省点を踏まえ、これらのスキルを今後のお客様への対応や周囲の社員、そして上司に発揮できるよう意識し、本業に活かしたいと考えています。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
私自身、もともと消極的な性格だったのですが、複業留学に挑戦することで新たな可能性が見えてきました。自分が思っている限界は、実は限界ではないかもしれません。新しい分野に挑戦することで視野が広がり、それが自己成長に繋がると実感しました。第一歩を踏み出すことは勇気が必要です。しかし、一度その一歩を踏み出してしまうと、自分でも思いもよらないアイデアが湧いてきたり、新たな一面を発見できたりします。複業留学に挑戦することを考えている人には、「その勇気を大切にして、一歩を踏み出してほしい」と伝えたいです。