みなさん、こんにちは。
エンファクトリーで、越境学習プログラム「越境サーキット」の企画・営業・運営を担当している長南です。
「末っ子だけど、長南です。」
自己紹介では、よくそう話しています。
普段は、年間250名以上の参加者と40社を超える企業の間を行き来しながら、人事の皆さまへのご案内、参加者対応、運営準備、企業との打ち合わせ、チーム運営、自動化ツールの改善まで、毎日あちこち駆け回っています。
気づけば夜になり、「今日も画面を見過ぎて目がかすむな」と思う日もしょっちゅうです。
それでも、この仕事を続けたいと思える理由があります。
キックオフでは緊張して、お互いを探るように話していた参加者が、3か月後には課題提示企業の前で堂々とプレゼンをしている。
「社外に、肩書きを気にせず話せる仲間ができました。」
「プログラムが終わったあと、チームメンバーと旅行に行ってきました!」
そんな報告を聞くたびに、「人は環境との出会いで、ここまで変われるんだ」と胸が熱くなります。
ただ、その変化は、プログラムが始まってから突然生まれるわけではありません。
私はむしろ、最初の変化は、参加者がキックオフに参加する前から始まっていると感じています。
目次
「会社が背中を押してくれる」、この機会を逃すのはもったいない
越境サーキットは、異業種の参加者がチームを組み、スタートアップや地域企業が実際に抱える経営課題に約3か月間取り組む越境学習プログラムです。
単発の異業種交流会のように、お互いの仕事を紹介して終わるものではありません。会社も、職種も、年代も異なるメンバーが一つの課題に向き合い、議論と試行錯誤を重ね、最後には課題提示企業へ提案を届けます。
実は私自身、20代の頃は社内だけの学びでは物足りず、社外の勉強会や交流会に自分で参加費を払って飛び込んでいました。
社外へ出たからこそ、自分の会社を少し離れた場所から見つめることができた。その経験が、自分の視野や仕事への向き合い方を大きく変えてくれました。
だからこそ思います。
「会社が社員の成長に投資し、挑戦する機会を用意してくれる」。そして、「挑戦しておいで」と背中を押してくれる。これはとても恵まれたことなのです。
そして、その貴重な機会を本当の意味で生かせるかどうかは、プログラムの内容だけでは決まりません。
人事や上司の「小さな関わり」が、参加者を変える
運営をしていると、人事担当者の方からこんな相談を受けることがあります。
「今年も、なかなか手が挙がらなくて……」
「本人は興味を持っているのですが、『今は業務が忙しいから』と上司の判断で参加を見送ることになってしまって……」
「参加してほしい人ほど、現場業務との兼ね合いで一歩を踏み出せないことも多いんです」
もちろん、毎年多くの応募が集まり、自発的に参加者が集まる企業もあります。
一方で、「せっかく良いプログラムを用意しているのに、なかなか参加につながらない」という悩みを抱える企業があることも事実です。
越境学習の価値を知っているからこそ、私は少しもどかしさを感じてしまいます。
越境学習が始まる前の「送り出し方」に、まだ工夫できる余地があるのではないでしょうか。
もちろん、人事の皆さんが多忙であることは十分理解しています。
採用、人材育成、制度運用、人事評価、配置、組織開発、労務対応……。
さまざまなテーマを抱えながら新しい施策を進めるのは、決して簡単ではありません。
それでも、越境サーキットの運営者として、一つだけお伝えしたいことがあります。
越境学習は、人事だけでつくるものではありません。
人事と上司が一緒になって参加者を送り出すことで、学びは個人の経験にとどまらず、組織の成果へとつながっていきます。
公募でも推薦でも、「送り出し方」が成果を左右する
越境学習の成果は、プログラムが始まってからではなく、参加前の「送り出し方」から決まり始めています。
「会社から言われたので参加します。」
「正直、何を期待されているのか分かりません。」
こうした状態では、越境学習は「自分の挑戦」ではなく、「与えられた業務」として受け止められがちです。
一方で、
「あなたなら、この経験を職場へ持ち帰ってくれると思った。」
「ぜひ、この機会を楽しんできてほしい。」
そんな言葉を人事や上司から掛けられた参加者は、自分自身の挑戦としてプログラムに向き合いやすくなります。
違いは、公募か推薦かではありません。
- 公募なら:応募してくれたことへの感謝を伝える
- 推薦なら:「なぜあなたに参加してほしいのか」という期待を伝える
その一言が、「参加させられる研修」を「期待を託された挑戦」へと変えていくのです。
役職ではなく「人」を知る。不安の自己開示から心理的安全性が生まれる
キックオフの日、画面に並ぶのは初対面の参加者たちです。
会社も、職種も、年齢も違う。
誰もが少し緊張しています。
それでも約3か月後には、本音で議論し、一つの提案をまとめるチームへと変わっていきます。
その理由を聞かれることがあります。
でも実は、私たちは一度も、
「仲良くなってください」
と言ったことがありません。
チームは、「仲良くしよう」という呼びかけだけでは生まれないからです。
私たちが最初に知りたいのは、肩書や役職ではありません。
「その人が、どんな人なのか。」
キックオフでは、変身資産アセスメントを活用し、自分の価値観や強みだけでなく、不安や苦手なことまで言葉にして共有します。
「実は、人前で話すのが苦手です。」
「慎重すぎて、一歩踏み出すまで時間がかかります。」
そんな自己開示から始まると、不思議なことが起こります。
「自分だけじゃなかった。」
「この人も同じように悩んでいるんだ。」
そう思えた瞬間、相手は”役職”ではなく”一人の人”になります。
だから安心して意見を言える。
だから率直な対話が生まれる。
だからチームになる。
越境サーキットでは、まず「人」を知ることから始めることで、安心して挑戦できる関係性を育んでいるのです。
「最近どう?」の一言が、人的資本への投資を生かす

人事や上司が、参加者に少しだけ関心を向ける。
- 送り出す前:期待を伝える
- 活動中:「最近どう?」と声を掛ける
- 終了後:「何か面白い発見はあった?」と聞いてみる
こうした小さな関わりだけでも、参加者は「自分の挑戦を見てもらえている」と感じ、安心して一歩を踏み出しやすくなります。
越境先で生まれた気づきは、職場へ戻ってから少しずつ広がります。
- 会議で違う視点を提案する
- 新しい挑戦を始める
- 周囲との対話が変わる
そうした小さな変化が積み重なり、やがて組織の変化につながっていきます。
人的資本への投資は、研修を実施することだけでは完結しません。
参加前に期待を伝え、活動中に見守り、終了後に学びを職場へつなげる。
その一連の関わりがあってこそ、越境学習は個人の経験ではなく、組織の成果になります。
私は、何百人もの参加者を見てきました。
人が変わる瞬間は、キックオフでも、最終プレゼンでもありません。
もっと前です。
「期待しています。」
「楽しんできてね。」
そんな言葉を掛けられた、その瞬間から、人は少しずつ変わり始めています。
だから私は思います。
越境学習は、プログラムが始まる日から始まるのではありません。
人事や上司が参加者を信じて送り出した、その瞬間から始まっているのです。
これからも、「末っ子・長南」は人事や上司の皆さんとともに、母のように皆さんの挑戦を見守っていければと思っております。
◆執筆者プロフィール
長南 あゆみ(株式会社エンファクトリー/越境デザイナー・越境サーキット運営責任者)

株式会社エンファクトリーで「越境サーキット」の企画・営業・運営を担う越境デザイナー。パティシエ、営業、人材マッチングを経て越境研修事業へ。異業種・異職種の実践型学習を設計し、参加者の行動変容と組織への還元を支援している。
「越境学習」を、一過性の体験で終わらせないために。
【越境サーキットとは?】
異業種の参加者がチームを組み、スタートアップや地域企業の実際の経営課題に約3か月間取り組む、実践型の越境学習プログラムです。「越境サーキット」の詳細はこちら
名刺交換で終わる「点」の交流ではなく、共通のゴールに向かって協働する「線」の交流を通じて、参加者の行動変容と組織への還元を支援します。
初めての異業種交流に「越境サーキット」をおすすめする3つの理由
- 「名刺交換」で終わらない、深い関係性が自然に築ける
- 自分の「当たり前」が、社外では「強み」だと気づける
- 利害関係のない「社外の同期」ができる
