みなさん、こんにちは。 エンファクトリーで、越境学習プログラム「越境サーキット」の企画・営業・運営を担当している長南です。
おかげさまで先日、社内の「2025年度年間エンパワー賞(MVP)」をいただきました。目標を上回る成果や運営改善が評価されての受賞だったのですが、実は私、K-POP好きでして。推しのワールドツアーのチケット争奪戦や日々の進捗確認にも、日々全力を注いでいて、公私ともに熱量高く動き回っています。
そんな“隠れ熱量おばけ”な私だからこそ、余計に気になることがあります。 異業種チーム型のプログラムである越境サーキットの運営をしていると、キックオフのたびに感じるのです。 同じチームなのに、参加者の「熱量」がまったく違う、と。
20代の若手から50代以上のベテランまで、職種も参加理由もバラバラ。 「自ら手を挙げました!」という人もいれば、 「正直、上司に勧められて……」という人もいます。
最初は、この温度差に戸惑う参加者もいます。 でも私は、いつもこう伝えています。
「熱量が違うのは、当たり前。むしろ、それがチームの伸びしろなんです。」
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職場の縮図だからこそ、面白い
考えてみれば、これは普段の職場でも同じですよね。 新しいプロジェクトが始まるとき、すぐ動きたい人もいれば、慎重に見極めたい人もいる。 豊富な経験から現実的な指摘をする人もいれば、既成概念にとらわれず大胆な案を出す人もいる。
つまり越境サーキットのチームは、組織を小さく凝縮したような環境なんです。
だから私たちは、参加者の熱量や考え方を無理にそろえようとはしません。 大切なのは、違いをなくすことではなく、違いを対話の材料にすることだと思っています。
若手の素朴な疑問が、ベテランの前提を揺さぶる。 ベテランの経験が、アイデアの実現可能性を高める。 そうやって「自分にとっての当たり前」が、唯一の正解ではないことに気づいていくのです。
正解のない「適応課題」が、参加者の「前提」を変える
越境サーキットで参加者が向き合うのは、あらかじめ答えが用意されたケーススタディではありません。実際の企業が、今まさに直面している経営課題なのです。越境サーキットでは、こうした課題を提示し、参加者との対話を重ねる企業を「課題提示企業」と呼んでいます。
例えば、2026年度の課題提示企業である株式会社Godot様からは、『「探索(0→1)」と「実装(1→10)」を両立するためのコミュニケーションやマネジメント、組織設計・評価制度のあり方』という、急成長企業ならではの経営課題が提示されました。企業自身も試行錯誤を続けているテーマだからこそ、参加者は自社の成功体験をそのまま当てはめることができません。
ハーバード大学のロナルド・ハイフェッツは、組織の課題を「技術的課題」と「適応課題」に分けました。 知識や手順で解決できるのが技術的課題。一方、関係者の価値観や関係性まで見直さないと解決できないのが適応課題です。
越境サーキットで扱うテーマの多くは、まさにこの適応課題。 だから参加者は、「正しい答えを早く見つけること」ではなく、「本当に考えるべき問いは何か」を探すことになります。
「自社では、まず上司の承認を取るのが当たり前だった」
「企画は企画部門が考えるものだと思っていた」
異業種の仲間と議論するうちに、そんな「自社の常識」が、数ある選択肢の一つにすぎないと気づいていくんです。

「過去を踏襲する」に見えた、小さな変化
2025年度の調査では、参加前後で参加者の行動や意識がどう変わったかを尋ねました。 その中で、「何かを始めるときに、過去のやり方を踏襲する」という項目だけ、数値が下がる、という結果が見えました。大きな変化ではありませんが、私はここに、越境学習らしい兆しを感じています。
過去の経験を否定したわけではなく、「これまでのやり方だけが正解ではない」という視点が、少しずつ芽生え始めているのではないかと思うのです。
参加者からは、こんな声も寄せられています。
「自社では当たり前だった考え方が、他社では当たり前ではないと気づいた」
「前例を踏襲する前に、なぜその方法を選ぶのかを考えるようになった」
過去を否定するのではなく、それだけに縛られず考え直せるようになる。 これこそが、変化の激しい時代に必要な力なんだと思います。
「自分たちでつくった答え」だから、行動が変わる
活動の途中には、「中間進捗会」があります。 議論の中で生まれた疑問や認識のずれを課題提示企業に確認し、理解を深める場です。
「私たちが本当に変えたいのは制度ではなく、日々のコミュニケーションです」
「現場では、こうした制約があります」
そんな対話を重ねながら、参加者は自分たちの考えを整理し、新たな視点を取り入れながら議論を深めていきます。
教育理論家のデイヴィッド・コルブは、大人の学びは経験するだけでなく、振り返り、意味づけ、次の行動へつなげる循環で深まると説明しています。
自ら試行錯誤して導き出した答えだからこそ、「誰かに与えられた正解」ではなく「自分たちでつくった答え」として受け止められる。 この当事者意識こそが、本業での行動変容につながっていくのです。
熱量の違いは、なくすものではなく「生かすもの」
最初はほとんど発言できなかった参加者が、最終プレゼンではチームを代表して提案する。 反対に、誰よりも積極的だった参加者が、周囲の意見を引き出す役割へ変わっていく。
「あの人、最初はあんなに静かだったのに」 と、運営メンバーとそんな会話をすることも、少なくありません。
熱量の違いは、チームの弱点ではありません。 違いがあるからこそ問いが生まれ、問いがあるから対話が始まる。
人的資本経営が求めるのは、「知識を増やす人材」ではなく、「変化に適応し、自ら問いを立て、周囲を巻き込みながら行動できる人材」です。
熱量や経験の違いを乗り越え、一人ひとりの「当たり前」が更新される。 その積み重ねこそが、人と組織の未来を変えていくのだと、私は思っています。
若手でも、中堅でも、ベテランでも構いません。 自分とは違う熱量を持つ誰かと出会い、正解のない課題に向き合う。 そこから、また一つ「当たり前」が更新されていく瞬間をこれからも創り出し、見届けていきたいと思います。
「越境の熱を、組織の熱へ。」
これは、私が今年度大切にしているテーマです。 これからも、「末っ子・長南」は、参加者一人ひとりの熱量を見守っていければと思っています。
◆執筆者プロフィール
長南 あゆみ(株式会社エンファクトリー/越境デザイナー・越境サーキット運営責任者)

株式会社エンファクトリーで「越境サーキット」の企画・営業・運営を担う越境デザイナー。パティシエ、営業、人材マッチングを経て越境研修事業へ。異業種・異職種の実践型学習を設計し、参加者の行動変容と組織への還元を支援している。
「越境学習」を、一過性の体験で終わらせないために
【越境サーキットとは?】
異業種の参加者がチームを組み、スタートアップや地域企業の実際の経営課題に約3か月間取り組む、実践型の越境学習プログラムです。「越境サーキット」の詳細はこちら
名刺交換で終わる「点」の交流ではなく、共通のゴールに向かって協働する「線」の交流を通じて、参加者の行動変容と組織への還元を支援します。
初めての異業種交流に「越境サーキット」をおすすめする3つの理由
- 「名刺交換」で終わらない、深い関係性が自然に築ける
- 自分の「当たり前」が、社外では「強み」だと気づける
- 利害関係のない「社外の同期」ができる
