【図解】越境学習の種類一覧|社内・社外9タイプの比較と自社に合う選び方

越境学習社内副業・副業解禁

変化の激しいVUCA時代において、従業員の自律的な成長やイノベーション創出を促す手法として「越境学習」が注目を集めています。

一方で、いざ導入を検討すると「社内副業や他社への留学など、種類が多くて違いが分からない」「自社の育成目的に合う越境学習がどれなのか迷う」とお悩みの人事・人材開発担当者の方も多いのではないでしょうか。

越境学習は、実施する場所(社内・社外)や期間の長さによって、得られる刺激の大きさや効果、運用の負担が大きく異なります。

本記事では、越境学習の代表的な種類を「社内型」「社外型」に整理し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、自社に最適な種類の選び方を分かりやすく解説します。自社の人材育成施策を検討する際の判断材料として、ぜひご活用ください。

そもそも越境学習とは?

社員が普段慣れ親しんだ組織や職場(ホーム)を一時的に離れ、価値観やルールの異なる環境(アウェイ)に身を置くことで学びを得る人材育成の手法です。

法政大学大学院の石山恒貴教授は、越境学習を「自分の心の中のホームとアウェイの境界を行き来することで学びが得られるもの」と定義しています。

  • ホーム:「居心地は良いが、新しい刺激や緊張感が少ない環境」
  • アウェイ:「居心地は悪く葛藤もあるが、強い刺激と新たな気づきが得られる環境」

ビジネスパーソンにとって自社はホームであり、異業種・異職種・他社組織はアウェイとなります。あえてアウェイな環境を経験することで、従来のやり方や固定観念を捨てる「アンラーニング(学びほぐし)」が進み、新たな視点や自律的なキャリア観を育むことができます。

越境学習の全体像や期待できる効果について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

参考:石山先生ご登壇「社員のプロアクティビティを引き出す仕組みとは? ~人を育て組織を強くする「越境学習」の始め方・広げ方~」開催レポート | 株式会社エンファクトリー

越境学習が注目される背景

企業における人材育成の手段として、越境学習が注目されています。

この理由は、主に次の2点です。

  • 人的資本投資の重要性の高まり
  • イノベーションへのニーズの高まり

まず、人的資本投資の重要性が高まっている点が挙げられます。人的資本投資とは、企業で働く人材を「資本」と捉える考え方のことです。少子高齢化で働き手が減る昨今、企業が競争力を保つためには、企業が積極的に彼らの成長を後押しする必要があります。そのための手段として、越境学習が選ばれる機会が増えています。

また、既存の発想の延長線上にはない「非連続的なイノベーション」が求められていることも理由の一つです。普段と異なる環境で得た刺激や知見は、新しい発想を生み出すきっかけになります。時代の変化が激しさを増す昨今、イノベーションの起こりやすい企業風土を醸成する手段として越境学習が注目されているのです。

越境学習の種類【社内で実施するタイプ】

社内型越境学習は、自社のリソースを活用し、部署や職種の枠を超えて実施するタイプです。受入先の確保や社外調整の手間が少なく、低コストかつ手軽に開始できる点が特徴です。

代表的な社内型越境学習には、次の3つがあります。

  • ジョブローテーション・社内公募
  • 部署横断プロジェクト・社内勉強会
  • 社内副業

ジョブローテーション・社内公募

定期的な人事異動制度であるジョブローテーションは、定期的に異なる部署や職種へ配置換を行い、多角的な業務経験を積ませる仕組みです。一方、社内公募は、新規事業や新ポジションに対し、社員が自発的に手を挙げて応募する制度を指します。

いずれも社内で新しいスキルや業務視点を獲得できるメリットがあり、特に社内公募は自発的なキャリア形成(キャリア自律)を促進する手段として効果的です。

部署横断プロジェクト・社内勉強会

異なる部署のメンバーでチームを編成し共通課題に取り組む「部署横断プロジェクト」や、社員同士でノウハウを共有し合う「社内勉強会」も手軽な社内越境です。 本業を維持したまま参加でき、普段関わらない部署との横の繋がり(サイロ化の解消)を生み出すきっかけとなります。 

社内副業

本業の所属を離れず、所定労働時間の一部(週数時間〜1日程度)を使って社内の他部署へ業務参画する仕組みです。 他社への留学などの社外越境や個人主導で行う社外副業に比べて、自社内で完結するためセキュリティや就業規則上のハードルが低く、企業施策として導入しやすい点が強みです。一方で、本業部署の上司との調整や時間配分のルール決めが必要となります。

社内副業制度の設計方法や導入事例については、下記のガイドブックにて詳しく解説しています。

越境学習の種類【社外で実施するタイプ】

社外型越境学習は、他企業やNPO、地方自治体や地域事業者など自社とは全く異なる組織環境に身を置くタイプです。社内型よりも「アウェイ感(異質さ)」が強く、価値観の転換や高い学習効果が期待できます。

代表的な6つの種類を紹介します。

  • 他企業への「出向・留学」
  • 社外での副業・兼業
  • 異業種交流会・他流試合
  • プロボノ・NPO活動への参加
  • 海外研修
  • ワーケーション・地域連携プロジェクト

他企業への「出向・留学」

企業研修として数か月から1年などの一定期間、スタートアップや異業種企業へ留学・出向させ、現地のメンバーとして実務に取り組む方法です。大手企業の社員がスピード感あふれるベンチャーで働くことで、当事者意識や経営視座、意思決定力を鍛えることができます。

エンファクトリーでは、週1日・3か月から6か月間でベンチャー企業のリアルな課題解決に挑む「複業留学」を提供しています。

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社外での副業・兼業

就業時間外や休日を活用し、他社で個人として業務を行う方法です。自社にはないスキルや人脈の獲得につながるほか、本業を客観視する機会になります。制度の整備や過重労働の防止策が必要です。 

異業種交流会・他流試合

他社の社員が集まり、ワークショップや議論を通じて交流・学び合う短期間の取り組みです。準備のハードルが低く、社外の視点を手軽に得る「越境学習のファーストステップ」として適しています。 

プロボノ・NPO活動への参加

自身の専門スキルや業務経験を活かして、NPOや地域課題解決などの社会貢献活動に参加する形態です。営利追求とは異なるインセンティブで動く環境を体験することで、多様なステークホルダーとの協働力やソーシャルマインドが育まれます。 

海外研修

海外の異文化・異言語環境に身を置き、現地企業での実務や研修を受けるタイプです。グローバルな視野やダイバーシティ理解を高める上で非常に強力ですが、費用や期間のコストが高くなるため、オンライン併用などの工夫も見られます。 

ワーケーション・地域連携プロジェクト

普段の職場を離れ、地域課題の解決やフィールドワークを兼ねて地方や自然環境の中で働く方法です。リフレッシュ効果に加えて、都市部とは異なる価値観や社会課題に向き合うことで柔軟な発想力を養います。 

越境学習の種類別メリット・デメリットを比較

越境学習の種類を選ぶ際は、「実施場所(社内か社外か)」と「活動期間(短期・中期・長期)」の2つの軸で整理すると比較しやすくなります。 

社内型と社外型の違い

社内型と社外型の最大の違いは、得られる刺激の大きさと運用の手軽さです。

両者の特徴を、以下の表にまとめました。

分類社内型社外型
手軽さ(運用負担)◯(自社で完結)△(受入先調整や伴走が必要)
得られる刺激(異質さ)△(社内文化の延長)◎(前提が崩れる強い刺激)
想定コスト低めから中程度中程度から高め
代表例【企業主導】
ジョブローテーション
社内副業
【企業主導】
他社への越境研修海外研修
【個人主導】社外副業

手軽に広く展開したい場合は「社内型」、リーダー候補にマインド変容や強い刺激を与えたい場合は
「社外型」が適しています。 

活動期間による違い

期間区分短期中期長期
標準期間1日から1週間数週間から1か月数か月以上
成長・変化の深度気づき・きっかけ作り行動パターンの変化価値観の転換・アンラーニング
代表例異業種交流会ワーケーション短期海外研修部署横断プロジェクト他社への留学
社外副業出向

短期施策はハードルが低く全社展開しやすい一方、行動変容までは至りにくい側面があります。本格的な意識改革を目指すなら、3か月以上の長期施策を推奨します。 

自社に合う越境学習の種類を選ぶ際のポイント

豊富にある種類の中から自社に最適な施策を絞り込むための3つのステップを解説します。 

1.  育成したい人材像から逆算する

目的が「次世代リーダーの育成」なのか「若手のキャリア自律促進」なのかによって、選ぶべき種類は全く異なります。

  • 経営視座・リーダーシップ育成:他社への留学やベンチャー出向など、アウェイ感の強い長期プログラムが効果的です。
  • エンゲージメント向上・キャリア自律:社内公募や社内副業、単発の異業種交流など、社員が自発的に挑戦しやすい施策が向いています。

2. 「異質さ」の度合いを意識して選ぶ

越境学習の効果は、普段の環境との「差(異質さ)」が大きいほど高まります。 ただし、いきなり異質すぎる環境へ送り出すと受講者が適応できず、過度なストレスで挫折してしまうリスクもあります。対象者の経験値やストレス耐性に合わせて、適切なハードル(タフアサインメント)を設定することが重要です。

適切な負荷設定の考え方については、下記の記事をご参照ください。

3. 予算・期間・運用負担を踏まえて絞り込む

予算や人件費、人事側の運用工数(伴走・安全管理など)から現実的な選択肢を決定します。 社外型の越境学習では、受入先の開拓やマッチング、帰任後のケアなど人事側のサポート工数が膨らみやすいため、必要に応じて専門の外部プロバイダーを活用することも有効です。 

越境学習ならエンファクトリーにお任せください

自社の目的に合った越境学習の導入・設計でお悩みなら、株式会社エンファクトリーへご相談ください。

エンファクトリーでは、累計80社以上・300名以上の支援実績をもとに、企業の課題に応じた多様な越境学習プログラムをご用意しています。

  • 複業留学:週1日・3か月から6か月間、ベンチャー企業のリアルな課題解決に挑む実践型プログラム
  • 越境サーキット:異業種混合チームでスタートアップの課題に挑む、短期集中型のプログラム
  • 社内副業・導入支援:制度設計から運用・社内周知まで一気通貫で伴走支援

設計から受入先マッチング、期間中の1on1伴走、帰任後の効果測定までトータルでサポートいたします。

まずは自社に合う越境学習のタイプや他社事例について、お気軽にお問い合わせください。

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