エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社オリエントコーポレーション 白根様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業での仕事内容を改めて教えてください。
クレジットカードの不正検知システムを活用した不正利用の早期発見、不正防止や不正利用検知システムのルール設定、またお客さまに利用確認の架電するメンバーのマネジメントや業務のツール作成などに携わっています。
──改めて複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
新卒で入社した当初、決済業務という大きな社会インフラに携わることで多くのユーザーの手助けをしたいという気持ちを抱いていました。入社から5年が経過し、改めてカード決済業務という仕事に対する忘れかけていた自分の思いや考えを見直す機会にしたいと思いました。
また、入社当初から同じ部署に所属しており、社内の狭い空間でしか働いたことがなく、今まで培ってきたスキルが果たして自社以外で通用するのか確かめてみたいと思ったと同時に、5年間新たなコミュニケーションが欠落していたため、新しい刺激を求める目的もあり手を挙げました。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
ミッションの進め方が定まらず、手探りで困惑した期間が大変でした。
業務効率化という目標は決まっていたのですが、留学先が新しい会社ということもあり、新人研修内容や各人の業務進捗状況を把握できている人がいないという課題にも直面したため、どのように課題解決に向かってどう進めていけば良いかわからず大変でしたが、最終的には直面した課題も含めて、たくさんの方から業務内容を聞き解決して乗り越えました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
働き方の多様性に驚きました。
大学に通いながら働いている方、子どもが複数名いながら働いている方、文字連絡のやり取りだけで会ったことがない方、話をしたことがない方がいることや、時間も各自自由に稼働しているので、このような働き方の多様性があることに驚きました。
また、ベンチャー企業ならではの横との繋がりに成長速度の速さを感じました。社内で困ったことが起こった場合、自社では社内で考え解決に導くため、どうしても考えが偏りがちです。一方、留学先では異業種、他業種に関わらず横の繋がりから情報収集し解決に導いていたことに大きな違いを感じました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
業務の把握と業務効率化を行いました。
具体的には、多くの方から業務の進行方法をヒアリングし、わかりやすくまとめながら、各人の業務進捗状況を可視化するためのフローチャート作成や、やり方が定まっていない業務進行方法の基本フォーマット作成、各業務フローが重複しないよう分業するなどを提案しました。
中でも、タスクの可視化が大きな課題でした。留学先は、各人の稼働時間や業務内容の管理表がなく、おおまかに個人で把握する程度でした。そのこともあり、留学中に請求漏れのトラブルが起こり、その問題を解決すべく、新しいツールを使用しての業務タスク管理を検討・提案しました。
本業の業務でも、常に効率化を意識しており、新しいツールの活用方法を模索する際は、その場だけでなく先のことまでしっかりと想定してツールの使い方などを調べるというスキルが活かせたと思います。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
仕事に対する考え方が、少し気軽になりました。複業留学以前は、結構切羽詰まった気持ちで働いていた部分もありましたが、留学先の働き方を体験して、もう少し気楽に働くことで新しい発想が生まれるのではないかと考えが改まりました。気軽に働くとは、例えばミスが起きた場合、心理的安全性が確保された状態で、どうするかをみんなで考え柔軟に対応し、誰に対しても自分の意見を言えるようなフランクな関係性や仕事の仕方です。本業でもこの意識を持って働くようになりました。
自社で留学先体験を話したところ、興味を持つメンバーも多く、何かやってみようという人のきっかけになっていると思います。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
複業留学の体験を社内外にシェアし、多くの方に色々な働き方があることや、色々な発想の仕方があることを知ってもらいたいと思います。
自社で働いていると、どうしても凝り固まった考え方になる人が増えます。留学先のような「当たり前がない」働き方を知ることで、自社のメンバーの発想ももっと柔軟になるのではないかと思います。
また、出産後の働き方に対して、会社にも大きな課題があることを知ってもらい、このままにせずに対策を模索してもらいたいと強く思いました。自社の現状、子育て期間中でも出社が余儀なくされ、労働時間も賃金も減少します。一方で、留学先のようなベンチャー企業は、働き方に柔軟に対応していることを知りました。
今後、社員全員にとって働きやすい会社を目指していくためにも、自社にも改めて今回の内容を知ってもらい、課題について無理だと決めつけることなく検討し、今後の制度に活かしてもらえたらと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
普段なかなかできない挑戦をするよい機会です。また、仕事に対して凝り固まった思考から脱却したい人や主体的に動くことができるようになりたい人は挑戦することをおすすめします。
自社と異なり、ベンチャー企業は人数が少ない会社が多く、かつ任されたタスクをこなすだけでは仕事にならず、一人一人が仕事に対して明確な目標を持って主体的に働いています。
これは、大企業ではできない経験だと思いました。オリコ内にも、もっと主体的に働く人が多くなることで会社全体は大きく変わり発展すると思いました。是非多くの人に挑戦してもらいたいと思いました。
「当たり前がない」環境で働くことで、自分自身が狭い価値観の中で働いていたことを実感でき、キャリアや働き方、仕事内容も含め、物事を広い視点で捉えられるようになったのが今回の一番の収穫で、3ヶ月がすごく短く感じるほど楽しく取り組むことができました。