エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた帝人株式会社 奥山様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──本業での仕事内容を改めて教えてください。
マテリアル部門の新規事業マーケティング部に所属し、デジタルマーケティングや新規事業創出の種を探索しています。
──改めて複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
自分の力を客観的に知りたいと思いました。グループ会社での転籍経験はあるものの、2014年の入社以来、同じ会社にいることで、自分の仕事スタイルや能力が、外から見るとどのように見えているのかを知りたいと思いました。
その理由は、不確かな将来に対する不安感があるからです。また、以前所属していた部署での経験がきっかけとなり、大企業の看板がなくても生きていける能力を持っておく必要があると考えるようになりました。
当時所属していた部署のお客様は、ほとんどがインターネット系のスタートアップ企業という環境でした。話しをする人がみな優秀な方ばかりで、いち営業と話をしていても、スキルや考える能力のレベルが自分とは全く違うことに気づき、自分自身もスキルアップが必要だと感じたのです。
営業以外の能力も磨かなければならないと思い、現在の新規事業マーケティング部への配属も、営業以外のスキルを高める目的から希望しました。今後も精力的に学び続けるつもりでいます。
また、本業で新規事業探索の業務も行っており、特に環境系事業の探索に注力したいという目標があります。そこで、環境系事業を行っている企業に入り、新規事業の種になるようなことを探したいと思い、手を挙げました。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
ベンチャー企業の人間として法人営業で顧客開拓に挑戦する中、大企業という看板が使えないことで、今までにない苦労を覚えました。
乗り越え方としては、とにかく数をこなすことに注力し、心が折れないよう目の前の仕事を無心でこなしました。具体的には、スクリプトの打ち合わせが1カ月ほどあり、その後2カ月は架電営業を行いました。100件近く架電業務が続く中で、微妙に変化を加えることやターゲティングを絞るなど工夫を凝らしました。
また、会社からの評価が得られない状況や上司からの評価がない状況下で、仕事に対するモチベーションを維持することに難しさを感じました。留学先の代表の方が人間として大変尊敬できる人物だったため、留学先に貢献したいという思いでモチベーションを高めることができました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
留学先で一番驚いたことは、留学先の代表の「懐の深さ」や「度量の大きさ」です。
営業をミッションとしている以上、結果を求められると予想していましたが、留学先の代表は、結果だけでなくプロセスを尊重されているという印象を持ちました。
本業でもプロセス重視の評価ではありますが、プロセスが良くても結果が出なければ収益に繋がらないベンチャー企業において、プロセスを重視して頂き驚き、懐の深さを感じました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
留学先での活動内容は、法人営業として企業をリストアップし、留学先のサービスである再生可能エネルギーに関連するサービスの提供に結び付ける仕事をしていました。100社ほどリストアップし、電話をかけて商談アポイントを取ることがメインでした。その中で、以前からの経験している飛び込み営業やテレアポにおける話し方やスキルを活かすことができました。
──複業留学の前後で何が変わりましたか?
仕事のプロセスに対する考え方が固まりました。
留学先は、目的に向かって直線的かつ合理的に仕事を進めていました。自社の場合、大きな組織ということもあり、紆余曲折しながら進めることで目的から外れてしまうケースも多くあります。留学先のようにしっかり目的に向かって進むことができるよう考え方が固まりました。
共感してくれる人たちを巻き込みながら、周りの人の意見にも耳を傾け、議論を重ねながらしっかりと進めることが大切だと思いました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
評価シートに「社内でしっかりと話し合って進めてください」というお言葉がありました。私はやりたいと思ったらすぐに突き進む性格ということもあり、複業留学開始当初、架電先のリストを作成し、自分だけでスクリプトを作成して架電をしていました。その中で、スクリプトもしっかり確認してから進めて欲しいとご指摘を頂くシーンがあり、事前にしっかりと準備を整えて進めていく重要性を再認識しました。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
環境系のアイデアや知識が深まったことは大きな収穫でした。 本業の新規事業探索に活かしたいと思います。
また、もしまたこの複業留学にチャレンジできるのであれば、農業系の企業にも入り込みたいと思っています。本業で事業を立ち上げる場合、机の上の空論ではなく、現場での困りごとをしっかり把握する必要があると考えているため、現場で学びリアルを活かすことができたらいいなと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
複業留学はおすすめだと思います。
今回の経験から、受入企業を選定するにあたり、本業と比較的近い業務を選ぶことで、留学先でのモチベーションも維持しやすいのではないかと感じました。
周りのメンバーには、素晴らしい経験ができる制度であることを口にしていますが、社内公募ではなかなか人数が集まらない現状です。この背景には、本業の業務負荷を気にして、興味はあるものの手を挙げていない人や、その負荷を乗り越えるモチベーションが足りない人が多いのではないかと考えます。そのような潜在層への言葉かけとして、本業と近いからこそステップアップに繋がるし、人脈形成もできますよと伝えたいです。