エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。 今回は実際に研修に取り組んでいただいた株式会社カルモア 赤城様に、複業留学についてインタビューいたしました。
──参加が決まった際の率直なお気持ちを教えてください。
正直なところ、最初は怖さが先行していました。知らない会社で、未経験の仕事をするというのは、自分の社会性が試されるようで不安でした。しかし、それと同時に、これまでの5年間で培ってきた経験を活かし、新しい世界を知ることへの期待感もありました。
──参加するにあたり、複業留学にどんなことを期待されていましたか?また、それは得られましたか?
自分がこれまでに培ってきたスキルが他の会社でも通用するのか、そして自分の経験が一般的なものなのかを知ることを期待していました。自社が特殊な環境であると言われることが多く、自分のスキルが普遍的なものなのか、それとも特殊なものなのかを確認したいと思っていました。結果として、留学先も自社と似た環境であったため、一般的な状況なのかどうかを把握することは難しかったです。しかし、商材が異なるという違いはあったものの、最低限の社会人としてのスキルは身についているということは確認できました。
──本業での仕事内容を教えてください。
本業は、脱臭装置のメーカー企業の設備営業部に所属し、新築の建物が建設される工事現場に対して、脱臭装置の導入を提案し、販売する仕事をしています。具体的には、建物が建設される途中で脱臭装置を設置することを提案し、クライアントに導入してもらうという営業活動を行っています。また、私自身はチームマネージャーとして、チームを指導する役割も担っています。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
複業留学先では、新規クライアントの開拓と中途採用の二つの業務に取り組みました。複業留学期間の前半は、新規クライアントの開拓に注力し、どのようにアプローチすればクライアントを獲得できるのかを探求しました。
複業留学期間の後半は、中途採用に焦点を当て、面接の実施や求人媒体の作成などを行いました。
この活動を通じて、私がこれまでに培ってきた分析力が大いに活かされたと思います。新規開拓では、どのようにアプローチすればクライアントを獲得できるのか、仮説を立てて検証することが求められました。また、中途採用の業務では、どのような求人を出せばより多くの人に見てもらえるのかを考えることが必要でした。これらの業務は、私の得意とする分析力を活かすことができ、大いに役立ちました。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
困ったことは、本業との両立でした。特に複業留学期間が年度末と重なり、仕事が忙しくなった時期には時間の使い方に苦労しました。週の40時間のうち8時間を複業留学に使ってしまうと、本業に割ける時間が32時間しかないという状況でした。
それを乗り越えるためには、まず自分のパワーをフルに使い時間を捻出ました。具体的には、留学先の仕事の前後に本業の仕事をするというスケジュールを組み何とかその日にやるべきことは最低限進めることができました。
また、本業で自分が担当しているエリアに関する問い合わせが自分に来てしまうという問題もありました。それに対応するためには、複業留学の前後の時間を使って問い合わせに対応し本業と複業留学の両立を実現することができました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
留学先で一番驚いたことは、皆さんが 仕事に対して非常にメリハリをつけて取り組んでいることでした。仕事はしっかりと取り組む一方で、仕事中にふわふわとしている人はいませんでした。
また、留学先ではシステム化が非常に進んでいると感じました。例えば、承認システムや日程調整など、会社の運営に関する部分がシステム化されており、誰が来てもすぐに効率よく仕事を始められる環境が整っていました。
本業では、様々なシステムが導入されていますが、それを十分に活用できていないと感じています。 必要なシステムを適切に判断し、それを活用している留学先の姿勢には驚きと共に、感銘を受けました。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
複業留学を経験したことで、私自身の視野が広がりました。複業留学を経験する以前は、自社の世界しか知りませんでしたが、 他の会社で働くことで比較対象ができ、自分の価値観や考え方がより広範で偏りのないものになったと感じています。
また、これが周りの人々にも影響を与えていると思います。具体的には、私が複業留学で得た経験や視点を活かして、話し方や戦略立案などに取り組むことで、周囲の人々とのコミュニケーションが変わったと感じています。さらに、私自身が複業留学を経験したことで、その価値を理解し、社内会議などでその良さを伝えることができました。私は元々社交性が高い方ではないので、自分で新たなコミュニティを作るのは難しいと感じていました。しかし、複業留学を通じて、全く違う世界と接する機会が増え、それが新たな視点やアイデアを生むきっかけになりました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
高い評価をいただき、非常に感謝しています。しかし、私が何か特別なことをしたわけではなく、まだ改善できる点が多くあると感じていますので、少々恐縮しています。例えば、留学先のビジネスを理解するという点では、時間の設定が難しかったと感じています。本業の方がもう少し余裕があれば、もっと深く理解することができたかもしれません。そのため、評価をいただいたものの、もう少しできたかなという思いもあります。
また、評価をいただいた後も、自分自身で反省点を見つけることができました。例えば、複業留学のタイミングについては、年度末は避けた方が良いと感じました。年度末は予想以上に本業が忙しくなり、複業留学も本業も中途半端になってしまう可能性があるからです。時間は有限なものなので、その中で最善を尽くすことが大切だと思います。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
複業留学で得た経験は、直接的な活用の場面は今のところ少ないかもしれませんが、私の考え方や物の見方には大きな影響を与えました。比較対象が増えたことで、一つの事柄に対して様々な視点から考えることができるようになりました。例えば、自社ではこう考えるけれど、留学先だったらこう考えるだろうという視点を持つことができるようになりました。これは、自分自身の意見を述べる際や、会社全体の方向性を考える際にも役立つと思います。自分の提言が会社全体の方向性に影響を与えることができればと思います。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
複業留学は、自分の視野を広げる絶好の機会です。特に新卒で入社した方や、これまで一つの会社でしか働いた経験がない方にとっては、他の会社の働き方や思考を学ぶ貴重な経験になると思います。
また、自社と他社を比較することで、自身の働き方や考え方を客観的に見つめ直すきっかけにもなります。
複業留学では出社して人と直接コミュニケーションを取ることが重要だと感じました。仕事の内容だけでなく、人との雑談や日常のやり取りからも多くのことを学べます。その人がどのように考え、どのように行動するのかを知ることで、自分自身の成長につながると思います。また、会社全体の雰囲気や働き方を肌で感じることも大切です。それが自分の視野を広げ、新たな視点を持つことにつながると思います。
複業留学を検討している方は、ぜひ出社して人とのコミュニケーションを大切にしてみてください。