100名超が越境したその先へ。オリコ様の人事が語る、社外での経験を「会社の成果」に還流させる戦略的人材育成

複業留学 越境サーキット 導入企業

■導入企業
企業名:株式会社オリエントコーポレーション( https://www.orico.co.jp/company/
業種:信販・クレジットカード・決済サービス業(金融)
従業員数:単体 5,251人 / 連結 8,636人(2026年3月31日現在)
スタート時期:2022年9月~
利用人数:120名以上
参考記事:
https://enfactory.co.jp/ekkyo-gakushu/case/6685/
https://enfactory.co.jp/ekkyo-gakushu/case/8741/

■インタビュー
株式会社オリエントコーポレーション
人事・総務グループ キャリアデザイン推進部 課長 相川 裕太 様
人事・総務グループ キャリアデザイン推進部          豊田 晴美 様

近年、多くの企業が社員の「キャリア自律」を掲げ、複業留学や越境学習といった先進的な人材育成施策を導入しています。しかし、その多くが「個人の成長や満足」で留まってしまい、自社への貢献や組織の変革にまで繋がっていないという、次なる壁に直面しています。

そんな中、いち早く自律的キャリア形成の仕組みを整え、すでに100名以上の社員を「外の世界」へと送り出してきた株式会社オリエントコーポレーション(以下、オリコ)。同社の人事部は今、施策の「第2フェーズ」として、個人の成長をいかにして組織の成果へと還流させるかという、非常に本質的な挑戦を始めています。

今回は、同社の人事担当者に、これまでの成果と、現在進行形で試行錯誤している「組織と個人のWin-Winな還流戦略」の全貌を詳しく伺いました。

【第1フェーズの成果】100名超の社員が外の世界へ。「キャリア自律」の土台を築いた人事制度改定

──まず、オリコ様が「複業留学」や「越境学習」といった施策に注力されるようになった背景から教えてください。

オリコ人事(以下、敬称略):かつての当社には、社員が主体的に自身のキャリアを考えるという文化が、そこまで深く根づいてはいませんでした。会社から与えられた役割を全うすることが美徳とされる側面もありましたが、激変するビジネス環境に対応するためには、社員一人ひとりが「自分はどうありたいか」「どんなスキルを身につけたいか」を自律的に描く組織へ変わる必要性がありました。

そこで約3年前に人事制度の大胆な改定へと踏み切りました。私たちが意識したのは、「知る・考える・上司がサポートする・会社が機会を提供する」という4つのサイクルを回すことです。この『機会の提供』の目玉施策として導入したのが、他社の環境を経験する複業(越境学習)でした。

──導入から現在に至るまで、どのような成果がありましたか?

オリコ人事:これまで若手から中堅、さらにはベテラン層まで含めて、累計で100名以上の社員が手を挙げ複業留学・越境サーキットへ参加しました。外の世界に飛び込み、自社の当たり前が通じない環境でもがきながらも、確かな視座やスキルを獲得して帰ってくる。この一連のプロセスにより、社内における『キャリア自律』の認知と土台づくりという点においては、第1フェーズとして大きな成果を上げられたと確信しています。

【新たな葛藤】戻ってきた社員の“熱量”が通常業務で落ちてしまう──見えてきた「組織の課題」

──第1フェーズで確かな手応えを得られた一方で、現在は新たな課題に直面されていると伺いました。ここを詳しくお聞かせください。

オリコ人事:はい。100名以上の越境経験者を出す中で、ある大きな『ジレンマ』が浮き彫りになってきました。それは、スタートアップ企業などの完全アウェイな環境で揉まれ、非常に高い熱量と新規事業開発のマインドを身につけて戻ってきた社員が、いざ元の通常業務に戻ると、その熱量をどこにぶつけていいか分からず、徐々にモチベーションが落ち着いてしまう(元に戻ってしまう)という現象です。

──せっかくの学びや熱量が、既存の組織環境に埋もれてしまうのですね。他社の人事でも非常によく聞く悩みです。

オリコ人事:まさにその通りです。個人が外でどんなに素晴らしい経験を積んで成長しても、それを迎える会社側、つまり組織の受け皿が最適化されていなければ、施策としての持続性は保てません。単に『社員が自分のキャリアを考えて外で成長できて良かったね』という個人の満足だけで終わらせては、企業としての投資対効果(ROI)としても疑問符がつきます。

会社と組織で見たときに、お互いが『Win-Win』でなければならない。社員だけがキャリアを考える状態じゃなくて、やっぱりそれをちゃんと会社の成果にも繋がるし、社員も成長に繋がる。この循環をちゃんと回す仕組みが、私たちが今まさに直面している第2フェーズの大きな壁となっています。

【次なるアプローチ】熱量を潰さない組織へ。 Win-Winの循環を回す4つの戦略的施策

──その「Win-Winの循環」を回すために、現在はどのような具体的な手を打たれているのでしょうか。

オリコ人事:私たちは現在、越境経験者の熱量を潰さず、組織の力へと還元するために、主に4つの施策を連動させて試行錯誤を続けています。

施策の柱具体的な取り組みと目的
経営人材育成との接続【今期より本格始動】 サクセッションプラン(経営人材育成)の一環として、従来の手上げに加え、選抜人材に外部企業出向などの越境経験を付与。帰任後は、外部環境で得た知見・スキル、越境経験により広げた視野を、まずは現場の実務や課題解決で存分に活かすとともに、中長期的な戦略的異動やマネジメントポジションへの登用へと繋げていく。経験の連続性を確保しながら、次世代経営人材として段階的に育成する。
② 社内副業・ジョブポスティング戻ってきた社員が、通常業務の傍らで自らのスキルを試せる「社内副業」の提供。および、自ら打席を勝ち取りに行く「ジョブポスティング」の連動。
③ 上司・マネジメント層の巻き込み現場の上司が経験者の『変化や違和感』を拒絶せず、むしろ既存業務の改善や新しい挑戦として評価・活用できるよう、管理職側の意識改革を促す。
④ コミュニティ形成(ピアサポーター)越境経験者同士が横で繋がれるコミュニティを構築。自部署で孤独やギャップを感じた際に相談し合える体制をつくり、お互いの熱量を維持・波及させる。

──特に①の「経営人材育成との接続」については、今期から非常に戦略的な動きが始まっているそうですね

オリコ人事:はい。今期から「経営人材育成を目的としたサクセッションプラン」の施策として、この越境学習を明確に位置付けました。選抜人材に外の世界を経験してもらい、その後、外部環境で培ったスピード感や新規事業開発の知見・スキル、そして越境経験により広げた視野を存分に活かしてもらいます。その上で、将来的にはマネジメントポジションや企画部署などへの戦略的な異動・配置へと繋げ、経験の連続性を確保しながら次世代経営人材として育成していく予定です。

──単なる異動ではなく、経営人材としての「経験の連続性」を担保されているわけですね。

オリコ人事:まさにその通りです。「行って終わり」にするのではなく、持ち帰った変革マインドを次の打席でどう活かすかというストーリーを人事側で描き、次世代経営人材として戦略的に育成していく。これが、私たちが今期から挑戦している組織還元への強力なアプローチです。

ただ、すべての越境経験者をすぐにそうした部署やポストへ異動させられるわけではありません。だからこそ、②の社内副業のように、いまいる現場にいながらでも打席に立てる仕組みや、③の上司の巻き込みといった多角的なアプローチを同時に走らせることが不可欠なのです。

【今後の展望】単なる「機会の提供」から「戦略的越境」へ。会社と社員が共に育つ未来

──非常に先進的かつ、大企業の人事が最も知りたいリアルな試行錯誤ですね。最後に、オリコ様がこれから目指していく人材育成の未来像について教えてください。

オリコ人事:これまでの私たちの取り組みは、どちらかと言えば『手を挙げた自律的な社員に対して、広く機会を提供する』という、個人主体のボトムアップ型に近いものでした。もちろんこれは土台として今後も継続していきますが、これからはもう一歩踏み込み、会社が将来の経営戦略を見据えて必要とするスキルやマインドを逆算していく必要があります。

未知の環境でもやり抜く『実行力』、本質を見極める『好奇心』、周囲を巻き込む『巻き込み力(人間力)』など、オリコの未来を作るために必要な力を、意図的に育むための『戦略的な越境機会の提供』へとシフトさせていきたいと考えています。

人事の役割は、単に研修制度を用意することではありません。経営戦略と個人のキャリアを高い次元で結びつけ、双方が持続的に成長できる環境をデザインすることです。

『会社と社員がお互いに成長できるWin-Winな関係構築』。この言葉をただの理想論で終わらせず、確かな仕組みとして定着させるために、これからも私たちは組織風土の改革と還流の仕組みづくりに挑み続けます。

◆ おわりに 

今回のインタビューを通じて、オリコ様が歩んできた5〜6年の道のりは、単なる制度導入の成功譚ではなく、常に「組織と個人のあり方」を問い直す挑戦の連続であったと感じます。

インタビューの最後に、担当者様は同じように悩む他社の人事担当者に向けて、力強いメッセージを寄せてくださいました。

「社員のキャリア自律(第1フェーズ)の先に待っているのは、『いかに組織の成果へ還元するか』という第2フェーズの課題です。会社と組織が一体となり、お互いがWin-Winになる好循環を回し続けること。この幸せな循環を人事の手で仕組み化していくことこそが、これからの戦略的人材育成の鍵になると確信しています」

制度の「やりっぱなし」で終わらせないオリコ様の覚悟は、人的資本経営の本質を捉えた、すべての人事にとっての道標となるはずです。

「複業留学」についてはこちら:
https://teamlancer.jp/lp/fukugyo_ryugaku

「越境サーキット」についてはこちら:
https://life-design.enfactory.co.jp/ekkyo-circuit/

詳しい資料をご用意しております。ご希望の方は下記からお気軽にお問い合わせください。
https://enfactory.co.jp/ekkyo-gakushu/inquiry/

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