エンファクトリーが提供する「越境サーキット」は他社のメンバーとチームアップし、スタートアップ企業のリアルな課題に対して、ヒアリング・仮説・提案を3ヶ月を1タームにして行う越境・対話型オンライン研修です。
サッポロビール株式会社 水谷智彦 様に、越境サーキットにご参加いただいた内容についてインタビューいたしました。
課題提示企業:株式会社LEO 取締役 COO天野貴文 様、伊藤亨 様
参加企業:コニカミノルタジャパン株式会社、沖電気工業株式会社、株式会社アイシン、株式会社オリエントコーポレーション、株式会社みずほビジネスパートナー、能美防災株式会社、他
年齢層:20代から50代、27名
プロジェクト:2024年度越境サーキット 第7タームB(12/3〜2/24)
──「越境サーキット」に参加した動機や目的は何でしたか?
私が越境サーキットに参加した理由は、大きく分けて三つあります。
まず一つ目は、上司からこの研修が非常に有意義であり、自分自身を深く理解し、他の参加者と協力して取り組む貴重な機会が得られると勧められたことです。
二つ目は、自分が社外でも通用するスキルや実力を持っているかを確認したかったからです。
三つ目は、アウェイな環境に一歩踏み出し、勇気を持って挑戦するマインドや行動力を高めたいと考えたからです。
参加する前は不安が6割、ワクワクが4割といった気持ちでしたが、周囲の励ましや自分自身に対するポジティブな思い込みが大きな支えとなり、踏み出すことができました。私は転職経験がなく、一つの会社で技術系の仕事を続けてきたため、自分の仕事の領域が非常に狭いことに気づき、このままで良いのかと考えることが多くありました。
そんな時、上司から「外に出て視野を広げる良い機会だ」と言われ、このチャンスを逃すとずっと同じ状況が続くかもしれないという思いが強まりました。少しの不安があっても、参加することで自分の成長につながると確信し、越境サーキットに挑戦することを決めました。
──プログラムを通じて得た最も価値のある学びや経験は何でしたか?
少しの勇気で一歩踏み出すことの重要性に気づけたことが、最も価値のある学びでした。自信がなくても行動を起こすことがどれほど意義深いかを実感し、新しいことに挑戦する心理的なハードルが大きく下がったと感じています。また、サウナ業界についても多くのことを学びました。プライベートで実際にサウナを体験してみて、サウナの世界には多様な楽しみ方や集客の工夫があることに驚きました。さまざまな人とつながることができ、サウナが今後の趣味になる可能性も感じています。
新しいことに挑戦することで、人生を豊かにするきっかけや生き方を見出すことができると実感しました。そして、変身資産アセスメントを受けたことも大きな収穫でした。「心のアクセル」と「心のブレーキ」という二つの軸を理解することで、自分の特性を意識しながらチーム活動に臨むことができました。自分の特性を理解した上で、どのように振る舞うかを考えたり、チーム内で活かせる部分を意識したりすることができたのは、非常に意義深い経験でした。
──チームでの課題解決活動の中で、特に印象に残ったエピソードはありますか?
越境サーキットで取り組んだ課題は、三重県のプライベートサウナの売り上げアップでした。
しかし、メンバー全員がサウナについて詳しくなく、趣味でもなかったため、最初は全くイメージが湧きませんでした。提供された資料やインタビューを通じてサウナの魅力や業界の動向を調査しましたが、どの方向に進めばこのサウナが良くなるのか、ずっとモヤモヤした状態でした。
そんな中、メンバーの一人が名古屋近くに住んでいたため、「一度現地を見に行ってくる」と言って、実際に訪問してくれました。その現地リポートと実体験をチームに共有してもらったことで、議論が急激に活発になりました。彼が「こういう魅力があった」と話してくれたことで、「じゃあ、こういうこともできるのでは?」というアイデアが次々と出てきました。結果として、実際に伊藤様(LEO様のサウナの現地ご担当)の人的な魅力にクローズアップして何かできないかという議論も生まれ、活発な意見交換ができるようになりました。
現場を確認することの重要性を改めて実感し、議論が発散している時は不安でいっぱいでしたが、みんなで粘り強く議論を進めることで、自然とチームとして機能し始めて、意見をまとめ上げることができたのは印象に残っています。最終的には最優秀賞プレゼンターにはなれませんでしたが、自分たちとしては納得のいくプレゼンができたという達成感がありました。
──プログラムを通じて自己理解を深めることができたと思いますか?具体的にどのような自己理解が得られましたか?
変身資産アセスメントを通じて、自分の「心のブレーキ」として完璧への執着や自己犠牲が高いスコアを持っていることにあらためて気づかされました。これらは自分の弱みだと認識はしていましたが、この三ヶ月という短い期間の中で提案をまとめるにあたって、完璧を求めるのは難しいため、多少割り切りながらドラフトを作成し、チームメンバーに提案して意見を詰めていく必要があると感じました。完璧に執着しないことを意識することで、スピードを意識しながらも、異なる背景をもつメンバーとなんとか協働できるという実感を得ました。
ただ、最後のプレゼンではやはり完成度を高めたいという気持ちが強く、最後まで粘り強く修正して精度の高いものに仕上げることができました。最初は完璧を求めずに進めることが重要だと感じながらも、最終的には高い完成度を高めることができたことは、心のブレーキが弱みではなく、強みにもなり得ることを発見できたのは貴重な経験でした。
自己犠牲についても、私に特徴的なあまり良くない行動傾向と感じていました。今回の越境サーキットでは、チームで誰かが議論のきっかけを作ったり、ミーティングのスケジューリングを調整する役割が必要だと実感しました。チームにとって前に進めることが重要だったため、最初は自分がその役割を引き受けて進めることで、チームへの貢献を意識して行動することができました。このように、自分の特性を活かして、チームの中で何ができるかを考えて行動することが重要だと感じ、それを実践できたことは大きな収穫でした。
私の仕事のスタイルは、完成度を高めた状態で他者に提案したいというものでした。他者に見せるからにはここまではやらなければならないという思いが強く、スピードが遅くなったり、決断する勇気が持てなかったりしていました。
しかし、越境サーキットを通じて、完成度重視ではなくスピード重視で進めることが重要だと気づきました。ドラフトを作成し、メンバーの意見を聞いて完成度を高めていく方が、アウトプットの質も向上し、自分自身も楽になると実感しました。今では、6割程度完成した時点でオープンにし、そこから仕上げていくことを意識して行動するようになりました。これが一緒に働くメンバーや組織にとっても価値がある仕事の進め方であると感じています。このような行動が習慣化され、安定的にできるようになれば、確実に良い変化として現れてくると思います。
会社の周りの方からは、最初に0から1を作る部分が一番エネルギーを使うので、その部分を私が担ったことに対して「助かりました」と言われることがありました。スピードを持ってたたき台を完成させるように意識して行動し始めたことで、少しずつ周囲からもその変化を感じてもらえているのではないかと思います。
──このプログラムを経験したことで、自分のキャリア観や価値観に何か変化はありましたか?
新しいこと、人、環境で何かを始める際には、まずは議論のきっかけやたたき台を早く作ることが重要だと感じました。メンバーを巻き込み、早く土俵に乗ってもらい、みんなで一緒に悩みながら形にしていくプロセスが、実は近道であることを実感しました。一人で悩みながら完成度を高めようとするのは、時間がかかりますし、自分自身も苦しくなります。また、その方法では一緒に働くメンバーの成長にもつながらないと感じました。まずは早い段階から周囲にオープンにして巻き込むことが大切であり、特に新しいことに挑戦する際は、このプロセスを重視することで、より良い成果を得られるのではないかと気づかされました。この経験は、自分の仕事の進め方の見直しや仕事に対する価値観を変えるきっかけになったと感じています。
──異業種(違う会社の方)と交流するメリットを教えてください。
はい、いくつかの価値を感じました。まず一つ目は、新しい環境に身を置くことで、普段経験できないことを体験できるという点です。普段の業務では意識しないような自分の特性や強み、弱みを深く考える機会にもなります。新しい環境に置かれることで、自分のものの見方や行動が顕在化しやすくなり、自分を自覚する良い機会だと思います。二つ目は、異なる会社の人々の考え方やマインド、意見、専門性、仕事観などを垣間見ることができる点です。例えば、「この人はこう考えるのか」とか、「自分はこういう視点で提案を考えてこなかったな」といった新たな気づきが得られます。こうした刺激を受けることで、自分がどのようにチームに貢献できるかを発見することができました。最後に三つ目は、現在の自分のスキルや能力が他社でも通用するのかを確認する良い機会になるということです。今回の越境サーキットでは、最終提案書としてプレゼンするという明確な目的があり、自分の考え方や行動の特性が顕在化しました。このような環境の中で、うまく立ち振る舞えたことや生かせたスキル、逆に足りなかった部分を実感することができました。自分や他者の良いところ、改善点を含めて実践の中で見つけやすい機会であったため、多くの発見がありました。
交流会では、名古屋と大阪のメンバーが当日来られなかったのですが、他のチームのメンバーや同じテーマの他のチームのメンバーと交流することができました。私の会社のメンバーも多数越境サーキットに参加していたため、社内でもお互いのチームの課題や状況がどのような感じか話すことができ、とても楽しかったですし、刺激にもなりました。
──あえて実践しておけばよかったことや後悔している部分があれば教えていただけますか?
このプログラムに積極的に取り組めたので、あまり後悔はしていません。本当に参加して良かったと思っています。
ただ、強いて言うなら、調整しなければならないという思いが強すぎて、仕切りの圧が強くなってしまったかもしれないと感じています。また、少し誘導的に議論を進めてしまった部分があったかもしれません。
また、社内ではないため、多少自分を良く見せようとする気持ちが働らき、普段とは違う立ち振る舞いをしていたかもしれないと思います。しかし、これらも含め、異なる環境で自分がどう立ち振る舞うのかが顕在化したものだと思っていますので、自分を知る機会になったと思っています。全体としては密度の濃い三ヶ月間を過ごすことができたと感じています。
【越境サーキットとは?】
越境サーキットは、3か月間(合計20時間)、異業種混合チームでスタートアップの課題解決にチャレンジするプログラムです。越境学習のプロセスを通じて、「人と組織が変わるきっかけ」を生み出します。
詳しくはこちら:https://life-design.enfactory.co.jp/ekkyo-circuit
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