エンファクトリーが提供する「越境サーキット」は他社のメンバーとチームアップし、スタートアップ企業のリアルな課題に対して、ヒアリング・仮説・提案を3ヶ月を1タームにして行う越境・対話型オンライン研修です。
株式会社センシンロボティクス 北村様に、越境サーキットで課題提示していただいた内容についてインタビューいたしました。
課題提示企業:株式会社センシンロボティクス 代表取締役社長 CEO北村 卓也 様
参加企業:株式会社アイシン、株式会社オリエントコーポレーション、花王プロフェッショナル・サービス株式会社、近藤建設株式会社、都築電気株式会社、株式会社ネクスウェイ、ブラザー販売株式会社、株式会社LIXIL、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社、NECネッツエスアイ株式会社、株式会社PFU 他年齢層:20代~50代、40名
プロジェクト: 2024年度 第2ターム(8/1〜11/01)
-越境サーキットの課題提示を決めた理由を教えてください。
私たちが取り組んでいるロボティクスやデジタルテクノロジーを活用したソリューションの開発において、投資対効果を明確にすることが非常に重要だと考えています。特にロボット関連のプロジェクトでは、投資の効果を測定するのが難しいことが多いです。
多くの場合、良い反応をいただくことはありますが、それが実際の投資につながるかどうかは別の問題です。そこで、プロジェクトが途中で止まってしまうことを防ぐために、最初からシミュレーションを通じて、どれくらいの投資対効果が見込めるのかを数値として算出したいという希望があり、この課題解決を手助けしてほしいという思いから課題提示を決めました。
特に、大企業出身の方々が参加されるので、大企業で稟議を通す際にどのようにアプローチするのか、どこでつまずくのか、またどの要素が不足しているのかについて具体的なアドバイスをいただけることを期待していました。
-提示した課題について教えてください。
自分たちだけでは解決できない課題があると考えています。例えば、自分たちの努力やリソースを使って解決できる課題であれば、自分たちで取り組むことが可能ですが、お客様側の稟議プロセスや承認を得るための具体的な要素は、私たちの外部にある問題で、自分たちだけでは計り知れない部分が多いと感じています。この部分の課題は、想像で取り組んできましたが、もう少し解像度を上げたいと思っていました。越境サーキットの参加者はまさに、お客様側にあたる人たちのため、そのような方々が支援してくれることが有効であるという仮説のもとに、「顧客の体験改善、サービス価値訴求に向けたデータの活用方法~ROI算定方法等~」という課題を提示しました。
-課題を検討いただく際、工夫された点について教えてください。
これは予想通りだったのですが、私自身も大企業にいた経験があるため、大企業出身者が正解を求める傾向が強いと感じました。
私たちが求めているのは正解を聞くことではなく、不確実なことや正解のないことに挑戦する経験を積むことです。そのため、「正解はない」と伝え、自分たちの経験や他の業界の方々がどのように解決策を考えるかを共有することが重要だと考えました。
-実際に課題提示してみていかがでしたか?
良かった点としては、私たちが気づいていなかった点や、参考になるエッセンスを得られたことです。これらは本当に取り入れたいと思っています。
一方で、ネガティブな面としては、私たちスタートアップにとって、スピード感は最大の武器ですが、中にはスピード感をもって進行する意識が薄いチームもありました。正解がないことに取り組んでいる意識はあるものの、真剣さや覚悟が感じられないチームがあったことは残念に思いました。
-最終プレゼンテーションを受けて、特に印象に残ったものや、実際に取り入れたいと思ったものはありますか?
一番印象に残ったのは優勝チームのプレゼンテーションです。このチームは、死亡事故が発生した際の損害額を算出し、保険や弁護士費用、レピュテーションリスクなどを含めた具体的な数字を示してくれました。 これは私たちにとって非常に参考になり、実際に年末に株主である某建設会社にその内容を持ち込んで話をしました。
その結果、別の角度からのフィードバックを得ることができ、非常に解像度の高い情報を得られたと思っています。特に保険の観点を取り入れた点が良かったですね。
ただ、実際に取り入れるには難しい部分もあります。例えば、海外では建設費用の中に一定の損失リスクを費用として見込むことが一般的ですが、日本ではそうした考え方があまり浸透していないようです。何か問題が起きたときに対処することはあっても、事前に予算に組み込むことが少ないため、私たちのソリューションをその中に組み込むのは簡単ではない現実を改めて理解しました。
それでも、こうした会話を通じて、私たちが仮説を持ってアプローチしない限り、解像度の高い情報は得られません。そういう意味では、非常にプラスの経験でした。今後もこのような議論を続けていきたいと思っています。
-最後に、越境サーキットで課題提示を検討している企業へのメッセージをお願いします。
課題提示企業側が、どれだけ目的意識を持って解像度を上げられるかが大切だと思います。
越境サーキット参加者の温度感を上げ、課題提示企業側に貢献したいという気持ちを持たせることがポイントです。
そのためには、熱意をしっかりと伝えられるかどうかが重要です。お互いにやらされ感で取り組むのではなく、真剣に関わることで、より良い結果が得られると考えています。時間の無駄にならないよう、貴重な出会いを有効に活用することが大切だと感じました。
また、オンラインでのコミュニケーションにおいては、目的を明確にし、共通理解を持つことが重要です。ゴール設定がわかりやすいと、逆に面白みがなくなってしまうので、参加者が自分たちで考えられる余地を残すことも大切だと思います。
課題の提示は難しいですが、課題を持っている側がその課題に真剣に向き合っていることを理解してもらうために、どれだけ熱意を持って取り組めるかがカギだと思います。
—
エンファクトリーでは、越境サーキットをはじめとする越境学習サービスを提供しております。詳細については、ぜひサービス一覧ページをご覧ください。
越境サーキット:https://life-design.enfactory.co.jp/ekkyo-circuit
越境型研修サービス一覧:https://enfactory.co.jp/ekkyo-gakushu
エンファクトリーの主催するイベント:https://peatix.com/group/66906/events