複業留学体験レポート「多様な働き方から得たアウトプットへのこだわりと多面的な視野」

複業留学 越境経験者

エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。
今回は実際に研修に取り組んでいただいた大日本印刷株式会社 中川様に、複業留学についてインタビューいたしました。

受入企業

株式会社ビジョナリーエンジン
https://visionary-engine.com/

──本業での仕事内容を教えてください。
現在、新規事業を創出する部門に所属しており、主に中長期的な視点に立った事業開発に取り組んでいます。この部門では、デジタル技術を積極的に活用し、社会に新しい価値を提供するサービスやビジネス開発を進めています。
私自身が担当しているテーマの一つは、AIアバターを使った高齢者向けの会話サービスの検討です。具体的な役割としては、このサービスの実現に向けた実証実験のプロジェクトマネジメントを担っています。加えて、サービスの広報PR活動や市場調査を行うなど、多岐にわたる業務に携わっています。一つの事業を立ち上げ、育てていくために必要なプロセス全体に関わることが私の重要なミッションです。

──複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
新規事業開発という仕事柄、スタートアップ企業と協業したり、時には競合してしまう場面に遭遇します。そうした中で、自社の動きとスタートアップ企業の動きの間に、明確なスピード感の違いがあることを実感していました。特に、意思決定の速さや、プロジェクトの組成、成果の出し方におけるスピード感には大きな違いを感じています。
もちろん、同じことを大企業である弊社の中でそのまま真似るのは難しいと理解しています。しかし、その実現を支えている要素には、設備や資金といった「ハード面」だけでなく、組織文化やノウハウといった「ソフト面」もあると考えています。この「ソフト面」であれば、私たちでも取り入れられる部分があるのではないかと思いました。そこで、自分自身が実際にスタートアップ企業に所属し、内側から彼らのノウハウを実体験として深く吸収したいと考えたのが、今回、複業留学に挑戦した一番のきっかけです。

──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
留学先は、顧客のAIを取り入れたサービスやビジネス開発の伴走支援を行っている企業でした。そこで私は主に二つの業務に携わりました。
一つ目は、AIエージェントを活用した新しいサービスのプロトタイプ開発プロジェクトへの参画です。顧客との要件定義を支援する業務を担当し、短い期間で顧客情報のキャッチアップから始め、最終的に要件定義書を提出するまでのドキュメント作成支援を行いました。
二つ目は、留学先が運営するAICX協会のコーポレートサイトリニューアルプロジェクトに、プロジェクトマネージャーとして参画しました。まだキックオフの段階でしたので、代表や理事の方々からリニューアルの方針をヒアリングし、制作会社に伝えるための準備や、プロジェクトを推進するための制作体制の整備(メンバーのアサインなど)を行いました。
これらの活動を通して活かせたスキルは、主にこれまでの新規事業開発の経験です。特にシステムのプロトタイプを作る経験や、自社サービスの立ち上げとウェブサイトの運用経験があったため、プロトタイプ開発で顧客と決めるべきポイントや、ウェブサイト制作のプロセスや必要な作業、メディア形態に応じた情報の載せ方を理解していました。顧客の要望に応える受託ではなく、自分たちが作りたいものを作るというスタンスで業務に臨めたことも、留学先の考え方を深く理解する上で役立ちました。

──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
一番難しさを感じたのは、同僚や他のメンバーとのコミュニケーションです。留学先はフルリモートの会社だったため、対面で会う機会がほとんどなく、やり取りは基本的にSlackのチャットやオンラインミーティングに限られていました。テキスト情報以外から相手の意図や状況を察することが難しく、まだ関係性が深く築けていない中で、作業の依頼などを行う際には、失礼がないようにと、必要以上に低姿勢になってしまう部分がありました。
この困難を乗り越えるために、留学先の環境自体が助けになりました。留学先では、お互いのプロフィールやバックグラウンド、価値観がわかるような情報を、Notionというツールにまとめて共有してくれていました。また、Slack上でのやり取りも他のメンバーから見える形式だったので、組織やチーム全体の雰囲気やコミュニケーションの温度感を把握することができ、時間をかけて少しずつ関係性を築いていくことができました

──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
一番驚いたのは、その働き方の多様性です。代表の方を除いて、メンバーの多くがフリーランスや副業や業務委託として働いており、毎日決まった時間で働いている人がほとんどいない組織でした。企業に勤めて定時で働く私のような人間が、むしろ少数派であることに新鮮な驚きを感じました。
また特に違いを感じたのは、成果に対する意識です。大企業では通常、半年に一度の人事評価に向けて長期的なスパンで目標を設定し、それに向かって努力します。しかし、業務委託という働き方では、文字通り「時間単位」で成果が求められます。契約が1ヶ月ごとに更新されるといったケースもあり、その日、その案件でどれだけ成果を出せたかが非常に重要になります。
これは、目の前の経営に直結する危機感から生まれる意識の違いだと感じました。現場の雰囲気はカジュアルでしたが、根底にある「成果を出し続けなければ契約が継続されない」という意識は、企業の正社員とは全く異なるもので、大きな刺激を受けました。

──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
複業留学を通じて、多様な働き方やキャリア形成の方法、そして成果(アウトプット)に強くこだわる姿勢について、良い意味で大きな影響を受けました。留学後は、自分自身のキャリアを深く見つめ直し、自分の強みや弱みを言語化することで、今いる会社の中でこれからどのような経験を積み重ねていくべきか、主体的に考えるようになりました。その結果、複業という選択肢も具体的に選ぶことができています。
仕事の進め方においても変化がありました。特に、成果を出すことに強くこだわるようになり、ミーティングや資料作成一つとっても、なるべく時間をかけずに、自分の中だけで完結させるのではなく、チーム全体に還元できる具体的な成果を生み出すことに集中しています。
周りへの影響としては、ちょうど留学期間中に部署異動をしたのですが、新しい部署のメンバーから、アウトプットを出すスピード感と、物事をはっきりと「断言」する姿勢について、評価し受け入れてもらいました。私の姿勢に刺激を受けた同僚が、ミーティングの進め方を変えてくれたり、私が導入を提案した新しいツール(例えば、Figmaなど)を積極的に使ってくれたりと、良い波及効果があったと感じています。

──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか?
同期の活動やレポートから、自分が行けなかった他の企業の様子や、そこでDNPの社員がどのように活躍しているかを知ることができたのは、大きな学びでした。複業留学先を選ぶ際に複数で悩んだ経験があったので、他の企業の情報を得られたことは非常に有益でした。
また、このプログラムを通じて「横のつながり」が生まれたことも貴重でした。社内には一緒に仕事をしたことはあっても、深く知る機会がなかったメンバーがたくさんいますが、偶然にもそうしたメンバーが同期の中にいました。ミートアップなどの場や、会社内でたまたま会った際に、複業留学の話を通じて会話が弾みました。同期として集まったメンバーは、キャリアに対する課題感や、「自分を変えよう」という強い意思を共通して持っているため、仕事上の関係だけでは得られなかった、お互いの価値観や考え方を深く知る機会となりました。

──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
評価をいただけたことは、まず純粋にとても嬉しかったです。自社内で評価される機会はもちろんありますが、それが「社外でも通用する能力」なのかどうか、自分では判断できませんでした。今回、外部の、しかも経営視点を持たれている方に、自分の働きを評価し、それを明確に言語化してもらえたことは、大きな自信につながりました。自分の能力を、社外でも通用する「公開できる評価」として認識できるようになったのが最大の喜びです。
また、自分自身の課題についても新しい視点を得られました。以前は、デザインやエンジニアリングといった具体的な「スキル面」が足りないと思っていましたが、指摘されたのは、意識の持ち方や、同僚に対して自分の存在をアピールするといった「ソフト面」の改善点でした。これにより、「資格や具体的なスキルといったラベルを貼れるもの」だけに執着しなくてもいいのだと思えるようになりました。意識や姿勢といった、目に見えにくい部分であっても、それが十分に外部の評価となり得るのだと、考え方が大きく変わったことは、今後のキャリアを考える上で貴重な気づきとなりました。

──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
この経験は、私が本業で取り組んでいる新規事業開発にまさに直結して活かせると感じています。留学先で学んだ、スタートアップ企業の「無駄なことをなるべく削ぎ落として、必要なところに集中する」仕事の取り組み方は、非常に刺激を受けました。今後は、そういった経験を自分自身の事業開発の中でも活かし、集中すべきところに集中し、緩めるところは緩めるというメリハリをつけることで、同時に手掛けられる事業開発の数を増やし、スピードも上げていきたいと考えています。留学先と業界や職種が比較的近かったこともあり、直結して活かせる経験ができたと思っています。
また、複業留学の経験を通して、今後のキャリア形成について多面的な視野を持つようになりました。複業を続けることはもちろん、社内の仕事も一つのものに絞るのではなく、複数の領域(例えば、事業開発部門とコーポレート部門など)で兼任するといった形で、多面的なキャリアを積んでいきたいと考えています。

──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
「自信を持てるようになりますよ」という言葉を伝えたいです。特に、プロパー社員として長年働いていると、新卒時の就職活動以来、「自分を売り込む」経験をしていない人が多くいます。そのため、今の自分の市場価値がどうなっているのか、また違う場所で活躍できるのかを知り得ないままキャリアを進めてしまう傾向があります。私自身も10年近く働いてきて、管理職を目指すなどの大きなキャリアの決断をする際に、自分に自信があるかないかで、その後の判断が大きく変わると実感しています。
たとえ、自分には能力がないと思っている人でも、複業留学を通じて意外とスタートアップ企業の中で活躍できる場面があること、あるいは自分に足りない部分も見えてくること、そういった自己評価ではない「他己評価」を受ける機会は、大きな自信につながります。だからこそ、自信のない人やキャリアに迷走している人にこそ、ぜひチャレンジしてほしいと思っています。

【複業留学とは?】
ベンチャー企業の課題解決を通じた越境学習の実施により、「行動変容を促す研修プログラム」です。
3~6か月間×週1日の実践で、通常業務と並行して実施が可能です。
詳しくはこちら:https://teamlancer.jp/lp/fukugyo_ryugaku


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