エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。
今回は実際に研修に取り組んでいただいた関西電力株式会社松本様に、複業留学についてインタビューいたしました。
受入企業
株式会社START WITH WHY
https://sw2.jp
──本業での仕事内容を教えてください。
私は関西電力のIT戦略室に所属し、ITガバナンスの全体統括を担当しています。
攻めのガバナンスとしてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けたビジョン・ロードマップおよび次年度計画の策定や、守りのガバナンスとしてシステム不具合やセキュリティ事故といったリスクに対するポリシー・スタンスの整備を行っています。
──複業留学に手を挙げた理由を教えてください。
現在の自身のキャリアに大きな疑問を抱いていたわけではありませんが、今後のキャリアで自分が何を成し遂げたいかが明確でないと日々感じていました。
複業留学の話を聞き、自分の興味に沿ってミッションを選べる機会は貴重だと考え、多くの刺激を受けることでやりたいことが明確になる、あるいはキャリア観の醸成に良い影響があると期待して手を挙げました。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
アスリートの1.5キャリア(※1)形成を支援するサービスの企画・構想に携わり、留学先の代表と二人三脚で活動しました。
当初は「アスリート向けオンラインスクールの開講」というミッションを設定し、アスリートがビジネスマンとして生きていくためのマインド・スキルを獲得できるような教育サービスの全体構成・コンテンツ案の検討を進めましたが、途中で方向転換し、最終的にはアスリート業界の抱える課題分析と解決に向けた支援サービスのあるべき姿に関する提言をまとめました。
活動の中では、本業で培った論理的思考力や、万全の準備をして打合せ・ヒアリングに臨む仕事の進め方を活かすことができました。
情報不足では次の行動選択が難しいため、迅速に多くの情報を集め、自分なりの仮説・意見を作り、留学先の代表に分かりやすく伝えることが求められました。
本業でそのプロセスに慣れていたおかげで、方向転換時の暗中模索な状況下でも取り組みを前に進めることができたと感じています。
※1:アスリートのセカンドキャリア(=現役引退後の就職先)の幅を広げることを念頭に、現役の時から副業/第2の本業という形でキャリア形成することも視野に学習・活動して欲しいという想いから、「セカンドキャリア」でも「デュアルキャリア」でもなく「1.5キャリア」という表現を用いています。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
オンラインスクールの企画を進める予定でしたが、方向転換が必要となった点に難しさを感じました。サッカー関係者にヒアリングを行った際に、オンラインスクールを開校しても参加希望者が少ないだろう(選手全体の1割にも満たないのではないか)という意見が多く、選手の気持ちや潜在意識を考えると成功は難しいと判断しました。
そこで「真の課題は何か」「このサービスが成功するために必要な要素は何か」を徹底的に考え、留学先の代表と議論を重ねました。この時、 主体性を持ち続けることを特に意識しました。代表のご意見を先に聞くとその方向にしか進まず私がいる意味が薄れてしまうと考え、まずは自分から意見を伝え、それを叩き台に方向を決めていきました。当初のミッションであったサービスの企画・構想を大きく前進させる結果にはなりませんでしたが、正しい一歩を踏み出せたと感じています。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
意思決定のプロセスが本業と大きく異なっていた点が新鮮でした。本業では緻密に情報収集し、丁寧に議論を重ねて意思決定するアプローチが主流です。一方留学先では、限られた時間内で集めた情報をもとに筋の良い仮説を立て、その方向に突き進むというアプローチがあり、このスピード感は大きな違いだと感じました。
多くのベンチャー企業ではスピード感を失うと将来が危ぶまれる環境にあるため、意思決定のスピード感や限られた情報で意思決定する嗅覚・胆力が求められると感じました。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
自身のキャリアに対する考え方が変わりました。複業留学を始める前は、社内でどの業務に取り組むかは最終的には会社が決めることであり、自分はそれに従うものという潜在意識がありました。しかし複業留学の経験を通じて、 キャリアの形成のために自分自身ができることはたくさんあると気づきました。「こういうことをやりたい」「こういうことが課題だ」と積極的に発信し行動していくことで、自分や周囲の考え方、ひいては自分の今後のミッションも変わっていくものだと考えるようになりました。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
留学先の代表から高い評価をいただき、大変ありがたく感じています。一方で「自分自身の期待を超えられたか」という自己評価は決して高くはなく、特に社外事例調査の進め方・まとめ方には改善点があると感じました。
もう一点、自分の働きを関西電力以外の環境で初めて評価していただいたことも非常に有意義でした。関西電力内で当たり前だと思って取り組んでいることに高い評価をいただいたり、 本業の上司とは違った観点からアドバイスをいただいたりしたことで、自己理解が深まったと感じています。
改善点はもちろんですが、私自身として、また関西電力として自信を持って良いポイントもたくさんあることを持ち帰り、本業の仲間に共有したいと思います。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
今回、新規事業の企画・構想に取り組みましたが、本業でも事業推進に取り組みたいと考えています。今後その機会を得ることができれば、今回の経験を引っ張り出して1つでも多くの勘所を持った状態で臨みたいと思います。
また、 現在の職場でも、今回得たキャリアに対する考え方の変容や顧客志向意識は非常に重要だと考えています。現在は社内のコミュニケーションが多いですが、他部門の社員や経営層を顧客と捉えその想いや思考を理解することで、より有効な内容・タイミングでコミュニケーションできます。複業留学の経験を通じて、他部門社員と日ごろから接点を増やしておくことが重要だと考えるようになりました。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
何が得られるかは人それぞれですが、興味を持って手を挙げたのであれば必ず何か得られると思います。 最も重要なのは留学先のミッションを自分事化して主体的に取り組むことであり、それさえできれば必ず良い経験になると思います。
また今回、多くの受入企業の中から希望する留学先を選ばせていただきました。そのように自分の仕事内容を自分で決められる機会は会社員である以上決して多くはなく、その機会をいただけたことも非常に貴重だったと感じています。本業との調整などハードルを感じることもあるかもしれませんが、ぜひ自分のやる気と職場の理解を信じて、手を挙げてみてはいかがでしょうか。
【複業留学とは?】
ベンチャー企業の課題解決を通じた越境学習の実施により、「行動変容を促す研修プログラム」です。
3~6か月間×週1日の実践で、通常業務と並行して実施が可能です。
詳しくはこちら:https://teamlancer.jp/lp/fukugyo_ryugaku
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