エンファクトリーが提供する越境型研修サービス「複業留学」は、大手企業の従業員がベンチャー企業で実務を行う「越境研修」です。今回は実際に研修に取り組んでいただいた大鵬薬品工業株式会社 箕輪様に、複業留学についてインタビューいたしました。
ユビ電株式会社
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──参加が決まった際の率直なお気持ちを教えてください。
社内の選抜型研修プログラムの一環としてこの制度があることは以前から知っており、参加が決まった時は「楽しみ」という気持ちと「不安」な気持ちが入り混じった複雑な心境でした。正直に言えば、スタートするまでは不安の方が強かったかもしれません。長年、一つの会社で働いてきた自分が、全く文化の異なるスタートアップ企業で本当に通用するのか、役に立てるのかという懸念があったからです。
しかし、これまでのキャリアにおいても、環境が大きく変化するタイミングで自分自身が成長できたという実感がありました。そのため、今回も未知の環境に飛び込むことで、また新しい自分が発見できるのではないか、一回り大きくなれるのではないかという期待感も同時に持っていました。不安を抱えつつも、それを成長へのエネルギーに変えて前向きに挑戦しようという気持ちでスタートを切りました。
──参加するにあたり、複業留学にどんなことを期待されていましたか?また、それらは得られましたか?
環境を変えることで得られる「視野の広がり」と「視座の高まり」を期待していました。これまでの異動経験からも、環境の変化が問題解決能力の向上や、マネジメントにおけるコミュニケーションの幅を広げてくれた実感があったからです。異業種での経験を通じて、これまでとは全く異なる角度からの学びが得られるのではないかと考えていました。
実際に4ヶ月間の活動を通じて、その期待は十分に満たされました。さらに、予期せぬ副産物として、留学先の経営幹部の方々と非常に近い距離で仕事ができたことは大きな財産となりました。素晴らしい経歴を持つ方々と同じ空間で働き、社長から直接声をかけていただくようなフラットな関係性の中で刺激を受けられたことは、大企業ではなかなか得られない貴重な経験でした。期待していた視野の拡大に加え、経営者視点に触れる機会を得られたことは、私にとって大きな収穫です。
──複業留学先での活動内容を教えてください。また、どんなスキル、能力、ノウハウが活かせたと思いますか?
留学先は、EV(電気自動車)充電サービスを展開するスタートアップ企業でした。私のミッションは、法人向けの充電サービス導入に向けた営業活動です。当時、一般のマンション向け事業には注力されていましたが、法人向けは素晴らしいプロダクトがあるにもかかわらず手つかずの状態でした。そこで、私が長年携わってきた医薬品業界のネットワークを活かし、製薬メーカーや医薬品卸売企業へのアプローチを行いました。
この活動で活かせたのは、相手に合わせたロジックの構成力やプレゼンテーション能力です。また、業界特有の事情を熟知していたため、ボトムアップではなく、決定権を持つキーマンに直接アプローチする戦略をとることで、スムーズに商談を進めることができました。商材は違っても、誰にどう伝えれば響くのかを見極める力や、人脈を開拓して関係を構築するスキルは、異業種でも十分に通用する武器になると実感しました。
──留学先で一番驚いたこと、違いを感じたことは何ですか?
社員の方々のマインドセットと、仕事に対するスピード感に圧倒されました。特に驚いたのは、私よりもはるかに若いメンバーが、「3年後、5年後に会社があるか分からない」という健全な危機感を持ちながら、目の前の仕事に全力で取り組んでいたことです。大企業にいると長期的な安定を前提に考えがちですが、彼らは「今やるべきこと」に集中し、短期間で成果を出すことに貪欲でした。
また、経営層と現場の距離の近さも衝撃的でした。優秀な経歴を持つ幹部陣が、若手社員と同じ目線で議論し、即断即決で物事を進めていく様子は、階層構造がしっかりしている本業の環境とは全く異なるものでした。この環境だからこそ、若手が萎縮せずに育ち、当事者意識を持って働けるのだと納得しました。組織の在り方や働く人々の熱量の違いに、大きなカルチャーショックと刺激を受けました。
──複業留学で困ったことは何ですか? またどのように乗り越えましたか?
最も苦労したのは、本業とのリソース配分です。留学期間中、本業の稼働が物理的に20%減るため、これまで通り部下の営業同行を行うことができなくなりました。最初は部下に申し訳ない気持ちがありましたが、結果としてこれが良い方向へ作用しました。私が同行しないことで、部下が自分で考え、行動する機会が増え、彼らの自信と成長に繋がったのです。
私自身も、全ての業務に関与するのではなく、要所を締めるマネジメントスタイルへと切り替えることで乗り越えました。部下からも「今日は留学の日ですよね」と快く送り出してもらえるようになり、権限移譲が進んだことでチーム全体の生産性も向上しました。リソース不足という課題が、結果的にマネジメントの最適化をもたらすという、嬉しい誤算となりました。
──本業でのサポート(上司・チームメンバー等)は十分でしたか?
周囲の理解とサポートは非常に手厚く、感謝しています。上司や同僚のマネージャーたちは、私が留学先の活動で会議に出席できない際も、快くフォローしてくれました。議事録の共有や、不明点への迅速な回答など、私が不在でも業務が滞らないよう協力体制を敷いてくれました。
また、部下のメンバーたちも私のスケジュールを把握し、留学活動の日には連絡を控えるなど配慮してくれました。こうした周囲の支えがあったからこそ、安心して社外での活動に集中することができました。組織全体で新しい挑戦を応援してくれる風土があったことは、私にとって非常に大きな救いでした。
──同時期に複業留学に取組んでいた同期との関わりや互いの活動・レポートから学びや気づきはありましたか?
同期の存在は、精神的な支えであり、学びの宝庫でした。彼らの活動レポートを読むのが毎週の楽しみで、「同じように苦労し、頑張っている仲間がいる」と感じられるだけで大きな励みになりました。留学先というアウェイな環境で戦っているのは自分一人ではないという連帯感が、モチベーション維持に繋がりました。
また、同期がそれぞれの留学先でどのように振る舞い、存在感を示そうとしているのかをレポートから読み取ることで、自分の活動のヒントを得ていました。全く異なる業種や職種であっても、「信頼を得るためのスタンス」や「課題への向き合い方」には共通点が多く、彼らの姿勢を参考にしながら自分の行動を修正することもありました。同期との間接的な交流は、活動の質を高める上で非常に有意義でした。
──第三者からの評価を受けて、どう感じましたか?
たった16回、週に一度という限られた活動期間であったにもかかわらず、私の働きをしっかりと見て評価してくださったことに、驚きとともに深い感謝の念を抱きました。EV業界という全くの未経験分野で、手探り状態で進めてきた活動でしたが、「期待以上の成果」というフィードバックをいただけたことは、単純に嬉しかったです。
何より、会社の看板がない状態で、自分個人のスキルやスタンスが通用すると認められたことは、大きな自信になりました。身に余る評価をいただき恐縮する部分もありますが、社外の客観的な視点から自分の強みを再確認できたことは、これからのキャリアを歩む上で確かな自信と糧になったと感じています。
──複業留学の前後で何が変わりましたか? もし、周りの人への影響があれば教えてください。
自分の中に、会社や組織を見るための「客観的な軸」ができました。以前は自社のやり方が全てでしたが、外の世界を知ったことで、「自社のここは恵まれている」「ここはもっと改善できる」といった比較検討ができるようになりました。この視点は、本業で組織変更があり、メンバーが不安を感じていた際に大いに役立ちました。
変化に戸惑う部下たちに対し、留学先での経験を引き合いに出しながら、「スタートアップの環境に比べれば、我々はまだ恵まれた環境にある」といった話や、「変化をチャンスと捉えるマインドセット」について伝えることができました。私の実体験に基づく言葉が、メンバーの腹落ち感を高め、前向きに変化を受け入れる手助けになったと感じています。自分の学びを周囲に還元し、組織の安定化に寄与できたことは大きな変化でした。
──複業留学での経験を今後どのように活かしていきたいですか?
今回得られた「社外の視点」や「判断軸」を、現在の経営企画部での業務にフルに活かしていきたいと考えています。経営に関する検討を行う際、自社の論理だけで考えるのではなく、「市場全体から見てどうなのか」「スタートアップのようなスピード感を取り入れられないか」といった多角的な視点を持つことで、より質の高いアウトプットを出せると確信しています。
また、異業種でゼロから関係を築き、成果を出したという成功体験を自信に変え、新しいミッションやチームビルディングにも積極的に挑戦していきたいです。留学先で学んだリーダーシップや組織運営の在り方を、今のチームにも還元し、メンバーと共に成長できるような環境を作っていきたいと思っています。
──ほかのメンバーに複業留学をおすすめするとしたら、どんな言葉をかけますか?
「自社では絶対にできない経験と、一生モノの自信が得られますよ」と伝えたいです。長く同じ会社にいると、社内のルールや慣習で「ダメだ」とされていたことが、外の世界では「賞賛される強み」になることがあります。そうした発見は、外に出てみないと決して分かりません。
自社にはない仕事、できない仕事に挑戦することで、今まで眠っていたスキルやマインドが呼び覚まされます。それは必ず、視野の拡大や視座の高まりに繋がり、自分の中にブレない軸を作ってくれます。もし迷っているなら、勇気を出して飛び込んでみてください。そこには、自社で働いているだけでは絶対に見ることのできない景色と、新しい自分との出会いが待っています。
【複業留学とは?】
ベンチャー企業の課題解決を通じた越境学習の実施により、「行動変容を促す研修プログラム」です。
3~6か月間×週1日の実践で、通常業務と並行して実施が可能です。
詳しくはこちら:https://teamlancer.jp/lp/fukugyo_ryugaku
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