社外の大企業人材が新規事業をリードする〜受け入れ企業が語る越境学習の価値【東京都人材交流支援事業 中間報告会レポート③】

越境学習

エンファクトリーは、東京都の令和7年度「大企業と連携した中小企業・スタートアップの成長促進に向けた人材交流支援事業」に運営協力として携わっています。本事業は、人材育成を進めたい大企業と、事業を加速させたい中小企業・スタートアップの双方に対し、人材交流を通じた成長を促す取り組みです。

▶本事業の詳細:https://jinzai-kouryu.metro.tokyo.lg.jp/

2026年5月には、これまでの成果を共有する中間報告会が開催されました。

本連載では全4回にわたって、当日の内容を詳しくご紹介しています。

第3回となる本記事では、株式会社Mizkan(以下、ミツカン)の塚田恭明様を受け入れた株式会社Ling(以下、Ling)の倉本圭太様の発表をもとに、受け入れ企業の視点から越境学習がもたらした価値に迫ります。

▶中間報告会の詳細:https://jinzai-kouryu.metro.tokyo.lg.jp/interimreport/

受け入れの狙いと提供した環境

Lingは、15年間にわたって人材サービス業ひとすじで事業を展開しています。

日本の人口動態の影響を強く受ける事業構造であるため、新しい事業ポートフォリオを築くことが経営課題となっていました。

そこで同社が新たに挑もうとしていたのが、インバウンド向けのカスタムツーリズム事業です。事業への熱量は十分にあったものの、方向性や設計が定まらないまま立ち上げを進めようと模索している状態でした。

こうした状況の中で倉本様が期待を寄せたのが、ミツカンの塚田様が持つミドル・部長職としての視座でした。大企業で培われた管理経験と、カオスを仕組み化する力こそが、自社に必要だと考えたのです。

Lingはこのような経緯から、正解のない最前線であり、既存の枠組みがゼロの新規事業フィールドを塚田様に提供しました。

受け入れによって生まれた刺激と突破力

倉本様は当初、塚田様に対して、きれいに整った企画力の発揮を期待しました。しかし塚田様は、その期待を大きく超える動きを見せたといいます。

たとえば中国人留学生の周辺に潜むニーズを発掘し、ネットワーク探索力によって外部とのつながりを構築しました。さらに、ときには自ら現場に赴き、仕組みづくりや人との出会いをリーダーとして牽引する役割も担いました。

塚田様がこれまで培ってきたマーケティング力やネットワーク力、突破力といったスキルは、新規事業という場でも存分に発揮されました。

組織にもたらされた変化と今後の展開

倉本様によると、当初のカスタムツーリズム事業はターゲットが曖昧で、アクションも整備されていない状態でした。

それが越境学習の受け入れ後には、独自のビジネスモデル方針が定まり、教育機関との共創関係も生まれています。関わった社員には、越境者である塚田様の仕事の流儀も伝播していきました。

このような成果を受け、同社は新規事業としてインバウンドカスタムツーリズム事業を主軸へ据えています。倉本様は今回の経験を通じて、若手が担いがちな新規事業にあえてミドル人材を投入する効能も実感しました。

まとめ

今回は、受け入れ企業であるLingの倉本様の発表をもとに、越境学習がもたらした事業開発への効果をお届けしました。大企業で培われたさまざまなスキルを転用することで事業が加速し、自社のフィールドが才能を引き出す触媒として再定義されました。また、ミドル人材の活用が組織の安定につながっています。

本記事でご紹介したように、越境学習は受け入れる側にも大きな価値をもたらします。連載最終回となる次回は、当日に行われたセッションの内容をもとに、越境学習の意義や効果をさまざまな面から解き明かします。

▼本事業関連プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000348.000025659.html

▼なぜ今「越境学習」なのか?送り出す側・受け入れる側の価値を解説【東京都人材交流支援事業 中間報告会レポート①】 
https://enfactory.co.jp/ekkyo-gakushu/column/10741/

▼未知のテーマでも、自分の強みは通用する〜越境がもたらしたと確固たる自信【東京都人材交流支援事業 中間報告会レポート②】
https://enfactory.co.jp/ekkyo-gakushu/column/10837/

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